講師は村山和之さん(中央大学・立教大学兼任講師)。
まずは、『ソング・オブ・ラホール』の主役である「サッチャル・ジャズ・アンサンブル」の初来日公演が決まったとのお知らせ。
「初来日公演」を行おうというクラウドファンディングも、無事目標金額に達成!
9月4日には、支援した方たち対象のプライベートコンサートが開かれますが、その前日、「東京JAZZ」での公演は、無料!
9月3日(土)21:15〜22:00 東京国際フォーラム the PLAZA(地上広場)
サッチャルは、東京JAZZのトリを務めます!
http://www.tokyo-jazz.com/jp/program/program_plaza0903.html
で、あとはビザを取るだけと、村山さん。
え〜間に合うのか・・・と心配になりますが、「なんとか辻つまが合うもんです」と、ドンと構える村山さん。
3日には、きっと素敵な演奏を聴かせてくれることでしょう!
さて、講演会。
『ソング・オブ・ラホール』を、より深く理解するために、パキスタンでの音楽家の位置づけについて、音楽のジャンルと共にわかりやすく解説してくださいました。
南アジアでは、古くから音楽楽士は「ミーラースィー」という職能として低く見られていること。ヒンドゥーからイスラーム(特にシーア派)やキリスト教に改宗しても、楽士という職能は世襲で変わらず、さげすまれる存在であること。(インドのラージャスターンでは、ミーラースィーであることを誇る人たちも)
ただ、低カーストであっても、貧乏とは限らない。その証拠に、サッチャルのメンバーの住む立派な住宅街が映し出されました。
パキスタンの音楽のジャンルとして、
*カウワーリー 神秘主義の宗教音楽。こちらは、ミーラースィーとは別のカースト。
村山さんから、以前にもよく見せていただいたのが、佳境に入ったところで、観客がお札を高らかに撒く姿。
*クラースィーク (伝統音楽) ちなみに西洋のクラッシックには呼び方がないそうです。
伝統的なヒエラルキーでは、声楽が一番上。
次に、メロディー楽器の弦楽器や笛。
打楽器は上記を支えるものとして、奏者の名前が表に出ない。
*サッチャルは、上記のヒエラルキーとは違う。
ほかにも、色々な音楽を紹介してくださったのですが、ここでは省略。
興味深かったのが、厳格なイスラーム思想のターリバーンが、音楽禁止といいながら、ターリバーンを称える音楽のカセットが多く売られているということ。ダフ(タンバリンのような打楽器)を叩きながらの歌。そも、クルアーンの詠唱もとても音楽的。
1977年に誕生したハック将軍の軍事政権が、イスラーム化を進め、音楽を禁じる前の時代の映像も見せてくださいました。
歌姫であり女優のヌール・ジャハーンがなまめかしく踊りながら歌う1973年の映画の場面。バックが、今のサッチャルのメンバーのお父さんの世代が演奏していることに注目して〜と言われましたが、ヌール・ジャハーンの姿に目がいってしまいました。
最後に見せてくださったのが、サッチャル・ジャズ・アンサンブルがニューヨーク公演を終えて帰国し、ラホールで開いた初めてのパキスタン公演。村山さんは、偶然居合わせ、長蛇の列にもかかわらず無事入場。 録画もOK(というか撮っていても注意されなかったそう)で、貴重な場面を見せていただくことができました。
村山さんが心配していたのが、カウワーリーのように、お札をばら撒く人がいるのではないかということ。観客は皆、きちんとした格好をしていて、お札を撒く人もなく、最後には大きな拍手。
サッチャルのメンバーは、逆に拍手に慣れてなくて、どうしていいかわからない状況なのが可笑しかったです。アンコールも念頭にないから、拍手が鳴り止まない中、楽器をケースにしまう団員も。
いや〜 楽しい演奏会でした。
村山さんいわく、床に座るのに大切なのが、「敷物」。東京でちゃんと用意してくれるのだろうかと心配なさっていました。
さて、東京公演、どうなりますか・・・