『天空の大巡礼を行く』は、チベットの東の聖山アムニ・マチェンの12年に一度行われる大巡礼を追ったドキュメンタリー。西のカイラス山巡礼が3〜4日で出来るのに対し、こちらは、かつては9〜10日、交通の便が少しよくなった今でも6日位かかるとのこと。巡礼路の一部(3分の1位)に沿うように高速道路を建設中で、チベットの人たちが五体投地で巡礼しているそばで工事が進んでいる様子が映し出されました。環境破壊のひどさに涙が出ます。
標高4000mを越える巡礼路。出発地点に到着早々カメラマンが高山病にかかって帰ってしまい、大谷寿一監督自ら撮影したそうです。巡礼路を完走した監督、お見事です。
『チベット天空の英雄 ケサル大王』は、世界最長の英雄叙事詩「ケサル大王伝」の主人公ケサル大王を巡るドキュメンタリー。四川省のチベット地域を7年にわたって取材したもの。ゾクチェン寺で正月に行われる「僧侶百人ケサル仮面舞踏」は圧巻でした。チベットの人たちが誇るケサル大王とは何者か? そして、東チベットのおかれている惨状がよくわかる映画でした。
興味をお持ちになった方は、下記の二つのサイトをご覧ください。
公式サイト:http://gesar.jp/
アップリンクのサイト: http://www.uplink.co.jp/movie/2015/36219
上映後、大谷寿一監督が登壇。ゲストに小林秀英さん(僧侶 フリーチベット活動家)を迎えてのトークが行われました。資源があるために中国政府がチベットを欲しがった事情などもよくわかりました。
僧侶 小林秀英さん(左)とチベットの旗の意味を説明する大谷寿一監督
明日5日(日)は10:45からの上映後に野口リンジンさんをゲストに迎えてトークが行われます。
6日(月)〜10日(金)、連日10: 45分上映開始
その後の上映についてはアップリンクのサイトでご確認ください。
蛇足・・・
今日、さいたま市の見沼たんぼで、元中東ミニ博物館の常連仲間とお花見。
その中に、平成元年の春、チベットのツアーで知り合って以来の友人も。ラサの町で、私は空気が薄い分、心も軽くなってふわふわと歩き回っていました。同室だった彼女は高山病にかかり、夜、頭がガンガンして眠れなくて、ぐっすり寝ている私を絞め殺したくなったと言われたものです。(殺されず、ずっと友達♪)
27年前のラサには、まだ高層ビルもなく、まだまだのどかな雰囲気が残っていました。ニュース映像などで見る現在のラサは、ますます漢民族が入り込み、チベットの文化をないがしろにされているのを感じます。
『チベット天空の英雄 ケサル大王』では、東チベットの現状を突き付けられましたが、西チベットも同様でしょう。なんとも悲しい現実です。