2016年07月29日

今年も熱かったSKIPシティ国際Dシネマ映画祭  (咲)

毎年楽しみにしているSKIPシティ国際Dシネマ映画祭。
2004年の初回から通い、今年で13回目。
7月16日(土)から9日間の期間中、いろいろと重なって、今回は20日と最終日の24日にしか参加できず、ちょっと心残り。
広報担当者の方から「今年は中東の作品はありませんが、インドとキルギスの作品があります」と案内をいただきました。まさに図星だったのですが、私の行ける20日の午前中に、この2カ国の映画がバッティング。監督が登壇されるキルギス映画『アンダー・ヘブン』のほうを観ることに。
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旧約聖書の「カインとアベル」をモチーフにしたと解説にありましたが、キルギスの大自然を背景に兄弟の愛憎を描いた作品で、キルギスの伝統文化を色濃く見せてくれる秀作でした。
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上映後、ダルミラ・チレプベルゲノワ監督にインタビュー。
詩人であり、ジャーナリストでもあるダルミラさんの初監督長編映画。キルギス文化情報観光省の支援を受けるにあたり、脚本段階で、国をもっとよく見せろと、書き直しもさせられたそうです。
キルギス色を強く出していますが、物語は兄弟や家族の関係を描いた普遍的なものと監督。

キルギス映画といえば、昨年アジアフォーカス福岡国際映画祭で、19世紀初頭、キルギスを率いた伝説の女性を描いた『山嶺(さんれい)の女王 クルマンジャン』を観ています。

ソ連から独立して、キルギス独自の伝統や文化を大切にして、国をあげて映画製作を応援していることを感じます。


7月24 日(日)、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016のクロージング・セレモニー
アニメーション部門、短編部門、長編部門の順で、各賞が発表され表彰式が行われました。

詳細は、公式サイトのクロージング報告でご覧ください。
http://www.skipcity-dcf.jp/news/dailynews/20160724_01.html

こぼれ話を少々。

アニメーション部門 最優秀作品賞『こんぷれっくす×コンプレックス』のふくだみゆき監督と、短編部門で奨励賞を受賞した『テイク8』の上田慎一郎監督はご夫婦。
上田監督が、「妻がアニメのグランプリを取ったので、自分も何か貰わないと帰った時の酒の味が違うので助かった」と語り、会場の笑いを誘いました。
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集合写真を撮る際にも、並んで座って仲睦まじいところをみせてくださいました。


最後に、気になる長編部門の発表。
どの作品が最優秀作品賞を取るのか、ドキドキしながら待ちました。
というのも、表彰式のあと、アニメーション部門、短編部門、長編部門それぞれの最優秀作品が上映されるのです。アニメーションと短編はどれも観ていないので、最優秀作品だけでも観られるのが嬉しい機会。長編部門は、今回、DVDも含めて4作品を観ているので、できれば観ていない作品が受賞してくれるといいなぁ〜という次第。ほんとなら、観て気に入った作品が受賞してほしいところですが・・・

日本作品に贈られるSKIPシティアワードは、藤村明世監督の『見栄を張る』が受賞。
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「1年前、将来に不安を覚え、大阪に行って撮影した作品です。信じる光に向かって走っていきたい」と藤村監督。

脚本賞は、ベルギーの『アヒルからの贈り物』(オリヴィエ・ランジェ監督)
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来日した撮影監督のミネア・ポペスクさんが登壇。
「スゴイ!」と、日本語で歓びの気持ちを発しました。

監督賞は、南太平洋の島国バヌアツを舞台に描いた『タンナ』。(オーストラリア・バヌアツ合作)
バヌアツの中でも、伝統的な暮らしを守るタンナ島。結婚は部族長が決めるのがしきたりでした。部族どうしの争いを鎮めるために、対立する部族長の息子のところに嫁入りさせられることになった娘が、恋人と駆け落ちし、あげく無理心中。その事件以降、自由恋愛が認められることになったそうです。
本作は、その事件の顛末を描いたもの。実際のタンナの人々が出演。古来からの暮らしを守る人たちの凄味を見せてくれます。一方、島の一部には、西洋化したキリスト教徒の住む地区もあって、文明とは?と、考えさせられました。
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二人の共同監督は来日できず、プロデューサーのキャロライン・ジョンソンさんが代わりに受賞。表彰状を落としてしまい、額からはずれてばらばらに。「大事な表彰状を落としてしまってすみません。でも、すぐに修復してくださいました」と、まずはお詫びの挨拶。「タンナの山の上に数千人が伝統的で自然な暮らしをしています。自分たちが正しく、西洋のやり方は間違っていると思っています。それが正しいのではと私も思っています。監督の二人は、7か月間、タンナの人たちと一緒に暮らして話し合いを重ね、彼らの物語を観客に楽しめるものに仕立てました」と語りました。これは是非公開してほしい作品。

