2013年04月24日

「流れる雲よ」の”風組公演”観劇 (海)

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「流れる雲よー未来より愛を込めて」(劇団あとりえっじ 作:草部文子 演出:奈美木映里)を笹塚ファクトリーで観劇。作と演出は名前は違うが同じ女性だという。

特攻隊といえば鶴田浩二主演の「雲流れる果てに」でありったけの涙を流した経験がある。
劇でいえば「Winds of God」をニューヨークのオフブロードウェー劇場で観た経験がある。
そのきっかけは、1998年、私が脚本演出したPRビデオの英語教材に出ていただいた英語が得意な若い役者さんが、この劇に出ていると教えてくださり、偶然、NY公演が私がNYUに留学する時と重なったので、一緒に留学した若い仲間を誘って観に行ったのだ。
その役者、尾崎英二郎さんはその後アメリカにわたり、努力の末に「硫黄島からの手紙」で役をつかみ「ラストサムライ」、米人気テレビドラマ「ヒーローズ」や「フラッシュフォワード」に出演、今年のwowow米アカデミー授賞式の現地レポーターもされていたようだ。
本当に礼儀正しい、真面目な好青年で、公演のたびに自筆のお手紙をくださり、三鷹の劇場へは子ども3人を連れて観にいって、記念写真も取らせていただいた経験がある。

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なので、大体内容はこうだろう…とわかっていたのですが、やはり泣いてしまった。
あまり劇を見ない私が行ったのは、自作映画「心理学者 原口鶴子の青春」の栃木県の上映会でお世話になった奥様の息子さんが役者で出ているので案内をいただいたのだ。
お母さん、おばあさん、叔母さんもいらしていて、早めに行った私が一番前の席をゲット。
暗闇から舞台が明るくなったら、1メートルもない距離に特攻隊役の彼が座っているではないか。
目の前にご家族がいて、それはそれは驚いただろう!
上演後、入り口で待っていた彼いわく「ヤバイ!」と思ったとのこと。でもすごい熱演でした。

役者さんが、なんていうかこれまでみたコテコテの特攻隊員でなく、柔らかく、優しさ溢れる若者たち。
バックにかかる音楽がユーミンの「ひこうき雲」だし。
彼らにからむモンペ姿の少女たちがみんな可愛い人たちだった。
前列の20代の女性二人、ずーとタオルを持って泣きっぱなし、誰かのファンかしら。
特攻隊の方々のご苦労と未来に夢を託していった死があるから現代の平和があるーー
どうなんでしょう。あまり英雄死すると俺も俺もという若者が出てきそうな時代。
14年近く公演してるそうなのですが、時代が急変、いまでは「こういうことがありました」ではすまされないホットで難しいテーマになりつつありますね。
お父さん世代、頑張ってくれてありがとう。
posted by izumi at 13:33| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

4月22日月曜「ミッキーの映画日記」たった一人で観た映画2本『369のメトシエラー奇跡の扉ー』『愛について、ある土曜日の面会室』


今月になって映画館で贅沢にもお一人様上映のチャンスが2回あった。
カチンコ『369のメトシエラ』小林克人・健二監督/中川コロナ
 区役所の区民課に勤める武田俊介(大垣知哉)は冷淡な性格で、近隣との付き合いも嫌うために引っ越しを繰り返していた。
ある日、古いアパートに引っ越した俊介の耳に、隣室から古めかしい奇妙な歌が聴こえ始める。その歌が気になって隣室を訪ねると品の良い老婆(阿部百合子)が一人で暮らしていた。彼女は「自分の歌に惹かれる人を400年待っていた」と不思議なことを言う。

 地元愛知県では中川コロナだけの上映。
映友が「微妙だけど僕は好きな作品だよ」と教えてくれたので朝一番で出かけた。観客は私一人。

武田はここに引っ越してきた時から、ゲイの若者(日和佑貴)をしぶしぶ助けたり、隣の老婆のことで段々と嫌いなはずだった人付き合いが始まる。3人の孤独な魂が合い寄ったと解釈した。

老婆には戸籍が無く調べていくうちに大金持ちとわかるのだ。大金持ちと区役所に知れると、とたんに周りが武田を「財産目当ての男」とちっ(怒った顔)非難される。

地味〜な作りで、お金もあまりかかっていない作品だが、主役3人は手堅く演じていて好感が持てた。
この小林兄弟監督第1作品目の終盤が「孤独じゃない=幸せ」「家族=幸せ」と平凡な着地になっていて少しがっかりしたが、ファンタジーと現実の間合いの取りかたにおいては構想力があり、今後期待したい兄弟監督グッド(上向き矢印)

カチンコ『愛について、ある土曜日の面会室』レア・フェネール監督/フランス/岐阜・CINEX
この作品は東京で去年公開されていて、その時観ていたが、どうしてももう一度観たくなり岐阜まで行った。

 お話は、マルセイユを舞台に、お互いに知らない3人(3組)の人たちが、問題や想いを抱えて、ある土曜日に刑務所の面会室に出向くまでの心の葛藤、悲しみを描いている。
その3人とは
・サッカーの好きな少女ロールと不良の若者のカップルと、ひょんなことから2人に付き合うことになった医者のアントワン。
・甲斐性のない男ステファンの恋人を暴漢から助けてくれたヤクザ風の男に「自分の親友と瓜二つだ!」と驚かれる。そしてその男から意外な相談を持ちかけられる。
・アルジェリアに住むゾラは、フランスで暮らす息子が殺されたという報せにすぐフランスに趣く。そして真相を知るために加害者の姉に近づく。

これは超オススメ作品なのに、私一人だった。
2回目だが、初めて観るような新鮮さに驚く。
ゾラ役ファリダ・ラウアッジ(『ジョルダーニ家の人々』)の最愛の息子を殺した加害者やその姉に対する心の変化を見事に演じていた。また、加害者の姉セリー役デルフィーヌ・シュイヨーの泣き顔が印象的だった。

レア・フェネール監督はとっても若くて美しい方ぴかぴか(新しい)だ。
刑務所面会室のボランティアの経験をもとに脚本を書いたそうだ。
これからが本当に楽しみな女性監督。
posted by mikiko at 01:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ミッキーの映画日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする