アジアフォーカス福岡映画祭から名古屋に帰ってから、夏の疲れが出て日記も長いこと休んでしまった。
今日観ないと終わりという作品を含めて3本観た。
試写『恋するリベラーチェ』スティーヴン・ソダーバーグ監督/アメリカ/11月1日公開
1977年夏。ピアニストでショーやテレビで豪華な衣装と面白いトークで人気抜群のリベラーチェ(マイケル・ダグラス)は、ハンサムな青年スコット・ソーソン(マット・デイモン)と出会う。たちまちお互いに惹かれあい恋愛関係になる。
リベラーチェにとってスコットは気の許せる話し相手で心の支えでもあった。一方、スコットは夢のような生活と父親のような頼れる存在に有頂天になっていく。
4、5年は夢のように続くが、リベラーチェの新しい恋人の出現などで目を覆うばかりの愛の終焉となっていく。
・マイケル・ダグラスとマット・デイモンに心底たまげた!俳優魂の真骨頂だ!
この時代、芸能界でもゲイはご法度。人気の命取りだから、内々では暗黙の了解でバレバレでも「知らぬ存ぜぬ」で逃げ切れた時代。
人気の秘密はトークとピアノ技術だ。幼いときから鍛錬していないとここまで指がまわらない。「世界が恋したピアニスト」と呼ばれていたらしいが納得できる。
衣装は今で言う紅白歌合戦の「小林幸子のど派手な衣装」の先駆者だ。
目を覆うばかりの愛の終焉だが、最期は「リベラーチェのひと言」でとてもいい終わり方をしている。
※いただいたパンフレットもリベラーチェさんのようにキラキラ光っていた。
『家光と彦左と一心太助』沢島忠監督/1961年/岐阜ロイヤル劇場
『恋するリベラーチェ』を観終わって、
いつもの試写室お兄様が「今日までだけど、岐阜のロイヤルで錦ちゃんの一心太助やるから、今から観にいったら」 「おもしろいの?」 「メチャ面白い!保証する!」
「じゃあ、4時からの試写をやめて行くわ」と一人名鉄電車で岐阜へ。
5時からの回に間に合った。500円でずっと入れ替えなしだけど、
名古屋駅のピカデリーで今夜最後の『オーガストウォーズ』の上映があるから一回しかみられない。
でも来てよかった!
気風のいい魚屋錦ちゃん(一心太助)と双子のように似ているお殿様(徳川家光)錦ちゃん。
脇には平幹二朗、中村賀津雄、綺麗どころでは小暮実千代、桜町弘子(綺麗どころはちょっとしか出ていないがとっても艶やか)。
劇場には私をいれて3人。その3人が同時に笑って、同時に鼻水をすすって、涙を流さんばかりに感動(というか映画に入り込んで)いた。
※昔のちゃんばらにはちゃんと型があったのがわかった。『蠢動-しゅんどう-』の三上康雄監督のお話を聞いていなければわからないことだった。
『オーガストウォーズ』ジャニック・ファイジェフ監督/ロシア/ピカデリー
2008年8月。クセーニア(スベトラーナ・イヴァーノヴナ)は、幼い息子チョーマ(アルチョム・ファジェーエフ)とモスクワで暮らすシングルマザー。軍人の夫と別れてまだ日は浅い。
彼女は新しい恋人エゴール(アレクサンドル・オレシコ)とほとんど同居状態で付き合っているが、息子は両親の離婚に傷ついていて想像の世界で自分だけにしか見えないロボットと遊ぶようになっていた。
そんなある日、元夫のザウール(エゴール・ベロエフ)から南オセチアのシダモンタ村で平和維持軍の任務に就いているが、そんなに危険じゃないから村で息子と過ごしたいという電話が入る。
悩んだクセーニアだったが、恋人と2人になれると思って承諾する・・・。
・ロシア風味満載で現実感あふれる(戦車の迫力100点!)戦争映画+母親の変わって行く姿+子どもの想像上のロボット映像の旨みがドッキングされた作品。
でも超オススメでもない。
「ふらっと映画館に入って、たまたま観た映画が良くってね」レベル。
微妙な言い方ですみません。だったらDVDでは×。観るなら大画面で是非。
はじめは、この母親を見て好きになれなかった。腰のあたりがなよっとしていて「女」っていう感じだ。(恋人は割りと子どもにも気を使ういい人)
その母親が息子を助けるために、嘘をついたり、記者証を盗んだり、必死に危険な地域に入っていく。
すぐ横で撃ちあいが始まり逃げ惑いながらも、で「こちらロボット、今近くまで来ています。応答せよ」などと言って恐怖の中、一人ぼっちでいる息子を勇気付けていた。
なにも紛争などない平和な暮らしから180度違う世界に行くなんて日本では考えられないが、
こと戦争でなくても、自分の環境が180度変わるのは考えられる。
そういう意味で観て良かったと思った。