2016年11月19日

『皆さま、ごきげんよう』オタール・イオセリアーニ監督に煙に巻かれた記者会見 (咲)

怒涛の東京国際映画祭が終って、シネジャ98号の原稿に追われている中、グルジア(現ジョージア)出身のオタール・イオセリアーニ監督が『皆さま、ごきげんよう』公開を前に来日されました。
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映画祭の最中に、宣伝担当者の方が留守電を入れてくださっていたのですが、確認するのを忘れていて、7日の朝、問い合わせたら、その日の2時半から記者会見とのこと。(終ってなくて、ほっ!)
予定があって、遅れて3時頃に着いたら、「まだ1問目の答えを訳している最中です」とのこと。すでに30分経っているのに!?
おまけに私と入れ違いで監督は控え室に。(恐らく煙草を吸いにいらしたと、あとから推察)

訳している途中からだったので、どういう質問に対する答えなのかはわからないのですが、芸術として生まれた映画が、今や商売人の手に落ちてしまったこと、作家といえる映画の作り手は、数えるほどしかいなくなったこと、映像に付けられた音楽の効果で映画を素晴らしいと思ってしまう若い観客がいることなど、長々と続きました。通訳さん、凄い!

訳し終わったころに再登場した監督。「これだけ語ったから、もう質問する勇気のある人はいないでしょう」とおっしゃったのですが、勇気ある方が手を挙げました。
今回の映画が、フランス革命時代、ある戦場、そして現代のパリと3つの時代が描かれているのですが、「同じ役者が演じる老人が出てくるのは、東洋的な輪廻の思想から?」というキリスト教新聞の方からの質問。監督はそれには直接答えないで、ルターの宗教改革以前のキリスト教の功罪について、また持論を長々と語りました。

これでもう質問はないでしょうという監督に、「今のパリを撮るのは映画にとって大事なことですか?」との女性からの質問。「女性にはちゃんと答えましょう」という監督から、「撮影する際、それがどこかを気にしないでいいところで撮ります。パリの年代記を作る気はない。ダンボールの前で撮ってもいいのです」との答え。

続いて、「百年前の東京は素晴らしい町だったのに、今や煙草も吸えない冷たい町になった」と嘆かれました。愛煙家なのですね。82歳の今もお元気だけど、煙草はおやめになったらと、頑固そうな監督を前にふっと思ってしまいました。

会見中は、写真を撮らせなかった監督。やっと最後のフォトセッション。
「え? 僕を撮るの?」という感じで、あっという間に退場されてしまいました。
なんだか煙に巻かれたような会見でした。
いや〜 可笑しかった!

★『皆さま、ごきげんよう』は12月17日より岩波ホールほか全国順次公開
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/gokigenyou/
posted by sakiko at 12:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 取材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

エジプト映画 二つの無料の催しがあります♪  (咲) 

エジプトからアフマド・アブダッラー監督が来日し、映画の上映やワークショップが開かれます。いずれも無料。事前申込み不要です。ぜひ!
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◆エジプト映画の新潮流〜「マイクロフォン」(2010)上映とともに
日 時 : 2016年11月27日(日)13:00-17:10(12:30開場)
場 所 : 早稲田大学戸山キャンパス38号館AV教室
入場無料/先着順/申込不要
上映作品:『マイクロフォン』(2010年、エジプト、120分、アラビア語、日本語字幕)
登壇者:藤本高之氏(イスラーム映画祭ディレクター)、大稔哲也氏(早稲田大学)、アフマド・アブダッラー氏(映画監督)、勝畑冬実(東京外国語大学)
主催:平成28年度科学研究費助成事業(基盤研究C)「エジプト映画における『イスラーム』表象の変遷とその分析」・中東映画研究会
協力:イスラーム映画祭
詳細はこちら http://www.asnet.u-tokyo.ac.jp/node/8253

◆TUFS Cinema:ワークショップ エジプト映画の最先端
日 時 : 2016年11月29日(火)17:50-20:00
場 所 : 東京外国語大学研究講義棟115教室
報告者 : アフマド・アブダッラー氏(映画監督)、山本薫氏(東京外国語大学)
【内容】
「ナイル川のハリウッド」とも呼ばれる中東随一の映画大国、エジプトでは、2011年の革命以降、若手監督たちによる意欲的な作品が次々に生み出されています。今回のワークショップでは、そのようなエジプトの新しい映画潮流を代表する監督の一人、アフマド・アブダッラー氏を招聘し、自らの監督人生とともに、エジプト映画の最新事情をご紹介いただきます。 「映画とは何か」、「作品を作るということ」、「映画と社会」、「映画と政治」といった普遍的なテーマはもとより、エジプトならではの映画制作の困難や、革命後の映画産業の実態など、様々なお話を伺い、討論する予定です。

主催:科学研究費補助金 新学術領域研究 計画研究 B01「規範とアイデンティティ:社会的紐帯とナショナリズムの間」・平成28年度科学研究費助成事業(基盤研究C)「エジプト映画における『イスラーム』表象の変遷とその分析」
詳細はこちら http://www.asnet.u-tokyo.ac.jp/node/8254
posted by sakiko at 12:29| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする