あっという間に今年も大晦日を迎えてしまいました。
この1年も、シネジャにおつきあいくださいまして、ありがとうございました。
東京国際映画祭ほか、今年の映画祭報告の一部がまだ終わってなくて、12月後半、ほんとに猛烈な勢いでまとめました。(それでも積み残しが・・・)
年賀状は、値上げしたので、ぐっと心を鬼にして、SNSで繋がっている方には出さないことにしました。(該当者の皆さま、どうぞお許しを!)
何かと忙しい年の瀬に、なんと、モフセン・マフマルバフ監督が約10年ぶりに来日! 登壇されるイベントが続々。これは何がなんでも参加したい! なのに、まず最初の公開直前イベント『川との対話』(※日本未公開)上映+ モフセン・マフマルバフ監督トークの行われる12月26日(木)は、前々から妹が横浜ハイアットホテルのハーバーキッチンのランチビュッフェを予約していたのでした。

『川との対話』の上映は15:00からでしたが、15:45頃に 会場の渋谷ユーロライブにたどり着きました。なんとか最後の方を観て、マフマルバフ監督のトークを聴くことができました。
イランとアフガニスタンの男性が、川を挟んで対話する物語。これまでマフマルバフ・ファミリーがアフガニスタンで作った12本の映画を引用しながら両国の歴史を語るというもの。今回が日本初公開でしたが、いつか観る機会があることを願います。

上映後トークの聞き手は映画監督で東京藝大教授の筒井武文さん。(日本イラン合作
『ホテルニュームーン』監督)
筒井さんの「偉大な監督ですが、まるで学者か詩人が作ったように思いました」との言葉に、「映画作りには、@脚本 A撮影 B編集 が必要」 さらに、「心理学、哲学、歴史・・・等々、いろんなことを学んだ上で語る必要がある」とマフマルバフ監督。
とても充実したトークで、映画はほんの少ししか観られませんでしたが、遅れてでも参加してよかったと思いました。
そして、個別取材の機会もいただくことができました。
取材期間は、12月25日〜27日の3日間だったのですが、私の時間は、27日の17:20から。 つまり、おそらく最後。多くの方から取材を受けたあとなので、すでに出たような質問はできない・・・ あ〜困った! と思っていたところに、イランの女性詩人フォルーグ・ファッロフザードをこよなく愛するペルシア詩研究者の鈴木珠里さんから、もし時間がありましたら・・・と、メールで質問が届きました。まさに天の助け。
『子どもたちはもう遊ばない』 の中で、ユダヤ人のベンジャミンさんが語る「他者を思え」という詩については聞いてみようと思っていたので、それに続けて伺ってみました。
珠里さんの質問は、『サイレンス』(1998年)に出てくる場面に、フォルーグの詩を表現したものがあるというものでした。
マフマルバフ監督の映画は、たとえ詩そのものを語っていなくても、とても詩的な雰囲気を感じます。そのこともお伝えした上で、好きな詩人や影響を受けた詩人についてお伺いしたのですが、これがもう、たっぷり語ってくださって、嬉しい限りでした。
そして、「楽しい時にも詩を語るし、悲しい時にも詩を語ります。国民性です。頭がいい人なら、2+2=4ですが、私たちイラン人は、2+2は4じゃないと思っています。国民的にロジカル(論理的)じゃないのです」と!
ほんとにイランの人たちは、詩と共に生きていることを感じているのですが、そうっか〜 2+2は、4ではないのがイラン人なのだと、妙に納得。
そういえば、私が若いころ、よく母が「1+1が2以上になる人と結婚しなさい」と言っていたのを思い出しました。1+1が2以下の人としか出会えなかったので、結局、結婚しなかったということにしているのですが、自分ひとりで、1+1以上の充実した人生をおくっているからいいのだ! と勝手に思っています。

話がそれましたが、あっという間に持ち時間40分が終了。 最後に写真を撮らせていただいたのですが、取材中に撮るのを忘れていたので、「お話されている感じで」とお願いしたら、「話してる、話してる、話してる・・・」とペルシア語でつぶやきながら応じてくださったのでした。
大急ぎでまとめたインタビューは、
こちらでご覧ください。
12月29日には、5時からシアター・イメージフォーラム3階で行われたモフセン・マフマルバフ監督マスタークラスに参加しました。
その前に、原宿SEE MORE GLASSさんでの「イランの絵本と靴下展」へ。 この日が最終日でした。
カレーを楽しみに、お腹を空かせて行ったら、売り切れ! キッシュとマサラチャイをいただきました。(もちろん、こちらも美味しいのですが、ちょっと量が足りない・・・)
でも、絵本の翻訳をしている愛甲恵子さんにお会いすることができて、嬉しいひと時でした。

音楽家シャジャリアンの伝記本(写真中央)が目に留まったのですが、こちらは見本だけで売り切れ。数学者で、女性初のフィールズ賞を受賞したマリヤム・ミールザーハーニーの伝記本(写真左上)を買い求めました。「小さな人間、大きな希望」というシリーズです。イランの子どもたちは、こんな素敵な絵本で偉人のことを学べるのだと、うらやましく思いました。
4時半ごろ、シアター・イメージフォーラムに到着。『子どもたちはもう遊ばない』の上映が終わって、表でマフマルバフ監督が、皆さんにサインをされていました。
5時からのマスタークラスは満席。女性が圧倒的に多かったです。聞き手は矢田部吉彦さん。『苦悩のリスト』と『子どもたちはもう遊ばない』について、具体的な話をたっぷり。 最後に、「生きる為に、人生の中で意味あることをしたいと毎日考えます」とおっしゃって、会場との対話に。

最初に手を挙げた若い男性が、「モノトーンな生活を送っています。生きる目標を失ってしまって、老後のための資金を投資で稼ぐことを考えてしまっています。楽しさを監督はどこから得ているのでしょう?」と発言され、会場が笑いの渦に。
「お金があれば幸せというのは、あなたは銀行じゃない。ほほ笑みを誰かにあげれば、自分も幸せ」と監督。
次に、映画を作る上で一番大切にしていることを問われ、
「いろんな監督がお金がないから映画が作れないというけれど、一番大事なのはアイディア。何を撮りたいかがはっきりしていれば、スマホで作れる。お金があっても作れるわけじゃない。老後のために・・・というテーマで映画を作れば、皆が興味を持つから成功する」とおっしゃって、またまた会場は笑いに包まれました。
なんとも幸せな気持ちで会場をあとにしたのでした。
来年も、心豊かな日々がおくれますように♪
そして、なにより、戦争に巻き込まれている人たちが、平穏に過ごせる世界になりますように!

もう12月も末というのに、横浜の日本大通りの銀杏がまだ綺麗でした。
気候変動は起こってる!と、トランプに言いたい・・・