2014年12月09日

中東映画研究会『明日になれば』でレバノンの明るい未来を感じた夜 (咲)

12月8日、東京大学 東洋文化研究所で行われた第14回中東映画研究会へ。
これまでは多くても50〜60名だったのが、この日は100名を超える参加者!
今回の上映作品『明日になれば』(Tomorrow We Will Seeレバノン/2012)は、レバノン人の母を持つ梅若ソラヤ監督が、母の故国レバノンで撮った作品。芸術家、建築家、詩人など12人を追い、何を考え、何を求めて活動を続けているのかを瑞々しく描いた映画でした。
レバノンというと、ニュースで報道されるのは、内戦やテロと、マイナーなことばかり。また、私の少ない知識では、レバノンは小国なのに、イスラームもキリスト教も、どちらも宗派が多様で複雑な国というイメージ。様々な背景を持つ人たちが、それを自然なことと思って共存していることを本作は見せてくれました。そして、内戦の時代を乗り越えて今日を生きる人たちの姿に、レバノンの明るい明日を感じました。

上映後、東京外国語大学の黒木英充教授による的確なコメントの後、ソラヤ梅若監督と、お母様で本作のプロデューサーでもあるマドレーヌ梅若さんが登壇。
ソラヤさん自身のアイデンティティーを会場から問われ、隣から、お母様が「レバノンと日本の一番いいところを持ってる!」と、すかさずお答えになりました。
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娘ソラヤさんを見守るお母様のマドレーヌさん


梅若さんという名字が示す通り、お父様は600年の伝統を受け継ぐ能楽師。ソラヤさん自身も、3歳の頃から国立能楽堂の舞台に立つ能楽師として活躍。その後、イギリスで暮らし、11歳で日本に戻る。米国プリンストン大学在学中の2006年にLabouisse Fellowshipに選ばれ、ブラジル北東部に半年間滞在。この頃から、ドキュメンタリー映画の制作を始める。デビュー作は、エクアドルのストリート・チルドレンの視点から世界を描いた『Street Witness』(2007) 今後が楽しみな映像作家です。
posted by sakiko at 22:20| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする