昨日は、東京フィルメックス最終日。
10:00からの『風櫃の少年』も観たかったのですが諦め、午後の『戯夢人生』(1993年)から拝見。
公開当時に観たので、もう20年以上前のことですが、人形芝居・布袋戯(台湾語でボテヒ)については強く印象に残っていました。あらためて観てみたら、 映画は人形使いの李天祿(リー・ティエンルー)さんを通して台湾の日本統治時代を描いたものでした。
盧溝橋事件から3年後に着任した長谷川総督が野外劇を禁止したため、10万人もの台湾の人たちが苦境に立たされたこと、日本兵として出征し戦死された台湾の方たちのこと、そして、疎開先でマラリアにかかって父親と息子を亡くされた李天祿さん・・・ 台湾の人たちの人生に日本統治が大きな影響を与えていたことをずっしりと感じました。後に大陸からやってきた国民党の仕打ちがひどかった為に、日本には好意的な感情を抱いている台湾の方が多いと聞いていたのですが、充分恨まれることをしていたのだとしみじみ。
上映後、ホウ・シャオシェン監督が登壇。大陸からわたってきた両親のもと、1947年に生まれた監督にとって、日本統治時代を過ごしてきた李天祿さんに出会えたからこそ撮れた作品との言葉がありました。もちろん、脚本のお一人、呉念眞(ウー・ニエンジェンウー)さんが台湾の閩南語に長けていて、父親や祖父が日本統治時代を過ごしてきた方だということも助けになったといいます。
外省人であるホウ・シャオシェン監督が、『悲情城市』や『戯夢人生』のような映画を作ったことに、あらためて感銘を受けたひと時でした。
司会:市山尚三さん、ホウ・シャオシェン監督、通訳:小坂史子さん
(重いカメラをやめて、コンパクトデジカメを持っていったら、ボケボケの写真しか撮れませんでした)
17:00 『念念』を再度拝見。27日に観たときに、時と場所が行ったり来たりして、ちょっと寝てしまったこともあって、消化不良だったのです。 もう一度観て、すっきり! とても素敵な作品です。ぜひ公開されるといいなと思います。
『念念』で朝日ホールでの上映は終了。すでにチラシも片付けられていて、あ〜終ったなぁと。
会場を出たところで、運よく林加奈子さん(東京フィルメックス・ディレクター)にお会いできました。「今年は中東関係が1本しかなくて、すみません。シミンちゃん(ファーテメ・モタメダリアさんのこと)の映画も観たんですけど、入れられなくて。でも、ショーレさん(ペルシア語通訳でお馴染みのゴルパリアンさん)はフィルメックスにはなくてはならない方なので、オープニングで英語通訳をしていただいて大活躍だったのですよ」とおっしゃってくださいました。 実は、今回、オープニングの日は、日本パキスタン協会主催のパキスタン・シンポジウムに行ってしまったのでした。ショーレさんが活躍された姿を見られなくて残念!
21:15から、TOHOシネマズ日劇で、いよいよ東京フィルメックス最後の上映作品『タクシー』。
22日に観ましたが、これはもう一度観たい!
で、再度観てみたら、 29日のスタッフ日記に書いたことに誤りを発見!
「金魚の入った鉢を持って乗り込んでくるチャードル姿の女性二人」と書いたのですが、チャードルではなく、柄物のスカーフに茶系のコートでした。 実は黒のチャードルと思い込んでいたのです。
あと、タクシーを貸切にするのを「ケラーイェ」と書きましたが、「ダル・バスト(扉を閉める)」と乗客が言っていて、あ〜そうだったと。(訂正済みです・・・)
ほかにも、こんな場面あったっけ?というところも。記憶って、ほんとに曖昧。
そして、映画って、何度観ても新しい発見があるから楽しい。
『タクシー』で始まり、『タクシー』で終わった私の今年の東京フィルメックス。
ほんとに充実の8日間でした。
東京フィルメックスの皆さんに感謝!
来年も楽しみにしています。