最後に、最優秀作品賞の発表。
メキシコの『朝日が昇るまで』が受賞!
観ていなかった作品で、ほっ!
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アレハンドロ・グスマン・アルバレス監督が登壇。
自分の家にいるような心地のいい映画祭で、賞を貰った喜びを全身で語りました。
また、「映画祭でいろんな国の映画を観て、世界の人たちがどんな風に生きているのかを観られるのが楽しい」とも語りました。
表彰式後、映画を観てみたら、主人公は100キロ以上あるおデブちゃん。監督は、そこまではありませんが、体格がよくて、ちょっと主人公を彷彿させる雰囲気でした。
物語は、肥満ゆえに家から思うように出られない主人公が、古い写真に触発されて旅に出たいと旅行会社に問い合わせるも、ツアーに参加するのを断られ、カメラ屋の店番をしている孤独な青年と恐妻家の妹の夫に助けられて、海に昇る朝日を観に行くという心温まるものでした。

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最後に全員で記念写真。
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アレハンドロ・グスマン・アルバレス監督が、声援に応えてガッツポーズ

暑い夏の熱い映画祭も終わりました。また来年! (咲)


posted by sakiko at 10:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月18日

『シング・ストリート 未来へのうた』をHTC有楽町で

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シネジャに寄稿してくださっているSさんと待ち合わせ、今好評を博している『シング・ストリート 未来へのうた』を観てきました。
試写状をいただいていたのに、編集と重なって観そびれてしまい、公開早々の平日午後に一人で行ったら満席で入れなかったのです。本日はリベンジです。祝日なので朝イチの回をめがけてもっと早くに行ってみました。がっ、もう最前列と少し後ろにパラパラしか残っていません。みんな先にネット予約しているんですね。
Sさんと「ライブならかぶりつきの一等席だね」と言いながら並んで観ましたよ。最前列で見上げて。
入ったころには次の回も満席、その次は残席わずかとなっていました。これから観る予定の方は予約するか、早めに行ってチケットを買い、席を取ってから別の用事を済ませて戻ったほうがいいようです。
席は取りにくいけれど、劇場がいっぱいになるのはとっても嬉しいことです。

さて、作品は『ONCE ダブリンの街角で』『はじまりのうた』のジョン・カーニー監督の最新作。自身の青春時代を重ねて描いています。80年代のダブリンに住むバンドに目覚めた14歳の少年コナーが主人公。不況で父が失職し、夫婦喧嘩が絶えない家庭で、兄とレコードを聴き、テレビでPVを観るのを楽しみにしています。節約のため私立校から転校したガラの悪い公立校でいじめに合いますが、学校の近所に住む1歳年上のラフィーナに一目ぼれ。ロンドンへ出てモデルになるという彼女に「僕のPVに出て」と申し込み、大急ぎでバンドのメンバーを集めます。バンドの名前が「シング・ストリート」。
この主人公コナーほか少年たちがみなこの映画が初出演のういういしい子たち。どんどん歌がうまくなる設定ですが、コナー役の子はもともとボーイソプラノで舞台に上がった経験のある子。ハンサムだし、声もいいので人気が出そうです。脇の男の子たちにも注目。ウサギ好きの子と歯列矯正中の子が気に入りました。コナーが大好きな兄役は見覚えあり。『トランスフォーマー ロストエイジ』と『ロイヤルナイト 英国王女の秘密の外出』に出ていたジャック・レナーでした。

音楽にめざめていくコナーと仲間たちの青春映画ですが、この劇場の混みようには驚きです。出演者と同世代の若者ばかりでなく、80年代に同じように音楽を聴いていた元若者が集まっているのかなぁ(私はどっちでもありませんが)。「シング・ストリート」のライブを観ていると思えば、前の席も楽しいです。
posted by shiraishi at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする