昨日は不思議な日だった。
起きる寸前に夢を見たのだが、それは
『カミハテ商店』の映画の中のことで、
パン屋がタバコ屋になっている。そして、イラク映画
『バビロンの陽光』のタバコ売りの少年のように一本売りしている夢だった。店の内部は荒れ果てているが、一服できるようになっていた……それだけ覚えている。
二つの映画が合体して、映画狂?の私の寝込み、いや、寝起きを襲ったのだ。

昨日は朝から体調がよくないので、学校には

タクシーで行った。
まあ一年に一回もないことだが、寒さも厳しかったのでそうしたのだが、
乗ってから運転手さんの名前の下に「趣味映画鑑賞!」と「!」までついていたので話しかけてみた。
以下は私と運ちゃんの会話。
私:「映画がお好きなんですね」
運:「ええ、僕の自慢できる趣味です!」
私:「最近はどんな作品を観られました?」(ここまではコミケお客様誘導調)
運:「昨日封切りの
『ストロベリーナイト』と『デッド寿司』を連続でみたんですよ。
僕blogやってるからすぐいかないと伸びないし、あっ、感想をすぐ書くと人数が伸びるんですよ」
:私「(内心:すご!
『デッド寿司』まんだ観てない・・なんか私より熱そう!)毎週土曜に1800円で観るんですか」
運:「前売りや金券ショップですよ。お客さんはシニア?もう1000円ですよ」
私:「…みる暇もなくて…」
運:「みなさん、そう言われますがね。僕は映画みているうちは、なにもかも忘れていられるから、
安上がりのリフレッシュタイムですよ」
私より熱く語る運転手さんに、いつも私が言ってるようなこと言われて…ま、これもいい経験になった。
でも初日土曜に、この方会ったら…と

心配になった。(笑)
無駄話は終わり。
25日金曜に試写で観た
『汚れなき祈り』
『汚れなき祈り』クリスティアン・ムンジウ監督/ルーマニア/152分/3月16日よりヒューマントラスト有楽町他にて公開
同じ孤児院で育ったアリーナとヴォイキツァ。アリーナはルーマニアを離れドイツで働いている。
彼女はルーマニアの片田舎の修道院で生活しているヴォイキツァに会うために戻って来た。
アリーナは愛するヴォイキツァと一緒にドイツに行こうと誘うが、修道院の暮らしに満ち足りているヴォイキツァは同意しなかった…。
ルーマニア映画と聞いただけで
『4ヶ月、3週と2日』を思い出した。
なんと、そのクリスティアン・ムンジウ監督作品だった。
実際に起こった事件が基であるが、約2時間半の作品を堪能した。
何ひとつ無駄のない芸術的カメラと教会のミステリアスな設定が、
いやがおうでも観ている側を揺さぶっていた。
まるで私たちは閉ざされた教会の一員の感覚になり、時折映る一般社会をみて「やっぱり隔絶された世界にいるのだ」とわかり唖然とさせられた。
そんな中で行われる数々のことはそこでは「神聖」で、かつ「なすべき神への行動」なのだ。
一概に「異常」と言えない、「自分」もそこにいる……そんな異様な感覚で観終わった。
二人の関係も教会内部の人間関係も一つはっきりしないが、それは言葉にしないだけのこと。
言葉なんかいらない。必要なのは、教会の「信仰に結びついた行動」と、二人には「愛情で結びついた」共有する時間だけ、と深くえぐるように観ている者に突き刺さってくる作品だった。
質が高く、非常に洗練された最高のルーマニア映画だった。
※ヴォイキツァの神を信じきっている美しい瞳と横顔、アリーナのうたぐり深い眼差しが印象的だった。