2015年03月15日

レイス・チェリッキ監督特集で、ユルマズ・ギュネイ監督の映画を思い出す  (咲)

今週はフィルムセンターでトルコのレイス・チェリッキ監督特集♪・・・と、楽しみにしていたのに、月曜日に試写で『パプーシャの黒い瞳』を観ているうちに具合が悪くなってきて、帰りにお医者さんに寄って念の為と熱を測ったら、37度8分! 火・水・木の3時から観る予定だったのを諦めて、3日間家で静養。なんとか元気になって、金曜日に、『グッバイ・トゥモロー』と『そこに光を』の2本、土曜日に『頑固者たちの物語』を無事観ることができました。
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金曜日、映画の前に、確定申告を提出しに本所税務署へ。スカイツリーの川沿いの桜がもう満開! 春はもうすぐ♪

『グッバイ・トゥモロー』は、1960年代の軍事政権下、学生運動のリーダーだったデニズ・ゲズミスと彼の仲間が、反政府活動家として逮捕され、死刑されるまでを描いた作品。年配の弁護士が、「国家は民主主義を擁護すべき」と若者たちのために奔走しますが、結局絞首刑に。より良きトルコの為に立ち上がった学生たちが危険分子とされたことに、ジャーナリスト出身のチェリッキ監督が一石を投じた力強い作品でした。

『そこに光を』は、チェリッキ監督第一作。雪深い東トルコの山岳部。武装クルド人ゲリラとトルコ軍が対峙。生き残ったゲリラの男と兵士の二人が雪の中をひたすら歩いて人里を目指し、やっと巡り逢った老人に、人々の暮らしを崩壊させる虚しい争いだと諭されます。
雪深い山を歩く姿には、ユルマズ・ギュネイの映画を思い出しました。それが、『敵』だったのか『群れ』だったのか・・・ 『路』にも雪の場面があったのか・・・ 今となっては記憶があいまいですが、1年のうち5ヶ月位も雪に閉ざされる東トルコの厳しい生活が脳裏に植え付けられたことだけは覚えています。

『グッバイ・トゥモロー』や、かつて観た『路』では、バスが止められて軍の検問の場面が出てきますが、私が初めてトルコを旅した1983年の時には、ツアーのバスも何度も止められてパスポートをチェックされたのを思い出します。
金曜日の2本では、ぐっと重い気分になったのですが、土曜日の『頑固者たちの物語』は、東トルコに伝わる物語をふんだんに織り込んだお話で、思わず笑ってしまう場面も。なんてったって頑固者たちのお話ですから! 
雪の中をミニバスと雪そりと、どちらが早く戻ってこられるかを競うのですが、以前に観た時に、どっちが勝ったか思い出せなかったので気になってもう一度観た次第。観てみて、勝ち負けの結果を思い出せないはずだったことがわかりました!

2時半頃に映画が終わったので、映画を観にきていた友人たちと谷中で開かれている「イランの絵本と小物たち」を覗きにいきました。
愛甲恵子さんがイランで見つけてきた可愛い絵本の数々や小物、人気イラストレーター、モルテザー・ザーヘディの絵、イランの街角やお料理の写真などなど・・・ 会場には、詩画集『黒いチューリプのうた』に付いているペルシャ古典音楽が流れていて心地いい空間でした。
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この素敵な催しも、今日15日が最終日。19:00まで。
谷中散歩のついでにいかがでしょう?
場所:the Ethnorth Gallery(東京・谷中)
http://www.ethnorthgallery.com/
谷中銀座を抜け切って、ちょっと右手に行ったところです。
posted by sakiko at 09:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月13日

東京アニメアワードフェスティバル2015

■会期: 2015年3月19日(木)  から  3月23日(月)  
■会場:TOHOシネマズ日本橋 
   (上映会・コンペティション本審査・イベント等)
    〒103-0022東京都中央区日本橋室町2-3-1 コレド室町2・3F 
■主催:東京アニメアワードフェスティバル実行委員会
    一般社団法人 日本動画協会  
■共催:東京都
■チケット:2015年2月28日0時より、TOHOシネマズ インターネットチケット“vitR”にて発売
      http://www.tohotheater.jp/vit/
     *空席がある場合は当日会場窓口でも購入可能
■上映作品:
 ◎コンペティション部門 
  長編アニメーション(5作品) 短編アニメーション(36作品)
 ◎アニメ オブ ザ イヤー部門 『アナと雪の女王』『かぐや姫の物語』ほか(8作品)
 ◎特別招待作品
        「カナダフォーカス@〜F」
        「ベスト・オブ・アヌシー2014短編アニメーションプログラム」
        「トムスアニメ制作50周年記念シアター」
        「国際交流スクリーニング -米国若手アニメーター特集-」
        「ルパン三世」原作者 モンキー・パンチ先生スペシャルトーク
          +『LUPIN THE VRD 次元大介の墓標』上映会
        『ブルー2 トロピカルアドベンチャー』特別上映会
          ほか多数。
  スケジュール、作品詳細は公式サイトへ http://animefestival.jp/ja/
posted by shiraishi at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月11日

3.1ビキニ記念のつどい『わたしの、終わらない旅』上映会&トークショー

2015年2月28日(土)夢の島公園内にある東京スポーツ文化館で「3.1ビキニ記念のつどい」が開催され、公開直前の『わたしの、終わらない旅』の上映会が行われ、その後、坂田雅子監督と、マーシャル諸島の人々を長年取材してきたフォトジャーナリスト豊崎博光さんのトークショーがおこなわれた。
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坂田雅子監督&豊崎博光さん


主催:第五福竜丸平和協会
協賛:ビキニふくしまプロジェクト
協力:潟Vグロ

1954年3月1日、太平洋ビキニ環礁でのアメリカの水爆実験により、遠洋マグロ漁船「第五福竜丸」ほか、たくさんの日本の漁船が被曝してから61年を迎えた。2月28日に開催された「記念のつどい」で、ビキニでの水爆実験後の島民の人たちの実情を語り、核廃絶の必要性をあらためてかみしめた。

核兵器、核実験という、核利用による歴史に翻弄された人々の現状を記録するドキュメンタリー映画『わたしの、終わらない旅』は、アメリカの水爆実験で土地を汚染され、故郷を奪われたビキニやカザフスタンの住民らを取り上げたドキュメンタリー作品。『花はどこへいった』『沈黙の春を生きて』で枯れ葉剤被害を追った坂田監督は、福島第一原発の事故の深刻さに不安を抱いた坂田監督は、亡き母が遺した「聞いてください」と題された本を手に取った。それは長野県須坂市に住む母が1977年から続けていた原発を問う、「聞いてください」という手書きガリ版刷りのミニコミ紙をまとめたもの。
亡き母が約40年前に始めた反原発運動の意義に改めて思い至った監督は、フランスのラ・アーグの核再処理施設や、大規模な核実験が行なわれたマーシャル諸島(ビキニ島を含む)、カザフスタンのセミパラチンスクを旅し、核で故郷を追われた人々、いまも汚染された海や大地で暮らす人々を見つめた。

豊崎さんの作品に対する感想、「この作品がすごいのは、監督のご家族の歴史と核の問題がつながっている点。ラ・アーグ対岸に住むお姉さんの状況(日本の原発の廃棄物が処理されている)が、お母さんの反核運動のきっかけになり、監督の夫であるグレッグさんもジャーナリストとしてマーシャル諸島で写真を撮っている。現場は違っていても繋がっているという稀有な事情が、この作品を作らせたという事。ラ・アーグと福島も繋がっている。ラ・アーグは日本の原発の使用済核燃料を再処理してMOX燃料を作り、それが福島第一原発3号炉に使われたといわれています」と話すと、坂田監督は「母がミニコミ誌を作っていた時は、そんなに気にしていなかったけど、福島の事故で目覚めたという感じです。要するに、世の中すべてのものが繋がっている。何がわかるかわからないけど、福島の原発事故に触発されて、なにがどうなっているんだろう、とにかく知りたい、目の前にある見えないものを取り払いたいと旅をして話を聞いたんです。映画を作り始める前に比べて少しは見えてきたけど、でもまだまだ知らなければいけないことはたくさんあるということで、『終わらない旅』と名づけたのです」と語った。
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『わたしの、終わらない旅』は3月7日よりポレポレ東中野で公開中、全国順次公開
公式サイト http://www.cine.co.jp/owaranai_tabi/

豊崎博光さんは、長年核実験、放射能に関する取材をしてきた方。特にマーシャル諸島や、ロンゲラップなどを撮った写真集などを見ると、そこに住む人々の姿が写しだされ、被害が一目瞭然。他にもあちこち取材してきて、こういう実情に精通している方。いろいろなところの状況を話されたが、マスコミはそういうことを全然報道していないなとつくづく思い、目からうろこでした。
ビキニの核実験のことは、人々の記憶のかなたになっていたけど、数年前に『放射線を浴びた[X年後]』が公開され、改めてクローズアップされてきた。
核というのは「平和利用」というオブラートで隠されているけど、核兵器も核実験も原発も、「放射能」ということを抜きには語れない。(暁)


<〜ビキニ事件、第五福竜丸以外の被災船と被災漁民について考える〜>トークショー
http://www.cinemajournal.net/special/2012/bikini/index.html
posted by akemi at 06:46| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月08日

フィルムセンター福岡特集 ラストはレイス・チェリッキ監督と」アン・ホイ監督 (咲)

昨日は昨年8月にご逝去された東京外国語大学名誉教授・黒柳恒夫先生を偲ぶ会に参加してきました。大学の4年間お世話になった恩師で、黒柳先生ご自身、インド科ご出身ながらウルドゥー語を学ぶにはペルシア語、アラビア語を知らないとならないと独学でどちらも習得。ペルシア語科創設にも力を注いだ方です。
私自身、ペルシア語が学びたくて、当時、ウルドゥー科で必修なのを知り受検したのですが、入学して黒柳先生に出会えたのは、ほんとにラッキーでした。
昨日の偲ぶ会でわかったのは、もともと、黒柳先生のご関心はイスラームにあったとのこと。卒論も、「イスラーム文化の西漸」というテーマを先生からいただき、私の興味がどんどん広がり、スペインまで行ってしまったという次第です。そして、東は中国のムスリムに。
懇親会でお話した現役の学生さんで、卒論にアスガル・ファルハーディー監督を取り上げたいという女性がいて、今回のフィルムセンターでの3作品も観に行ったとのこと。東京国際映画祭のアンコール上映のイラン関連3作品も、チケット発売初日にシネマート六本木まで買いに行ったと聞き、なんだか嬉しくなりました。

さて、フィルムセンターでの「現代アジア映画の作家たち 福岡市総合図書館コレクションより」も、いよいよ最後の週になりました。
今週はトルコのレイス・チェリッキ監督と、香港のアン・ホイ監督特集。
レイス・チェリッキ監督には、『難民キャンプ』が2009年のアジアフォーカスで上映された折と、『沈黙の夜』が2012年の東京国際映画祭で上映された折にインタビューしています。2013年にアジアフォーカスで『沈黙の夜』が上映された時にも嬉しい再会。
今回上映されるうち、『難民キャンプ』と『頑固者たちの物語』は観ていますが、『そこに光を』と『グッバイ・トゥモロー』は、未見なので楽しみです。
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アルメニア国境近くで生まれたレイス・チェリッキ監督は、トルコ・クルド・グルジアの血を引くそうです。東トルコを舞台にした『頑固者たちの物語』は、現代のお伽噺のようなファンタジーに溢れた作品で、この地の様々な伝統を伝えたい監督の思いを感じました。  『難民キャンプ』は、フィンランドのある町の広場で見かけた「国に帰りたい、家族に会いたい」と狂ったように彷徨う青年を観たのが原点。
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福岡では、主演女優デルヤ・ドゥルマズさんにもお話を伺いました。難民をサポートするドイツ語通訳の役。これまでに、レバノン、シリア、マケドニア、南アフリカなどでボランティアとして難民問題に関わったことがあり、その体験を映画に活かすことができたと語っていました。世界に大勢の難民がいることに思いを馳せるきっかけになればと思います。

アン・ホイ監督の『男人四十』と『生きていく日々』も、どちらも大好きな作品です。
『男人四十』は、シネマジャーナルのスタッフとしての初仕事である2002年の香港電影金像奨取材で香港を訪れた時に観たのが最初。ジャッキー・チュン(張學友)演じる40歳の国語教師が大胆な女子高校生にびびる姿に香港の観客が大喝采でした。
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(残念ながら小さな写真しかありません・・・)
金像奨では、女子高生を演じたカレーナ・ラムが新人賞と助演女優賞を受賞。私は記者会見室にいたのですが、ちょうどカレーナが入ってきた時に、スクリーンで大ホールの方でレスリー・チャンがプレゼンテーターとして登壇したのが映し出されていて、カレーナ自身もその画面に見入っていたのを懐かしく思い出します。

さぁ、今週も頑張ってフィルムセンターに通います♪
posted by sakiko at 18:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々のできごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月05日

大阪アジアン映画祭

期日:3月6日(金)〜15日(日)
会場:()内は最寄駅名
   梅田ブルク7(梅田)
   ABCホール(福島)
   シネ・リーブル梅田(梅田)
   シネ・ヌーヴォ(九条)
   プラネット・スタジオ・プラス・ワン(中崎町)
   大阪歴史博物館(谷町四丁目)
   大阪市中央公会堂(中之島・淀屋橋)
 ★詳細は公式HPへ
 http://www.oaff.jp/2015/ja/index.html
上映作品:
 オープニング作品『白河夜船』日本/監督:若木信吾    
 クロージング作品『国際市場で会いましょう』韓国/監督:ユン・ジェギュン

●コンペティション部門
『3泊4日、5時の鐘』日本・タイ/監督:三澤拓哉
『いつかまた』中国/監督:ハン・ハン
『全力スマッシュ』香港/監督:デレク・クォク、ヘンリー・ウォン
『アイ・ファイン、サンキュー、ラブ・ユー』タイ/監督:メート・タラートン
『牝狐リザ』ハンガリー/監督:ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ
『マンフロムリノ』アメリカ/監督:デイブ・ボイル
『マリキナ』フィリピン/監督:ミロ・スグエコ
『コードネームは孫中山』台湾/監督:イー・ツーイェン
『セーラ』香港/監督:ハーマン・ヤウ
『サシミ』台湾/監督:パン・チーユエン
『運命というもの』フィリピン/監督:アントワネット・ジェダワン
『ヴァイオレーター』フィリピン/監督:ドド・ダヤオ

●特別招待作品部門
『単身男女2』香港/監督:ジョニー・トー
『ファニーを探して』インド/監督:ホーミー・アダジャニア
『野火』日本/監督:恂{晋也
『黄金時代』香港・中国/監督:アン・ホイ
『カッパドキアの甘い恋』マレーシア・トルコ/監督:バーナード・チョウリー
『軍中楽園』台湾/監督:ニウ・チェンザー
『太陽に向かって撃て』韓国/監督:キム・テシク

●特集企画
《ニューアクション! サウスイースト》
《台湾:電影ルネッサンス2015》
  小特集:エドワード・ヤンとその仲間たち
《Special Focus on Hong Kong 2015》
《東日本大震災から4年 メモリアル3.11》
 『唐山大地震』中国/監督:フォン・シャオガン
 『ヒアアフター』アメリカ/監督:クリント・イーストウッド


インディ・フォーラム部門
第11回CO2助成作品
posted by shiraishi at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする