12月19日(金)夕方、ユナイテッド・シネマ豊洲で開催された「トルコ映画祭2014」へ。
トルコ大使館主催で開催される初めてのトルコ映画祭。
『Uzak İhtimal(邦題:はかない期待)』上映前に、トルコ映画100周年をテーマにパネルディスカッションが行われました。
上映作品『はかない期待』のマハムート・ファズル・ジョシュクン監督と共に映画評論家のイフサン・ヌールッラー・カービル氏と映画史研究家のアリ・ムラト・ギュベン氏も来日。さらに、東京国際映画祭プログラミングディレクターの石坂健治氏と矢田部吉彦氏のお二人も加わって、5人が登壇する豪華なパネルディスカッションでした。
まずは、カービル氏より、1914年の初のトルコ映画から1990年代末までの映画史が語られました。ロシア軍がイスタンブルを占領して建てたキリスト教の追悼碑を、1914年に若いオスマントルコ軍の将校が破壊する姿を映像に収めたのが初のトルコ映画。
その後、1940年代には、アメリカ映画、インド映画、エジプト映画の3つをベースに、トルコではより社会性の強い映画のほかコメディーなどが製作され、1960年代には、さらに多様化。社会派リアリズムや大衆映画など、年間300本が製作される映画の最盛期となりました。1970年代に入ってもその流れは続き、政治的社会的状況を反映した映画として左派物や内面を重視した作品が作られましたが、70年代半ばにテレビが登場し、人々が映画から離れていきました。80年代にビデオが普及すると、35mmのほか、ビデオでも映画が製作されるようになったと語られ、いずこも同じ状況であることを感じました。
ギュベン氏からは、トルコ共和国を建国したアタチュルクは、映画をコミュニケーションツールの一つとして評価する演説も行うなど、映画を重視していたのに、アタチュルク亡き後、重い検閲を受けるようになり、その中で芸術性を高めていくことになったことが語られました。60年代には、ある監督のコメディー映画の中で、左側のタイヤがパンクしたことに、なぜ左?と、そこまで検閲が入ったと、笑うに笑えないエピソードも。
2004年まで、政府から映画への援助はなく、保管もきちんとされていなかった為、100年間で7520本程作られた映画のうち、約500本が保管場所の火事などでマスターネガが喪失。1970年代にミマール・シナン大学に映画研究所が出来て、それ以降の映画はきちんと保管されているとのこと。
ジョシュクン監督からは、2009年の東京国際映画祭に招待いただき航空券も用意していたのに来日できず残念だったと語られました。(この時点で、今回の上映作品『はかない期待』が、『二つのロザリオ』のタイトルで上映された作品だったことを知り、え〜そうだったのかと!)
石坂健治氏と矢田部吉彦氏のお二人からは、主として日本におけるトルコ映画上映について語られました。お二人が東京国際映画祭に関わるようになった2007年以降に取り上げたトルコ映画は25本。TIFF第1回の1985年から2006年には、たったの5本。
イラン映画や中央アジア地域の映画も増えたし、ほんとにお二人には感謝です!
それでも、劇場公開に至る作品は少なく、それがこれからの課題。
現在、軍艦エルトゥールル号遭難事件を題材にした日本・トルコ初の合作映画の製作が進んでいて、来年末には公開の見込みとのこと。これは楽しみです。
1時間半にわたるパネルディスカッション。それでも、皆さんそれぞれ言い足りないご様子でした。通訳は、野中恵子さん。お疲れさまでした!
30本ほどの休憩の後、『はかない期待』の上映。TIFFでの上映タイトルが『二つのロザリオ』だったと聞いて、駅でのラストの場面をはっきり思い出したのですが、詳細はあまり覚えていなくて、新鮮な思いで拝見しました。(とはいえ、結末は覚えていたので複雑な思いも・・・)
思いもかけず、懐かしい映画に再会できて嬉しい夜でした。
トルコ映画祭は、来年も2作品考えているとのこと。楽しみです。
2014年12月20日
冬コミケに参加します! 12月28日 西地区“め”ブロック−11a です! (咲)
気が付いたら、もう今年もあとわずかになってしまいましたね。
年末の風物詩、東京ビッグサイトで開かれる恒例のコミックマーケットに出展します。
今年も600本以上映画を観た副店長ミッキーおばぁこと美さんと一緒に会場で皆様にお目にかかって映画談義できるのを楽しみにお待ちしております。
日時:2014年12月28日(日曜日)10時〜16時
場所:東京国際展示場(東京ビッグサイト)
交通案内: http://www.comiket.co.jp/info-a/C83/C83info.html
シネマジャーナルの配置場所: 西地区“め”ブロック−11a
★シネジャ予約受付けます!
購入希望の号をお気に入りの監督や俳優の名前を添えて予約いただけましたら、できる限り関係のある特別付録をご用意します!
タイトル索引や、目次一覧で欲しい号を検索してみてください。
タイトル索引
http://www.cinemajournal.net/bn/title.html
在庫一覧
http://www.cinemajournal.net/bn/zaiko.html
冬コミケ会場での購入申込み先: cinemajournalhp@yahoo.co.jp
会場に来られない方は、通常の購読申請表でお申込みください!
http://www.cinemajournal.net/cj/orderform.html
(メッセージ覧にお気に入りの監督や俳優のお名前を入れていただければ、配慮します!)
年末の風物詩、東京ビッグサイトで開かれる恒例のコミックマーケットに出展します。
今年も600本以上映画を観た副店長ミッキーおばぁこと美さんと一緒に会場で皆様にお目にかかって映画談義できるのを楽しみにお待ちしております。
日時:2014年12月28日(日曜日)10時〜16時
場所:東京国際展示場(東京ビッグサイト)
交通案内: http://www.comiket.co.jp/info-a/C83/C83info.html
シネマジャーナルの配置場所: 西地区“め”ブロック−11a
★シネジャ予約受付けます!
購入希望の号をお気に入りの監督や俳優の名前を添えて予約いただけましたら、できる限り関係のある特別付録をご用意します!
タイトル索引や、目次一覧で欲しい号を検索してみてください。
タイトル索引
http://www.cinemajournal.net/bn/title.html
在庫一覧
http://www.cinemajournal.net/bn/zaiko.html
冬コミケ会場での購入申込み先: cinemajournalhp@yahoo.co.jp
会場に来られない方は、通常の購読申請表でお申込みください!
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(メッセージ覧にお気に入りの監督や俳優のお名前を入れていただければ、配慮します!)
2014年12月09日
中東映画研究会『明日になれば』でレバノンの明るい未来を感じた夜 (咲)
12月8日、東京大学 東洋文化研究所で行われた第14回中東映画研究会へ。
これまでは多くても50〜60名だったのが、この日は100名を超える参加者!
今回の上映作品『明日になれば』(Tomorrow We Will Seeレバノン/2012)は、レバノン人の母を持つ梅若ソラヤ監督が、母の故国レバノンで撮った作品。芸術家、建築家、詩人など12人を追い、何を考え、何を求めて活動を続けているのかを瑞々しく描いた映画でした。
レバノンというと、ニュースで報道されるのは、内戦やテロと、マイナーなことばかり。また、私の少ない知識では、レバノンは小国なのに、イスラームもキリスト教も、どちらも宗派が多様で複雑な国というイメージ。様々な背景を持つ人たちが、それを自然なことと思って共存していることを本作は見せてくれました。そして、内戦の時代を乗り越えて今日を生きる人たちの姿に、レバノンの明るい明日を感じました。
上映後、東京外国語大学の黒木英充教授による的確なコメントの後、ソラヤ梅若監督と、お母様で本作のプロデューサーでもあるマドレーヌ梅若さんが登壇。
ソラヤさん自身のアイデンティティーを会場から問われ、隣から、お母様が「レバノンと日本の一番いいところを持ってる!」と、すかさずお答えになりました。
梅若さんという名字が示す通り、お父様は600年の伝統を受け継ぐ能楽師。ソラヤさん自身も、3歳の頃から国立能楽堂の舞台に立つ能楽師として活躍。その後、イギリスで暮らし、11歳で日本に戻る。米国プリンストン大学在学中の2006年にLabouisse Fellowshipに選ばれ、ブラジル北東部に半年間滞在。この頃から、ドキュメンタリー映画の制作を始める。デビュー作は、エクアドルのストリート・チルドレンの視点から世界を描いた『Street Witness』(2007) 今後が楽しみな映像作家です。
これまでは多くても50〜60名だったのが、この日は100名を超える参加者!
今回の上映作品『明日になれば』(Tomorrow We Will Seeレバノン/2012)は、レバノン人の母を持つ梅若ソラヤ監督が、母の故国レバノンで撮った作品。芸術家、建築家、詩人など12人を追い、何を考え、何を求めて活動を続けているのかを瑞々しく描いた映画でした。
レバノンというと、ニュースで報道されるのは、内戦やテロと、マイナーなことばかり。また、私の少ない知識では、レバノンは小国なのに、イスラームもキリスト教も、どちらも宗派が多様で複雑な国というイメージ。様々な背景を持つ人たちが、それを自然なことと思って共存していることを本作は見せてくれました。そして、内戦の時代を乗り越えて今日を生きる人たちの姿に、レバノンの明るい明日を感じました。
上映後、東京外国語大学の黒木英充教授による的確なコメントの後、ソラヤ梅若監督と、お母様で本作のプロデューサーでもあるマドレーヌ梅若さんが登壇。
ソラヤさん自身のアイデンティティーを会場から問われ、隣から、お母様が「レバノンと日本の一番いいところを持ってる!」と、すかさずお答えになりました。
娘ソラヤさんを見守るお母様のマドレーヌさん
梅若さんという名字が示す通り、お父様は600年の伝統を受け継ぐ能楽師。ソラヤさん自身も、3歳の頃から国立能楽堂の舞台に立つ能楽師として活躍。その後、イギリスで暮らし、11歳で日本に戻る。米国プリンストン大学在学中の2006年にLabouisse Fellowshipに選ばれ、ブラジル北東部に半年間滞在。この頃から、ドキュメンタリー映画の制作を始める。デビュー作は、エクアドルのストリート・チルドレンの視点から世界を描いた『Street Witness』(2007) 今後が楽しみな映像作家です。