昨日は昨年8月にご逝去された東京外国語大学名誉教授・黒柳恒夫先生を偲ぶ会に参加してきました。大学の4年間お世話になった恩師で、黒柳先生ご自身、インド科ご出身ながらウルドゥー語を学ぶにはペルシア語、アラビア語を知らないとならないと独学でどちらも習得。ペルシア語科創設にも力を注いだ方です。
私自身、ペルシア語が学びたくて、当時、ウルドゥー科で必修なのを知り受検したのですが、入学して黒柳先生に出会えたのは、ほんとにラッキーでした。
昨日の偲ぶ会でわかったのは、もともと、黒柳先生のご関心はイスラームにあったとのこと。卒論も、「イスラーム文化の西漸」というテーマを先生からいただき、私の興味がどんどん広がり、スペインまで行ってしまったという次第です。そして、東は中国のムスリムに。
懇親会でお話した現役の学生さんで、卒論にアスガル・ファルハーディー監督を取り上げたいという女性がいて、今回のフィルムセンターでの3作品も観に行ったとのこと。東京国際映画祭のアンコール上映のイラン関連3作品も、チケット発売初日にシネマート六本木まで買いに行ったと聞き、なんだか嬉しくなりました。
さて、フィルムセンターでの「現代アジア映画の作家たち 福岡市総合図書館コレクションより」も、いよいよ最後の週になりました。
今週はトルコのレイス・チェリッキ監督と、香港のアン・ホイ監督特集。
レイス・チェリッキ監督には、『難民キャンプ』が2009年のアジアフォーカスで上映された折と、『沈黙の夜』が2012年の東京国際映画祭で上映された折にインタビューしています。2013年にアジアフォーカスで『沈黙の夜』が上映された時にも嬉しい再会。
今回上映されるうち、『難民キャンプ』と『頑固者たちの物語』は観ていますが、『そこに光を』と『グッバイ・トゥモロー』は、未見なので楽しみです。
アルメニア国境近くで生まれたレイス・チェリッキ監督は、トルコ・クルド・グルジアの血を引くそうです。東トルコを舞台にした『頑固者たちの物語』は、現代のお伽噺のようなファンタジーに溢れた作品で、この地の様々な伝統を伝えたい監督の思いを感じました。 『難民キャンプ』は、フィンランドのある町の広場で見かけた「国に帰りたい、家族に会いたい」と狂ったように彷徨う青年を観たのが原点。
福岡では、主演女優デルヤ・ドゥルマズさんにもお話を伺いました。難民をサポートするドイツ語通訳の役。これまでに、レバノン、シリア、マケドニア、南アフリカなどでボランティアとして難民問題に関わったことがあり、その体験を映画に活かすことができたと語っていました。世界に大勢の難民がいることに思いを馳せるきっかけになればと思います。
アン・ホイ監督の『男人四十』と『生きていく日々』も、どちらも大好きな作品です。
『男人四十』は、シネマジャーナルのスタッフとしての初仕事である2002年の香港電影金像奨取材で香港を訪れた時に観たのが最初。ジャッキー・チュン(張學友)演じる40歳の国語教師が大胆な女子高校生にびびる姿に香港の観客が大喝采でした。
(残念ながら小さな写真しかありません・・・)
金像奨では、女子高生を演じたカレーナ・ラムが新人賞と助演女優賞を受賞。私は記者会見室にいたのですが、ちょうどカレーナが入ってきた時に、スクリーンで大ホールの方でレスリー・チャンがプレゼンテーターとして登壇したのが映し出されていて、カレーナ自身もその画面に見入っていたのを懐かしく思い出します。
さぁ、今週も頑張ってフィルムセンターに通います♪