2015年10月22日
第28回東京国際映画祭 今日から!
期間:2015年10月22日(木)〜10月31日(土)
会場:六本木ヒルズ(港区)、新宿バルト 9、新宿ピカデリー、TOHOシネマズ 新宿(新宿区)ほか、 都内の各劇場及び施設・ホールを使用
主催:公益財団法人ユニジャパン(第28回東京国際映画祭実行委員会)
共催:国際交流基金アジアセンター(アジア映画交流事業)
東京都(コンペティション部門)
チケット:インターネット、電話、各劇場窓口
公式HP:http://2015.tiff-jp.net/ja/
上映部門:
コンペティション 20作品
アジアの未来 10作品
日本映画スプラッシュ 8作品
特別招待部門 11作品
パノラマ 19作品
ワールドフォーカス 23作品
国際交流基金アジアセンター presents
「CROSSCUT ASIA#02 熱風!フィリピン」10作品
プリランテ・メンドーサの世界
Japan Now 16作品
原田眞人の世界
日本映画クラシックス 6作品
歌舞伎座スペシャルナイト 1作品
寺山修司生誕80年 4作品
追悼特集 高倉健と生きた時代 10作品
ガンダムとその世界 22作品
生誕100年オーソン・ウェルズ 11作品
日本の一番怖い夜 1作品(4作品1挙上映)
WOWOW映画工房200回記念 みんなで選ぶこの1本
特別提携企画 PFF「PFFアワード2015」グランプリ受賞作品『あるみち』上映
SKIPシティ作品『鉄の子』上映
みなと上映会 3作品
第12回文化庁映画週間 3作品
日本映画監督協会新人賞『ぼんとリンちゃん』上映
『シェーン』初上映[デジタルリマスター版]
第5回日本学生映画祭 6作品
http://2015.tiff-jp.net/ja/
2015年10月18日
『ボーダレス ぼくの船の国境線』公開初日 「人と人には国境はない。銃ではなく愛を持てる世界に!」サヘル・ローズさんトーク(咲)
『ボーダレス ぼくの船の国境線』公開初日10月17日(土)新宿武蔵野館で11時半からの上映終了後、サヘル・ローズさんのトークイベントが行われました。
サヘルさんは、この映画の舞台となった国境近くの町で生まれ、幼少期にイラン・イラク戦争の折のイラクからの爆撃で家族全員を失いました。その後、育ての母に連れられて日本に移住。高校時代からテレビや映画で活躍されています。
MCはラジオ「すまいるFM」パーソナリティのデッキーさん。
トークの中から、印象的だったことをお届けします。
サヘル:出演している3人は、ペルシア語、アラビア語、英語と言葉は違うけど、ぶつかりあいながら、次第に心が通じていきます。最初、船の中にヒモで境界線を作ったのが、子どもたちはいつのまにかヒモで作った境をはずしています。国境があるからこそ出来た溝を、子ども目線で教えてくれる。
舞台はおそらくホッラムシャハルだと思います。去年、自分が生まれた町を訪れたのですが、川から観た風景にすごく似ています。イ・イ戦争の時に一番被害にあった場所で、廃船もいっぱい浮いています。川に、いつのまにか、誰かが国境線を引いて、向う側には兵士がいる。生まれた場所が違って、言葉が違うだけで、同じ人間なのに敵対している。なんのためのボーダーなのだろうかと思いました。
中東というと、いっしょくたにされますが、それぞれ人も文化も違います。小さい時に大人から教わった隣の国の人は怖いということをほんとうだと思い込んでしまったりしています。この映画では、アメリカ兵を悪者に描いてない。闘っているのは家族のため。闘いたくて、ここに来ているのじゃない。どこかで犠牲になっているのが人だと思います。
MC:お互いを知ることが大事ですね。言葉ですが、アラビア語はわかりますか?
サヘル:イランではアラビア語はコーランを詠むために学びますが、会話はわからない。
MC:侵入してきたのが女の子だと、撮影の時にも最初に教えなかったそうですが・・・
サヘル:女の子だと教えなかったのは、イランでは高校まで男女別で、大人になるまで家族や親戚じゃない異性としゃべることがないので、女の子とわかったらどう接していいかわからない。女の子だとわかった時に、男の子はほんとに自然に驚いて女の子として接しています。
(注:監督の説明では、侵入してくる少年を演じているのが実は女の子だと最初からわかっていると、女性は大切に扱うものという意識が働くので、知らせなかったとのことでした。)
MC:釣って売っていた魚は?
サヘル:ナマズだと思います。フライにしたり、中にお米を入れてオーブンで焼いたりします。北の方ではチョウザメの中のキャビアはお金持ちや外国に売りますが、チョウザメの白身は食べます。
MC:女の子が魚代として、イラクの1000ディナールを入れていますが、日本円で百円くらい。安すぎませんか?
サヘル:いえ、高いと思います。
MC:イラン映画というと、答えのないものが多いですね。この映画では、最初から言葉も説明も少ないですが・・・
サヘル:説明が少ない理由は、製作する時にまず国の検閲を受けないといけない。さらに、完成してからも検閲を通らないと映画を上映できないので、政治的なことをストレートに描くと公開できなかったりします。観ている人に伝えたいメッセージを、あえて表に出さないで隠しているのだと思います。
最後に:
今日は子どもがいらしていてすごく嬉しかったです。楽しめた? いくつ?
小さい子たちが、普通の家庭で育ってほしいし、犠牲になるのは大人だけではなく子どもだったりするので戦争を起こしてはいけない、肌の色も国籍も関係ない、ただ生きたいだけ、家族の元に帰りたい。銃ではなく愛を持てる環境に社会がなればいいと思います。それを訴えていくことが大事だと思います。今日、この映画をご覧になった方は、ぜひ、こういう映画があったんだよ、人に国境はない、人と人は繋がることができるんだよということを回りの人にお伝えいただければ嬉しいです。
明るく爽やかなサヘルさんですが、この映画をご覧になって、彼女の幼少期の記憶があるからこそ感じられたことが多々あることと思わせてくれるトークでした。
サヘルさんは、この映画の舞台となった国境近くの町で生まれ、幼少期にイラン・イラク戦争の折のイラクからの爆撃で家族全員を失いました。その後、育ての母に連れられて日本に移住。高校時代からテレビや映画で活躍されています。
MCはラジオ「すまいるFM」パーソナリティのデッキーさん。
トークの中から、印象的だったことをお届けします。
サヘル:出演している3人は、ペルシア語、アラビア語、英語と言葉は違うけど、ぶつかりあいながら、次第に心が通じていきます。最初、船の中にヒモで境界線を作ったのが、子どもたちはいつのまにかヒモで作った境をはずしています。国境があるからこそ出来た溝を、子ども目線で教えてくれる。
舞台はおそらくホッラムシャハルだと思います。去年、自分が生まれた町を訪れたのですが、川から観た風景にすごく似ています。イ・イ戦争の時に一番被害にあった場所で、廃船もいっぱい浮いています。川に、いつのまにか、誰かが国境線を引いて、向う側には兵士がいる。生まれた場所が違って、言葉が違うだけで、同じ人間なのに敵対している。なんのためのボーダーなのだろうかと思いました。
中東というと、いっしょくたにされますが、それぞれ人も文化も違います。小さい時に大人から教わった隣の国の人は怖いということをほんとうだと思い込んでしまったりしています。この映画では、アメリカ兵を悪者に描いてない。闘っているのは家族のため。闘いたくて、ここに来ているのじゃない。どこかで犠牲になっているのが人だと思います。
MC:お互いを知ることが大事ですね。言葉ですが、アラビア語はわかりますか?
サヘル:イランではアラビア語はコーランを詠むために学びますが、会話はわからない。
MC:侵入してきたのが女の子だと、撮影の時にも最初に教えなかったそうですが・・・
サヘル:女の子だと教えなかったのは、イランでは高校まで男女別で、大人になるまで家族や親戚じゃない異性としゃべることがないので、女の子とわかったらどう接していいかわからない。女の子だとわかった時に、男の子はほんとに自然に驚いて女の子として接しています。
(注:監督の説明では、侵入してくる少年を演じているのが実は女の子だと最初からわかっていると、女性は大切に扱うものという意識が働くので、知らせなかったとのことでした。)
MC:釣って売っていた魚は?
サヘル:ナマズだと思います。フライにしたり、中にお米を入れてオーブンで焼いたりします。北の方ではチョウザメの中のキャビアはお金持ちや外国に売りますが、チョウザメの白身は食べます。
MC:女の子が魚代として、イラクの1000ディナールを入れていますが、日本円で百円くらい。安すぎませんか?
サヘル:いえ、高いと思います。
MC:イラン映画というと、答えのないものが多いですね。この映画では、最初から言葉も説明も少ないですが・・・
サヘル:説明が少ない理由は、製作する時にまず国の検閲を受けないといけない。さらに、完成してからも検閲を通らないと映画を上映できないので、政治的なことをストレートに描くと公開できなかったりします。観ている人に伝えたいメッセージを、あえて表に出さないで隠しているのだと思います。
最後に:
今日は子どもがいらしていてすごく嬉しかったです。楽しめた? いくつ?
小さい子たちが、普通の家庭で育ってほしいし、犠牲になるのは大人だけではなく子どもだったりするので戦争を起こしてはいけない、肌の色も国籍も関係ない、ただ生きたいだけ、家族の元に帰りたい。銃ではなく愛を持てる環境に社会がなればいいと思います。それを訴えていくことが大事だと思います。今日、この映画をご覧になった方は、ぜひ、こういう映画があったんだよ、人に国境はない、人と人は繋がることができるんだよということを回りの人にお伝えいただければ嬉しいです。
明るく爽やかなサヘルさんですが、この映画をご覧になって、彼女の幼少期の記憶があるからこそ感じられたことが多々あることと思わせてくれるトークでした。
2015年10月08日
山ドキに参加するコスタリカからやってきたイランの女性監督と過ごした日 (咲)
本日開幕した山形国際ドキュメンタリー映画祭2015。
シネジャからは暁さんと美さんが初日の本日より山形入り。千絵さんも終盤に駆け付ける予定です。2年に一度の映画祭、しかも今回は「アラブをみる」の特集もあって、なんとか参加したかったのですが、そうそう家を空けるわけに行かず断念!
残念に思っていたら、「ラテンアメリカ――人々とその時間:記憶、情熱、労働と人生」部門に短編映画『木』(原題:Derakht)を出品している若き女性監督ローヤ・エシュラギさんが映画祭を前に4日に来日。5日、銀座や浅草を一緒に散策してきました。
コスタリカからメキシコ経由、2日かけてやってきた彼女は、実はイラン人。イランの古都エスファハーン生まれで、15歳の時に両親と共にコスタリカに移住。2か月前までキューバの大学で映画を学んでいた30歳。
coach surfingで見つけた新高島平に住む日本女性宅に泊まっているというので、三田線で迎えに行き、まずは歌舞伎座を見せてあげようと、日比谷駅で下車。私お気に入りのペニンシュラホテルのおトイレに寄ったのですが、その素晴らしさに感激して写真を撮りまくってました。
生演奏の聴こえてくるロビーで、やっとwifiが繋がる!と、iPhoneからあちこちにメール。
ペニンシュラホテルの裏手に出ると、もう通りはすっかり秋。
秋を撮るローヤさんでした。
歌舞伎座では着物の女性を見かけて興味津々。
ペニンシュラでゆっくりし過ぎたので、あまり時間はなかったのですが、大急ぎで浅草へ。
振袖姿の若い女性二人を見つけて、一緒に撮りたいと声をかけたら、日本語が通じない・・・・
中国人観光客でした!
いや〜 銀座も浅草も、国慶節の休暇ということもあって、中国人がいっぱい!
ローヤさんからは、どうして中国人と区別できるの〜?と言われ、ちょっとヒントをあげたら、彼女も段々わかるように・・・
もう、観るものすべて興味津々のローヤさんでしたが、一番気に入ったのは、どうやらペニンシュラのおトイレのようでした!
ローヤさんの短編:
『木』原題:Derakht
監督、脚本:ローヤ・エシュラギ
キューバ、イラン/2014/Blu-ray/14分
*「ラテンアメリカ――人々とその時間:記憶、情熱、労働と人生」部門の
EICTV短編映画集の一本 上映日程:10月13日 17:30〜
山形国際ドキュメンタリー映画祭2015
期間:2015年10月8(木)〜15(木)
公式サイト:http://www.yidff.jp/home.html
★「アラブをみる――ほどけゆく世界を生きるために」のプログラムのうちの1本が、10月15日に東京でも上映されます。
2015年10月15日(木)16:00〜18:30
会場:日本財団ビル
上映作品:『城壁と人々』(フランス、アルジェリア、モロッコ/2014/83分)
【登壇】監督:ダリーラ・エッナーデル氏
モデレーター:師岡カリーマ・エルサムニー氏
参加費無料、仏語・日本語逐次通訳付、申し込み先着順
参加ご希望の方は、下記ページより10月14日(水)17:00までに申込みください。
https://www.spf.org/smeif-j/news/article_17660.html
シネジャからは暁さんと美さんが初日の本日より山形入り。千絵さんも終盤に駆け付ける予定です。2年に一度の映画祭、しかも今回は「アラブをみる」の特集もあって、なんとか参加したかったのですが、そうそう家を空けるわけに行かず断念!
残念に思っていたら、「ラテンアメリカ――人々とその時間:記憶、情熱、労働と人生」部門に短編映画『木』(原題:Derakht)を出品している若き女性監督ローヤ・エシュラギさんが映画祭を前に4日に来日。5日、銀座や浅草を一緒に散策してきました。
コスタリカからメキシコ経由、2日かけてやってきた彼女は、実はイラン人。イランの古都エスファハーン生まれで、15歳の時に両親と共にコスタリカに移住。2か月前までキューバの大学で映画を学んでいた30歳。
coach surfingで見つけた新高島平に住む日本女性宅に泊まっているというので、三田線で迎えに行き、まずは歌舞伎座を見せてあげようと、日比谷駅で下車。私お気に入りのペニンシュラホテルのおトイレに寄ったのですが、その素晴らしさに感激して写真を撮りまくってました。
生演奏の聴こえてくるロビーで、やっとwifiが繋がる!と、iPhoneからあちこちにメール。
ペニンシュラホテルの裏手に出ると、もう通りはすっかり秋。
秋を撮るローヤさんでした。
歌舞伎座では着物の女性を見かけて興味津々。
ペニンシュラでゆっくりし過ぎたので、あまり時間はなかったのですが、大急ぎで浅草へ。
振袖姿の若い女性二人を見つけて、一緒に撮りたいと声をかけたら、日本語が通じない・・・・
中国人観光客でした!
いや〜 銀座も浅草も、国慶節の休暇ということもあって、中国人がいっぱい!
ローヤさんからは、どうして中国人と区別できるの〜?と言われ、ちょっとヒントをあげたら、彼女も段々わかるように・・・
もう、観るものすべて興味津々のローヤさんでしたが、一番気に入ったのは、どうやらペニンシュラのおトイレのようでした!
