11月18日(土)作家の思いに溢れた映画をたっぷり味わえる東京フィルメックスが開幕しました。
5時からイラン料理の出るパーティがあって、開会式は諦めるつもりだったのですが、オープニング作品は:シルヴィア・チャンが監督・主演の『相愛相親(そうあいそうしん)』。シルヴィア・チャン(張艾嘉)が舞台挨拶とQ&Aに登壇するとあって、これはやはり行かねば!
かくして、美味しいお料理とワインで幸せいっぱいの気分で有楽町へ。
19時10分、ディレクターの林加奈子さんが、第18回東京フィルメックスの開幕宣言。まずは、この日公開作品があるにもかかわらず、開会式の会場として有楽町マリオン11階の「TOHOシネマズ日劇1」を提供してくださった、TOHOシネマズに感謝を述べられました。
「映画を通して、世界が見える。映画を通して、自分の心も見える。楽しい日々をご一緒しましょう」と口火を切りました。
審査員5名がお名前を呼ばれて、客席から次々に登壇。
左から、エレン・キム(韓国/映画祭プログラマー)、國實瑞恵(映画プロデューサー)、審査委員長・原一男(映画監督)、ミレーナ・グレゴール(ドイツ/アルセナール芸術監督)、クラレンス・ツィ(香港/映画評論家)
審査委員長の原一男監督が、審査員を代表して挨拶。
「一か月前に行われた記者会見の時に、市山さんと林さんが懇切丁寧に情熱を込めてコンペ作品一つ一つ案内してくれました。あなたたち、ちゃんと読み解けるの?と、挑発された気分で聞いてました。私自身、自分の生き方を探る思いで映画を作って、公開の時には、観る人に、読み解けるの?と挑発する思いです。観客の皆さんに提案です。皆さんも審査するつもりで観てほしい。審査員とどっちがよく読み解いたか競ってみませんか」
続いて、オープニング上映される『相愛相親』のシルヴィア・チャン監督が登壇。
相変わらず、はつらつとしてお綺麗。
「フィルメックスに戻ってこられて嬉しいです。テレビやiPadじゃなくて、こんなに大きなスクリーンで上映していただけるので、とても嬉しいです。(と、画面を見上げます)映画の細かい所までご覧いただけると思います。とてもシンプルな作品です。楽しみながらこの映画を作りました。ぜひ皆さんも楽しんでください」
『相愛相親』
シルヴィア・チャン演じるホェイインは母を看取り、田舎にある父の墓を町に移して、母と一緒に埋葬しようとする。田舎には、父の最初の妻がいて、墓を移すことを頑強に反対する。ホェイインの娘ウェイウェイはテレビ局に勤めていて、母と、祖父の元妻とのこの墓争いを番組に提供してしまう。ウェイウェイ自身も、ミュージシャンの彼が北京に行って一旗あげたいのに、自分がついて行く決心ができないでいる・・・
シルヴィア・チャンの夫役で、『青い凧』などの田壮壮監督が出ていて、びっくり。とても自然な演技なのですが、シルヴィア・チャンは脚本を書きながら、何度も田監督の顔が浮かんで、思い切って出演をお願いしたと、Q&Aの折に明かしました。田壮壮監督の『呉清源〜極みの棋譜〜』(2006年)に出演して以来、親しくしているのだそうです。
いろいろな事情が明かされるにつれ、最初の妻が、夫の骨を手放せない思いが胸に迫ってきます。なんとも切ないです。
中国の今を描きつつ、中国ロックの草分け、崔健や、香港のロックバンド、BEYONDの亡き黄家駒作曲の曲など、懐かしい90年代の音楽も出てきます。
『相愛相親』は、もう1回、11月24日(金)15:20から上映されます。
オープニングでご覧にならなかった方、ぜひ足をお運びください。
まだ配給がついていないそうですが、ぜひ公開してほしい作品です。
配給や宣伝のご担当者の方も、ぜひご覧になってご検討いただければ嬉しいです。
フィルメックスの前に美味しくいただいたイラン料理です♪ オマケ