2016年04月17日
『オマールの壁』主演アダム・バクリさんに連日お会いした幸せな日々 (咲)
昨日4月16日(土)より公開されているパレスチナ映画『オマールの壁』。
ヨルダン川西岸地区に住むパレスチナの青年オマール。イスラエルが建設した分離壁の為、幼馴染や恋人の家に行くのに検問所を通らなければならない。近道をするため、8mもの高さの壁を乗り越えて行く日々。幼馴染のタレク、アムジャドと3人で、検問所襲撃を企てる。アムジャドの撃った弾がイスラエル兵に命中。数日後、イスラエルの秘密警察に拘束されたオマールは罠にかかり、協力者になるならと仮釈放される。だが、オマールは親友アムジャドを実行犯として差し出すことはできない。オマールはタレクの妹ナディアと恋仲だったが、仮釈放中にアムジャドもナディアが好きだと知る・・・
分離壁が物理的にパレスチナの人々を分断しているがごとく、イスラエルの秘密警察によって、仲のよかった友との心が分断されてしまうという衝撃的な物語。
2014年11月、立教大学で『オマール、最後の選択』のタイトルで上映されたのを観て、公開を待ち望んでいた作品です。
日本での公開を機に、純粋な心の持ち主オマールを演じたアダム・バクリさんが来日。到着当日の13日に、さっそくお会いする機会がありました。精悍な好男子! 1991年に、まだ分離壁のなかったパレスチナに行ったことをお話したら、彼は当時まだ4歳だったとのこと!
(撮影:宮崎暁美)
4月14日(木)、マスコミ試写の後、アダムさんが登壇。撮影で初めて分離壁を目の当たりにして、その高さに圧倒されたこと、映画が初めてお披露目されたパレスチナでの上映が印象的だったことなどをお話されました。
4月15日(金)には、3媒体合同でインタビュー。
映画の中では丸刈りだったアダムさんも、撮影から3年が経ち、素敵な長髪。イメージを崩さないよう毛糸の帽子を被って現われたアダムさん。思えば、映画の中では恋人ナディアが手編みの帽子をプレゼントしていました。
「どっちがいいですか?」と聞かれ、「どちらも!」と、2パターン撮らせていただきました。
まずは、カールした長髪のアダムさん。
次に帽子を被って、映画のオマールの雰囲気で。
Tシャツは、ストリートアーティスト、バンクシーが分離壁に描いた風船を持つ少女の図柄。よく見えるようにと、スカーフをはずしてくださいました。
バンクシーについては、『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』が公開中!
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/banksydoesny/
インタビューで、まず、最初に脚本を読んだときのことをお伺いしたら、力強いストーリーと、オマールの美しい魂に感動して震えたとのこと。
恋人ナディアと、そっと手紙のやりとりをしますが、アダムさん自身、高校生の時に好きな女の子に手紙と花を渡したことがあるそうです。
1時間にわたったインタビューの模様は、数日後にお届けします。
3日連続でお会いしたので、初日舞台挨拶の取材には行かないつもりだったのですが、聞き手が現代アラブ文学研究者の岡真理さん(京都大学大学院教授)と知って、これは行かなくては!と、駆けつけてきました。
岡真理さんらしい鋭い切り口(でも、口調は優しい)で、アダムさんに色々と質問を投げかけてくださいました。
「娯楽的な部分と、アート的部分の両方を織り交ぜて描いているのがハニ・アブ・アサド監督の素晴らしいところだと思います」とアダムさん。
岡さんからも、「占領の暴力を具体的に描くのではなくて象徴的な形で描いていて、1回観ても面白いのですが、繰り返し観ると象徴的な意味が見えてくると思います」と、何度も観て欲しいとアピール。
満席の客席から熱い拍手がおくられ、皆さん満足の舞台挨拶でした。
『オマールの壁』公式サイトに、初日舞台挨拶の様子がアップされています。
私からも詳しいバージョンを、後日お届けします。
映画とアダムさんを観て、興奮冷めやらぬ友人たちと、新宿御苑前のトルコ料理「ボスポラスハサン」へ。オクラの煮込みや豆の煮込みなど、美味しいトルコ料理をいただきながら、映画談義に花が咲きました。
トルコ映画鑑賞会『Mucize(奇跡)』、最後にわかった主役! (咲)
もう先週のことになってしまったのですが、4月9日(土)の夜、トルコ文化センター主催のトルコ映画鑑賞会で『Mucize(奇跡)』という映画を観てきました。
舞台は1960年、アドナン・メンデレス首相が軍事クーデーターで暗殺された年。イスタンブルから東トルコの山奥の小学校に単身赴任する教師。終点でバスを降りたら、目指す村はそこからさらにいくつも峠を越えていかなければならない辺鄙なところ。やっとザザ語を話すクルド人の村にたどり着いたら、皆から銃を向けられます。教師とわかったものの、学校の建物もないので、村長からはイスタンブルに帰ることを勧められます。皆で学校を作るところから始める教師・・・
最初に実話に基づく話とあり、てっきりこの教師の苦労話かと思ったら、実はそうではありませんでした。
村の独身男たちの嫁探しを母親を筆頭に女性たちが見定めにいくエピソードが出てきます。青い目の女性を!と、お願いした息子。初夜、ベールをあげてみれば、確かに目は青いのですが・・・という花嫁。次の独身男のお相手も、悪いけど笑ってしまう風貌!
ある時、殺人事件が起こります。殺された家族は、殺した相手の家族を殺してもいいという掟があるのですが、殺人の連鎖は絶ちなさいと村長が仲裁します。殺されずに済んだ男が、お礼に娘を村長の息子に差し上げるというのですが、村長の6人の息子のうち5人は既に結婚していて、独身の息子アジズは障がい者。村長は、障がいがあることを理由に断るのですが、それでもいいと娘はアジズの嫁となります。それが美人! これが実話でした。
思えば、この知能がちょっと遅れていて、まともにしゃべれないアジズが、小さな子どもたちと一緒に小学校で学ぶ姿が最初から出てきていました。アジズが行方不明になる場面も。ちゃんと伏線があったのです。
数年後、美人の奥さんと子どもと一緒に現われたアジズはちゃんとしゃべれるようになっています。 なるほど、これがタイトルの『奇跡』だったと納得。
映画の最後には、アジズのモデルとなった実在の方の姿も映し出されました。
映画を観終わって、日本語字幕を付けられたトルコ男性が司会進行を務めて、参加者が一人一人感想や質問を語る時間が設けられました。
監督のMahsun Kirmizigül は、歌手でもある方で、本作では脚本も担当。出演もしています。2015年にトルコで350万人動員したNo.1映画とのこと。
昨年、アジアフォーカス福岡国際映画祭で上映されたトルコ映画『望郷のうた』(2014年、エロル・ミンタシュ監督)が、やはり東部の村の小学校から始まったのですが、その風景と似ているなと思ったら、撮影は同じく東トルコのカルス近くで行われたそうです。
このトルコ映画鑑賞会、毎月開催されています。以前に一度参加したことはあったのですが、夜なのでなかなか行けないでいました。今回、イスラーム映画祭を主宰している藤本さんから「ペア割引があるので一緒に行きませんか」とお誘いを受けて、思い切って行ってきました。
参加費:1,500円 ※ケバブ、飲み物、ポップコーン ☆ ペア割・・・男女1組500円引き!
上映前に美味しいケバブサンドを頬張って、ポップコーンとチェリージュースをいただきながら鑑賞。上映後、いろいろな疑問も解けて、なかなか有意義な鑑賞会でした。
終ったあと、藤本さんや中東映画研究会のメンバーの方たちとおしゃべり。藤本さん、第2回のイスラーム映画祭に向けて、着々と作品選定されています。今年も期待できそうです。皆さん、どうぞお楽しみに!
★次回のトルコ映画鑑賞会は・・・
日時:5月14日(土) 17:30〜 (受付16:45~)
上映時間: 2時間弱
会場:新東京ビル 10階 (トルコ文化センターが入っているビルです。)
タイトル:『DEDEMIN INSANLARI』(おじいちゃんと仲間たち)
第一次世界大戦後、ギリシャのクレタ島からトルコに移民してきた人たちの物語
舞台は1960年、アドナン・メンデレス首相が軍事クーデーターで暗殺された年。イスタンブルから東トルコの山奥の小学校に単身赴任する教師。終点でバスを降りたら、目指す村はそこからさらにいくつも峠を越えていかなければならない辺鄙なところ。やっとザザ語を話すクルド人の村にたどり着いたら、皆から銃を向けられます。教師とわかったものの、学校の建物もないので、村長からはイスタンブルに帰ることを勧められます。皆で学校を作るところから始める教師・・・
最初に実話に基づく話とあり、てっきりこの教師の苦労話かと思ったら、実はそうではありませんでした。
村の独身男たちの嫁探しを母親を筆頭に女性たちが見定めにいくエピソードが出てきます。青い目の女性を!と、お願いした息子。初夜、ベールをあげてみれば、確かに目は青いのですが・・・という花嫁。次の独身男のお相手も、悪いけど笑ってしまう風貌!
ある時、殺人事件が起こります。殺された家族は、殺した相手の家族を殺してもいいという掟があるのですが、殺人の連鎖は絶ちなさいと村長が仲裁します。殺されずに済んだ男が、お礼に娘を村長の息子に差し上げるというのですが、村長の6人の息子のうち5人は既に結婚していて、独身の息子アジズは障がい者。村長は、障がいがあることを理由に断るのですが、それでもいいと娘はアジズの嫁となります。それが美人! これが実話でした。
思えば、この知能がちょっと遅れていて、まともにしゃべれないアジズが、小さな子どもたちと一緒に小学校で学ぶ姿が最初から出てきていました。アジズが行方不明になる場面も。ちゃんと伏線があったのです。
数年後、美人の奥さんと子どもと一緒に現われたアジズはちゃんとしゃべれるようになっています。 なるほど、これがタイトルの『奇跡』だったと納得。
映画の最後には、アジズのモデルとなった実在の方の姿も映し出されました。
映画を観終わって、日本語字幕を付けられたトルコ男性が司会進行を務めて、参加者が一人一人感想や質問を語る時間が設けられました。
監督のMahsun Kirmizigül は、歌手でもある方で、本作では脚本も担当。出演もしています。2015年にトルコで350万人動員したNo.1映画とのこと。
昨年、アジアフォーカス福岡国際映画祭で上映されたトルコ映画『望郷のうた』(2014年、エロル・ミンタシュ監督)が、やはり東部の村の小学校から始まったのですが、その風景と似ているなと思ったら、撮影は同じく東トルコのカルス近くで行われたそうです。
このトルコ映画鑑賞会、毎月開催されています。以前に一度参加したことはあったのですが、夜なのでなかなか行けないでいました。今回、イスラーム映画祭を主宰している藤本さんから「ペア割引があるので一緒に行きませんか」とお誘いを受けて、思い切って行ってきました。
参加費:1,500円 ※ケバブ、飲み物、ポップコーン ☆ ペア割・・・男女1組500円引き!
上映前に美味しいケバブサンドを頬張って、ポップコーンとチェリージュースをいただきながら鑑賞。上映後、いろいろな疑問も解けて、なかなか有意義な鑑賞会でした。
終ったあと、藤本さんや中東映画研究会のメンバーの方たちとおしゃべり。藤本さん、第2回のイスラーム映画祭に向けて、着々と作品選定されています。今年も期待できそうです。皆さん、どうぞお楽しみに!
★次回のトルコ映画鑑賞会は・・・
日時:5月14日(土) 17:30〜 (受付16:45~)
上映時間: 2時間弱
会場:新東京ビル 10階 (トルコ文化センターが入っているビルです。)
タイトル:『DEDEMIN INSANLARI』(おじいちゃんと仲間たち)
第一次世界大戦後、ギリシャのクレタ島からトルコに移民してきた人たちの物語