ローヤさんの短編:
『木』原題:Derakht
監督、脚本:ローヤ・エシュラギ
キューバ、イラン/2014/Blu-ray/14分
*「ラテンアメリカ――人々とその時間:記憶、情熱、労働と人生」部門の
EICTV短編映画集の一本 上映日程:10月13日 17:30〜
山形国際ドキュメンタリー映画祭2015
期間:2015年10月8(木)〜15(木)
公式サイト:http://www.yidff.jp/home.html
★「アラブをみる――ほどけゆく世界を生きるために」のプログラムのうちの1本が、10月15日に東京でも上映されます。
2015年10月15日(木)16:00〜18:30
会場:日本財団ビル
上映作品:『城壁と人々』(フランス、アルジェリア、モロッコ/2014/83分)
【登壇】監督:ダリーラ・エッナーデル氏
モデレーター:師岡カリーマ・エルサムニー氏
参加費無料、仏語・日本語逐次通訳付、申し込み先着順
参加ご希望の方は、下記ページより10月14日(水)17:00までに申込みください。
https://www.spf.org/smeif-j/news/article_17660.html
2015年10月02日
ニコラス・サプトラに会えた! 今年も充実のアジアフォーカスの旅でした (咲)
25周年を迎えたアジアフォーカス・福岡国際映画祭。シルバーウィークの5連休を挟んだ9月18日(金)〜25日(金)の期間で開催されました。
キャナルシティの運河に浮かぶレッドカーペットでのオープニングセレモニーも気になったけれど、旅費が高くつくので連休2日目の20日から24日の4泊5日で6月末に手配。
そしたら、なぁんとインドネシアの美男俳優ニコラス・サプトラがオープニングに登場とのニュース! きっと私が着く頃には入れ違いで帰ってしまっているのでは・・・と、広報担当者の方へのメールでつぶやいたら、お忙しい中、「22日まで滞在されます!」との返事が速攻で返ってきて、もうウキウキ♪
事前にイラン、トルコ、キルギスの3作品のゲストへのインタビュー時間を設定していただいたので、合間に福岡在住の友人たちと会う日程も決めて、用意周到で、20日の早朝7時半発のフライトで、いざ福岡へ。
ところが、着陸態勢に入ってから、先行の飛行機が着陸時に鳥と衝突して滑走路点検の為、低空旋回して待機することに・・・ お蔭様でたっぷり福岡の町を上空から楽しみました。
10時からのインド映画『裁き』(原題:Court法廷)には大幅遅刻!
プロデューサ−のヴィヴェーク・ゴームベールさんとチャイタニヤ・タームハネー監督
法廷のシーンだけでなく、女性検察官や若い弁護人たちの日常生活に重点を置いたとQ&Aで語っていたのが印象に残りました。下水掃除人の自殺を促したとして捕まった差別撤廃を歌う65歳の歌手を巡る裁判。半分しか観られず、いつかちゃんと観たい作品。
1時 トルコ『望郷のうた』
1990年代、東トルコの故郷からイスタンブルへの移住を余儀なくされたクルド人のアリ。小学校教師となったアリの年老いた母親は故郷の村で死にたいという・・・
助演のアジズ・チャプクルトさんが来日。クルド語の使用が禁止されていた1990年代初頭に、クルド語で授業をした罪で捕われる教師役を熱演。
アジズさん自身、15歳の時、東トルコのカルス郊外からイスタンブルに移住。警察の検査に備えて、クルド音楽のカセットテープは、マイケル・ジャクソンなどのカバーに変えていたと笑います。
エロル・ミンタシュ監督とは古い友人。小学生に語る孔雀になろうとしたカラスの物語は、姿を変えてもアイデンティティは変えられないという思いを込めた監督のオリジナルの寓話。
6時半 インドネシア『サガルマータ』
空のてっぺんサガルマータ(ヒマラヤ)を目指す女性二人の物語。一人は小説家志望、もう一人は写真家志望。二人で本を出そうと夢見るが登山途中で友情に亀裂が入り、一人が行方不明になる・・・
主演女優ランガニ・プスパンディアさんとプロデューサーのアブドゥル・マナフさんが登壇。
インドからネパールへと実際にロケしたロードムービー。資金が底をつき、帰路、インドの駅やマレーシアの空港で寝る羽目に。絶対忘れられない貴重な経験と語りました。
9月21日
9時45分 イラン『未熟な柘榴』
大邸宅に一人で住む認知症の老婦人の世話をする妻と、溶接工の夫。貧しくも仲の良い二人は、いつも待ち合わせて郊外の家に帰る。ある日、夫が現われない。作業用ゴンドラから落ちて入院し、意識はいつまでたっても戻らない。そんな折、結婚して8年にして身篭ったことがわかる・・・
意識不明の夫を抱えながら、仕事先では、老婦人に立ち退きを迫る持ち主の代理人と対峙する気丈な女性を演じたアンナ・ネーマティさん。映画での地味な姿と対照的に華やかな雰囲気。「自分と遠い役柄に挑戦できたのは運命」と語りました。次作の撮影が迫っていて、このQ&A直後に帰国。個別取材はできませんでした。残念!
2時からの監督インタビューの打ち合わせも兼ねて、12:05からの中国映画『赤い季節の忘却』は諦めて、佐賀在住のペルシア語科卒業生のTさんとスペイン料理のランチ。
マジドレザ・モスタファウィ監督と、女優さんと見紛う美しい奥様。
奥様は著名な画家で、映画に出てくる大邸宅の壁を飾る絵はすべて奥様の描かれたものとのこと。
上映後のQ&Aで、社会派ドラマで、前大統領の時代には、検閲に通る可能性がなかったとおっしゃっていたので、前大統領時代と今とどう変わったかをお伺いしたら、堰を切ったようにあれこれお話されました。(詳細は本誌で!)
4時 インドネシア『動物園からのポストカード』
月夜にジャカルタの動物園に置き去りにされ、動物と共に育ったラナ。不意に現われたカウボーイ姿のマジシャンと恋に落ちる・・・
実は4時半からの台湾映画『その夏に抱かれて』を観る予定だったのですが、ニコラス・サプトラ出演作なので、急きょ変更! 思惑通り、Q&Aに登壇。やっと会えました!
ニコラス演じるマジシャンは自ら箱に入って、ラナに火をつけさせるのですが、そのまま消えてしまいます。「ファンの私としては、あれきり再登場しなかったのは寂しかった。マジシャンが自分自身を永久に消してしまったのはどんな思いから?」と、思わず質問してしまいました。
福岡でニコラスはリリ・リザ監督の『GIE』(2005年)の主役として人気。多くの人がサインやツーショットを求めました。もちろん、私も! (久しぶりにミーハー心が沸きました!)
エドウィン監督とニコラス・サプトラ
6時40分 インドネシア『モルッカの光』
1999年、モルッカ諸島でイスラム教徒とキリスト教徒が大衝突する。そんな中、サッカーで子どもたちの心を暴力から救おうとする青年の物語。
上映前にアンガ・ドゥイマス・サソンコ監督が登壇。「人間性と寛容を忘れてはいけない。この映画は意見表明となっています」と語りました。
最後まで観たかったのですが、途中で7時半からの台湾映画『コードネームは孫中山』に走りました。面白い映画ではあったのですが、『モルッカの光』を最後まで観るべきでした。
この後、インドネシア映画『オペラジャワ』の途中から入って、伝統音楽や舞踊によるミュージカルをちょっぴり味わって、福岡の映画サークルの友たちとの映画談義へ。
9月22日
10時 インドネシア『黄金杖秘聞』
黄金杖の奥義を受け継ぐチュンパカ師の後継者を巡る4人の弟子の争い。
上映前に主演のニコラス・サプトラが登壇。「インドネシアで1980年代に流行った武侠映画も、20年以上作られていませんでした。新しい解釈の武侠映画を楽しんでください」とアピール。
上映後、再度登壇。すべての役者が武術の経験なく、撮影前6ヶ月にわたり様々な武術を特訓したとのこと。「強い力を持ったとき、良い心を持つことが何より大事」と語りました。次回作は、『ビューティフル・デイズ』(2002年公開)の15年後を描いた作品。10月にインドネシアで公開予定とのこと。日本での公開が待ち遠しいです。
1時 キルギス『山嶺(さんれい)の女王 クルマンジャン』
『Little Big Master(原題)』(香港・中国)と共に観客賞候補と、福岡の映画サークルの方たちが口々に語っていた作品。口コミで評判を呼んだのか、あっという間に満席に。入れなかった方が続出。シネジャの美さんも入れず。
19世紀初頭、キルギスの部族長(ダトカ)に嫁ぎ、夫亡き後、部族長としてキルギスの各部族をまとめ、人々に慕われた実在の女性クルマンジャンの生涯を描いた壮大な物語。
アソシエート・プロデューサーのイディリソワ・チョルポンさんに個別取材。
クルマンジャンの息子の嫁役として出演もしていますが、女優としてよりも、製作側で活躍するため、モスクワに留学したいと意欲的。
キルギスでは、長編は年に4〜5本しか製作されていませんが、中・短編は120本位製作さていて、若い世代の半分は女性監督。クルマンジャンのように女性の活躍がめざましいようです。
既婚女性は、まるで包帯をぐるぐる巻きにしたような被り物をしています。(右のポスター参照) お聞きしたら、通常2〜3キロ。重いものでは5キロ位のものも。姿勢をよくする効果のほか、遠出中に出産した時には赤ちゃんのおくるみに、戦で怪我した時には包帯になるとのこと。見た目の印象に間違いはなかった!
取材を終えて、携帯をみたら、レスリー・チャン追っかけ仲間のお友達が亡くなられたとのメール・・・ 実はちょうどこの時、レスリーの思い出があるグランドハイアットのロビーで、福岡在住の追っかけ仲間と待ち合わせしていたのです。もう、会うなり涙の報告でした。闘病されていたことも知らず、2年前の4月1日にお会いしたのが最後になってしまいました。会いたい人には、できるだけ会えるチャンスを作って会っておかないと・・・と、しみじみ。
6時半 観客賞授賞式
まずは観客投票第2位に贈られる熊本市賞から発表。
キルギスの『山嶺(さんれい)の女王 クルマンジャン』が受賞。
そして、福岡観客賞は、香港・中国映画『Little Big Master(原題)』に! まさに私の周りで予想していた通りでした。
エイドリアン・クワン監督、受賞の喜びを語りながら、涙ぐむ姿がなんとも可愛かったです。
9月23日
10時 香港・中国『Little Big Master(原題)』
福岡観客賞受賞後の上映とあって、朝からほぼ満席!
香港の新界の村にある幼稚園が園児5人になって閉園の危機にあるのを、わずかな報酬で園長に就任して立て直し、貧しい家庭の園児たちを救った実話をもとにした映画。
ミリアム・ヨンが園児たちを思いやる園長を好演。歴史博物館の学芸員の夫役はルイス・クー。眼鏡をかけてグッと地味な雰囲気で、これまた好演。
監督・脚本のエイドリアン・クワンさん(左)と脚本のハンナ・チャンさん
この日のQ&Aでも、エイドリアン・クワン監督、語りながら何度も涙していました。
ぜひ観客の皆さんと一緒に撮りたいとの希望で、和気藹々の記念撮影となりました。
午後、福岡在住の大学の同級生と 能古島散策。
姪浜からフェリーでわずか10分! まるで香港のスターフェリーのよう!
檀一雄の終の棲み家となった能古島のご自宅裏にある文学碑
船着き場近くの能古保育園。島に幼い子はどれくらいいるのでしょう・・・
『Little Big Master』に出てきた香港の過疎の幼稚園を思い出してしまいました。
7時 フィリピン『インビジブル』
日本で働くフィリピン人の姿を福岡と旭川で撮影。
さっき能古島から観た福岡タワーも出てきました。
(実は、同じ時間帯に上映された『なつやすみの巨匠』はオール能古島ロケの映画でした。『インビジブル』は東京国際映画祭で上映されるとわかり、そっちを観るべきだったと残念!)
9月24日
地下鉄の一日乗車券を買って、映画の前に大濠公園と、祇園の東長寺へ。
東長寺に大仏様がいらっしゃると福岡の友人に聞いて行ってみたのですが、ほんとに立派な大仏様。高さ10.8メートル、平成4年完成。
無料拝観できるのですが、蝋燭とお線香を50円で購入してお供え。大仏様の脇から地獄巡りができるようになっていて、8つの地獄の説明のあと、真っ暗なところを手摺を頼りに歩きます。抜け出たところは極楽!(明るくなっただけでした・・・)
蝋燭とお線香の係の女性の方が追いかけてきて、「お彼岸ですから」と、おはぎ(3個入り!)を下さいました。あ〜これが極楽だったのね!
毎朝お参りした櫛田神社にも、最後のお参り。
10時半 トルコ『望郷のうた』を再度観ることに。
アジズ・チャプクルトさんがまだ滞在されていて、上映後、会場の外で観客の方から質問を受けるのをそばで聞くことができました。
1時 ドキュメンタリー特集 アジア・リミックスとして上映されたトルコ映画『Remake, Remix, Rip-off』
1960年代以降のトルコの娯楽映画の歴史。アメリカ映画のぱくりが続出。ターザンやドラキュラ、スーパーマン。中には、ゾンビに忍者や、西部劇にカンフーの組み合わせと、ハチャメチャ。ブルース・リー、トルコでも人気だったのですね。日本では社会派監督として知られるユルマズ・ギュネイがアクション映画スターとして活躍する姿も観れました。あ〜面白かった!
この後、『山嶺(さんれい)の女王 クルマンジャン』の最後の30分を観に行きました。
平日にもかかわらず、ほぼ満席!
上映が終わって、福岡の映画サークルの方たちやシネジャの美さんと会場の脇で最後の映画談議。ロールケーキの差し入れをいただいたり、あれこれお土産をいただいたり、ほんとに福岡の方たち、優しい! 楽しいおしゃべりが続きましたが、後ろ髪をひかれる思いで、6時のフライトに急ぎました。
5日間で観たのは、10作品。その他4作品の一部を鑑賞と、ちょっと少な目。
同じ日程で東京から参加した友人は、18本観ているのですが、個別取材もできたし、町歩きも出来たし、何より毎晩、福岡や地方から来た方たちと映画談議もできたので良しとしよう!
☆オマケ
映画祭では、合間に食事をする時間がなかなかないので、今回はホテルの朝食付きパッケージに。お気に入りのホテルエクレール博多はプチホテル風。
朝食は1階のアイリッシュ・パブで。パン、ヨーグルト、コーヒーなどはお代わり自由。たっぷり食べて一日に備えます。
映画の合間には、皆さんからいろいろ差し入れも飛び交って、美味しい福岡でした。
キャナルシティの運河に浮かぶレッドカーペットでのオープニングセレモニーも気になったけれど、旅費が高くつくので連休2日目の20日から24日の4泊5日で6月末に手配。
そしたら、なぁんとインドネシアの美男俳優ニコラス・サプトラがオープニングに登場とのニュース! きっと私が着く頃には入れ違いで帰ってしまっているのでは・・・と、広報担当者の方へのメールでつぶやいたら、お忙しい中、「22日まで滞在されます!」との返事が速攻で返ってきて、もうウキウキ♪
事前にイラン、トルコ、キルギスの3作品のゲストへのインタビュー時間を設定していただいたので、合間に福岡在住の友人たちと会う日程も決めて、用意周到で、20日の早朝7時半発のフライトで、いざ福岡へ。
ところが、着陸態勢に入ってから、先行の飛行機が着陸時に鳥と衝突して滑走路点検の為、低空旋回して待機することに・・・ お蔭様でたっぷり福岡の町を上空から楽しみました。
10時からのインド映画『裁き』(原題:Court法廷)には大幅遅刻!
プロデューサ−のヴィヴェーク・ゴームベールさんとチャイタニヤ・タームハネー監督
法廷のシーンだけでなく、女性検察官や若い弁護人たちの日常生活に重点を置いたとQ&Aで語っていたのが印象に残りました。下水掃除人の自殺を促したとして捕まった差別撤廃を歌う65歳の歌手を巡る裁判。半分しか観られず、いつかちゃんと観たい作品。
1時 トルコ『望郷のうた』
1990年代、東トルコの故郷からイスタンブルへの移住を余儀なくされたクルド人のアリ。小学校教師となったアリの年老いた母親は故郷の村で死にたいという・・・
助演のアジズ・チャプクルトさんが来日。クルド語の使用が禁止されていた1990年代初頭に、クルド語で授業をした罪で捕われる教師役を熱演。
アジズさん自身、15歳の時、東トルコのカルス郊外からイスタンブルに移住。警察の検査に備えて、クルド音楽のカセットテープは、マイケル・ジャクソンなどのカバーに変えていたと笑います。
エロル・ミンタシュ監督とは古い友人。小学生に語る孔雀になろうとしたカラスの物語は、姿を変えてもアイデンティティは変えられないという思いを込めた監督のオリジナルの寓話。
6時半 インドネシア『サガルマータ』
空のてっぺんサガルマータ(ヒマラヤ)を目指す女性二人の物語。一人は小説家志望、もう一人は写真家志望。二人で本を出そうと夢見るが登山途中で友情に亀裂が入り、一人が行方不明になる・・・
主演女優ランガニ・プスパンディアさんとプロデューサーのアブドゥル・マナフさんが登壇。
インドからネパールへと実際にロケしたロードムービー。資金が底をつき、帰路、インドの駅やマレーシアの空港で寝る羽目に。絶対忘れられない貴重な経験と語りました。
9月21日
9時45分 イラン『未熟な柘榴』
大邸宅に一人で住む認知症の老婦人の世話をする妻と、溶接工の夫。貧しくも仲の良い二人は、いつも待ち合わせて郊外の家に帰る。ある日、夫が現われない。作業用ゴンドラから落ちて入院し、意識はいつまでたっても戻らない。そんな折、結婚して8年にして身篭ったことがわかる・・・
意識不明の夫を抱えながら、仕事先では、老婦人に立ち退きを迫る持ち主の代理人と対峙する気丈な女性を演じたアンナ・ネーマティさん。映画での地味な姿と対照的に華やかな雰囲気。「自分と遠い役柄に挑戦できたのは運命」と語りました。次作の撮影が迫っていて、このQ&A直後に帰国。個別取材はできませんでした。残念!
2時からの監督インタビューの打ち合わせも兼ねて、12:05からの中国映画『赤い季節の忘却』は諦めて、佐賀在住のペルシア語科卒業生のTさんとスペイン料理のランチ。
マジドレザ・モスタファウィ監督と、女優さんと見紛う美しい奥様。
奥様は著名な画家で、映画に出てくる大邸宅の壁を飾る絵はすべて奥様の描かれたものとのこと。
上映後のQ&Aで、社会派ドラマで、前大統領の時代には、検閲に通る可能性がなかったとおっしゃっていたので、前大統領時代と今とどう変わったかをお伺いしたら、堰を切ったようにあれこれお話されました。(詳細は本誌で!)
4時 インドネシア『動物園からのポストカード』
月夜にジャカルタの動物園に置き去りにされ、動物と共に育ったラナ。不意に現われたカウボーイ姿のマジシャンと恋に落ちる・・・
実は4時半からの台湾映画『その夏に抱かれて』を観る予定だったのですが、ニコラス・サプトラ出演作なので、急きょ変更! 思惑通り、Q&Aに登壇。やっと会えました!
ニコラス演じるマジシャンは自ら箱に入って、ラナに火をつけさせるのですが、そのまま消えてしまいます。「ファンの私としては、あれきり再登場しなかったのは寂しかった。マジシャンが自分自身を永久に消してしまったのはどんな思いから?」と、思わず質問してしまいました。
福岡でニコラスはリリ・リザ監督の『GIE』(2005年)の主役として人気。多くの人がサインやツーショットを求めました。もちろん、私も! (久しぶりにミーハー心が沸きました!)
エドウィン監督とニコラス・サプトラ
6時40分 インドネシア『モルッカの光』
1999年、モルッカ諸島でイスラム教徒とキリスト教徒が大衝突する。そんな中、サッカーで子どもたちの心を暴力から救おうとする青年の物語。
上映前にアンガ・ドゥイマス・サソンコ監督が登壇。「人間性と寛容を忘れてはいけない。この映画は意見表明となっています」と語りました。
最後まで観たかったのですが、途中で7時半からの台湾映画『コードネームは孫中山』に走りました。面白い映画ではあったのですが、『モルッカの光』を最後まで観るべきでした。
この後、インドネシア映画『オペラジャワ』の途中から入って、伝統音楽や舞踊によるミュージカルをちょっぴり味わって、福岡の映画サークルの友たちとの映画談義へ。
9月22日
10時 インドネシア『黄金杖秘聞』
黄金杖の奥義を受け継ぐチュンパカ師の後継者を巡る4人の弟子の争い。
上映前に主演のニコラス・サプトラが登壇。「インドネシアで1980年代に流行った武侠映画も、20年以上作られていませんでした。新しい解釈の武侠映画を楽しんでください」とアピール。
上映後、再度登壇。すべての役者が武術の経験なく、撮影前6ヶ月にわたり様々な武術を特訓したとのこと。「強い力を持ったとき、良い心を持つことが何より大事」と語りました。次回作は、『ビューティフル・デイズ』(2002年公開)の15年後を描いた作品。10月にインドネシアで公開予定とのこと。日本での公開が待ち遠しいです。
1時 キルギス『山嶺(さんれい)の女王 クルマンジャン』
『Little Big Master(原題)』(香港・中国)と共に観客賞候補と、福岡の映画サークルの方たちが口々に語っていた作品。口コミで評判を呼んだのか、あっという間に満席に。入れなかった方が続出。シネジャの美さんも入れず。
19世紀初頭、キルギスの部族長(ダトカ)に嫁ぎ、夫亡き後、部族長としてキルギスの各部族をまとめ、人々に慕われた実在の女性クルマンジャンの生涯を描いた壮大な物語。
アソシエート・プロデューサーのイディリソワ・チョルポンさんに個別取材。
クルマンジャンの息子の嫁役として出演もしていますが、女優としてよりも、製作側で活躍するため、モスクワに留学したいと意欲的。
キルギスでは、長編は年に4〜5本しか製作されていませんが、中・短編は120本位製作さていて、若い世代の半分は女性監督。クルマンジャンのように女性の活躍がめざましいようです。
既婚女性は、まるで包帯をぐるぐる巻きにしたような被り物をしています。(右のポスター参照) お聞きしたら、通常2〜3キロ。重いものでは5キロ位のものも。姿勢をよくする効果のほか、遠出中に出産した時には赤ちゃんのおくるみに、戦で怪我した時には包帯になるとのこと。見た目の印象に間違いはなかった!
取材を終えて、携帯をみたら、レスリー・チャン追っかけ仲間のお友達が亡くなられたとのメール・・・ 実はちょうどこの時、レスリーの思い出があるグランドハイアットのロビーで、福岡在住の追っかけ仲間と待ち合わせしていたのです。もう、会うなり涙の報告でした。闘病されていたことも知らず、2年前の4月1日にお会いしたのが最後になってしまいました。会いたい人には、できるだけ会えるチャンスを作って会っておかないと・・・と、しみじみ。
6時半 観客賞授賞式
まずは観客投票第2位に贈られる熊本市賞から発表。
キルギスの『山嶺(さんれい)の女王 クルマンジャン』が受賞。
そして、福岡観客賞は、香港・中国映画『Little Big Master(原題)』に! まさに私の周りで予想していた通りでした。
エイドリアン・クワン監督、受賞の喜びを語りながら、涙ぐむ姿がなんとも可愛かったです。
9月23日
10時 香港・中国『Little Big Master(原題)』
福岡観客賞受賞後の上映とあって、朝からほぼ満席!
香港の新界の村にある幼稚園が園児5人になって閉園の危機にあるのを、わずかな報酬で園長に就任して立て直し、貧しい家庭の園児たちを救った実話をもとにした映画。
ミリアム・ヨンが園児たちを思いやる園長を好演。歴史博物館の学芸員の夫役はルイス・クー。眼鏡をかけてグッと地味な雰囲気で、これまた好演。
監督・脚本のエイドリアン・クワンさん(左)と脚本のハンナ・チャンさん
この日のQ&Aでも、エイドリアン・クワン監督、語りながら何度も涙していました。
ぜひ観客の皆さんと一緒に撮りたいとの希望で、和気藹々の記念撮影となりました。
午後、福岡在住の大学の同級生と 能古島散策。
姪浜からフェリーでわずか10分! まるで香港のスターフェリーのよう!
檀一雄の終の棲み家となった能古島のご自宅裏にある文学碑
船着き場近くの能古保育園。島に幼い子はどれくらいいるのでしょう・・・
『Little Big Master』に出てきた香港の過疎の幼稚園を思い出してしまいました。
7時 フィリピン『インビジブル』
日本で働くフィリピン人の姿を福岡と旭川で撮影。
さっき能古島から観た福岡タワーも出てきました。
(実は、同じ時間帯に上映された『なつやすみの巨匠』はオール能古島ロケの映画でした。『インビジブル』は東京国際映画祭で上映されるとわかり、そっちを観るべきだったと残念!)
9月24日
地下鉄の一日乗車券を買って、映画の前に大濠公園と、祇園の東長寺へ。
東長寺に大仏様がいらっしゃると福岡の友人に聞いて行ってみたのですが、ほんとに立派な大仏様。高さ10.8メートル、平成4年完成。
無料拝観できるのですが、蝋燭とお線香を50円で購入してお供え。大仏様の脇から地獄巡りができるようになっていて、8つの地獄の説明のあと、真っ暗なところを手摺を頼りに歩きます。抜け出たところは極楽!(明るくなっただけでした・・・)
蝋燭とお線香の係の女性の方が追いかけてきて、「お彼岸ですから」と、おはぎ(3個入り!)を下さいました。あ〜これが極楽だったのね!
毎朝お参りした櫛田神社にも、最後のお参り。
10時半 トルコ『望郷のうた』を再度観ることに。
アジズ・チャプクルトさんがまだ滞在されていて、上映後、会場の外で観客の方から質問を受けるのをそばで聞くことができました。
1時 ドキュメンタリー特集 アジア・リミックスとして上映されたトルコ映画『Remake, Remix, Rip-off』
1960年代以降のトルコの娯楽映画の歴史。アメリカ映画のぱくりが続出。ターザンやドラキュラ、スーパーマン。中には、ゾンビに忍者や、西部劇にカンフーの組み合わせと、ハチャメチャ。ブルース・リー、トルコでも人気だったのですね。日本では社会派監督として知られるユルマズ・ギュネイがアクション映画スターとして活躍する姿も観れました。あ〜面白かった!
この後、『山嶺(さんれい)の女王 クルマンジャン』の最後の30分を観に行きました。
平日にもかかわらず、ほぼ満席!
上映が終わって、福岡の映画サークルの方たちやシネジャの美さんと会場の脇で最後の映画談議。ロールケーキの差し入れをいただいたり、あれこれお土産をいただいたり、ほんとに福岡の方たち、優しい! 楽しいおしゃべりが続きましたが、後ろ髪をひかれる思いで、6時のフライトに急ぎました。
5日間で観たのは、10作品。その他4作品の一部を鑑賞と、ちょっと少な目。
同じ日程で東京から参加した友人は、18本観ているのですが、個別取材もできたし、町歩きも出来たし、何より毎晩、福岡や地方から来た方たちと映画談議もできたので良しとしよう!
☆オマケ
映画祭では、合間に食事をする時間がなかなかないので、今回はホテルの朝食付きパッケージに。お気に入りのホテルエクレール博多はプチホテル風。
朝食は1階のアイリッシュ・パブで。パン、ヨーグルト、コーヒーなどはお代わり自由。たっぷり食べて一日に備えます。
映画の合間には、皆さんからいろいろ差し入れも飛び交って、美味しい福岡でした。