2019年02月25日

映画『ずぶぬれて犬ころ』クラファン中です!! (千)

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映画『ずぶぬれて犬ころ』劇場公開支援のクラウドファンディングがスタートしてます!! 監督の本田さんからご案内が届きました。どのような思いでこの映画を作ってきたのか、これから何をしようとしているのかは、クラウドファンディングのサイトに書いてあります。ご一読いただければと思います。また、ご支援いただけますなら幸いです。 (監督・本田孝義)

https://motion-gallery.net/projects/zubuinu-jouei

私も真似して自由律俳句を詠んでみたんです。
作品紹介の中に、ねじりこませました、笑 (千)
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/464161329.html


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2019年02月24日

「食の宝庫キルギス」出版記念ランチ会 (咲)

2月23日、キルギスはおいしい 「食の宝庫キルギス」出版記念ランチ会へ。
会場は、祖師ヶ谷大蔵のギャラリーカフェ ジョルジュ。
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著者である、おいしい中央アジア協会 専務理事の先崎将弘氏の講演会付き。
(キルギスといえば、山高のフェルトの帽子”カルパック”をかぶっての講演でした。)

先崎将弘著「食の宝庫キルギス」群像社刊 
ISBN978-4-903619-91-0 C0339  900円(税別)

中央アジア5カ国のうち、ウズベキスタンとタジキスタンには行ったことがあるけど、キルギスは未踏。お料理も初めて。

映画『山嶺の女王 クルマンジャン』(サディック・シェル・ニヤーズ監督/2014年)、『アンダー・ヘヴン』(ダルミラ・チレプベルゲノワ監督/2015年)、そしてアクタン・アリム・クバト監督の『あの娘と自転車に乗って』(1998年)、『明りを灯す人』(2010年)、『馬を放つ』(2017年)などで、キルギスというと高い山々に囲まれた草原の国、そして遊牧民が主体の国というイメージを持っていました。
日本人に風貌のよく似たキルギス人の人口比率が高いのですが、ウズベキスタンに近い地には定住民のウズベク人もいるし、沿海州から強制移住させられた朝鮮族や、中国に近い地には、中国から移住してきた回族をルーツにする民族もいて、実は多民族国家。旧ソ連なのでロシア人もいます。

今回、用意してくださった料理も、バラエティに富んでいました。
料理人は、青年海外協力隊でキルギスで料理指導をしていた酒庭伊織さん。
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遊牧民の小麦料理から、ベシュバルマク(茹でた麺の上に、羊・馬・牛などの肉を乗せたご馳走料理。今回は牛肉:写真上)とボルソック(揚げパン)写真下の一番手前。キルギスでは、宴会の時、お皿とお皿の間に埋め尽くすようにボルソックを敷き詰めるそうです。

定住民の料理からディムダマ(肉と野菜の蒸し煮、肉じゃが風)。写真下の手前から3番目のお皿。
水の少ないウズベキスタンの水を使わないお料理。キルギスは水は豊かですが、と先崎さん。
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少数民族の料理から、ドゥンガン人のアシュリャンフー(じゃがいものでん粉をゼリー状に固めたものを酸味のあるスープでいただく冷たい麺料理)写真上の手前から2番目。

この、ドゥンガン人、19世紀の清朝時代の中国西北部の回族が太平天国の乱に呼応して蜂起したものの鎮圧され、当時ロシア帝国領だった中央アジアに逃れた民族集団。元々漢語を使っていたのが、ニコライ2世よりキリル文字を与えられ、今では漢字を解さないとのこと。現在、カザフスタンとキルギスに居住。リャンフーは、漢字だと「涼粉」。アシュは料理。ペルシア語でも、アーシュは料理のこと。(スープの総称もアーシュです。)
お酢がきいて、少し唐辛子も入って、とてもさっぱりした味。これは初めて経験した料理でした。

お料理も映画と同様、その国の文化や歴史を知ることのできるツールなのだと実感した催しでした。

この後、グリーンイメージ国際環境映像祭の『黄金の魚 アフリカの魚(仮題)』に間に合うように移動。
この映画では、西アフリカでの人の移動についても語られていて、いろいろな事情で人が生まれた地を離れなければならない歴史が繰り返されていることを思いました。

posted by sakiko at 22:23| Comment(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

恵比寿映像祭 最終日

2月24日(日)
『ウロボロス』バスマ・アルシャリフ監督
自らの尾を噛む蛇、ウロボロスは、死と同時に復活の象徴である。ガザから始まるこの実験的な劇映画では、LA、モハーヴェ砂漠、マテラ、マルティーナ・フランカ、そしてブルターニュという異なる場所で、ある男が別れの痛みを繰り返し体験する。男の痛みは傷ついたガザと重なるが、舞台となっている他の地域もまた、長い歴史のなかで繰り返された破壊や忘却、再生を、風景の中に刻んでいる。(映像祭HPより)

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逆回しの映像が多く使われていて、台詞が少なく、想像力の必要な作品でした。ガザというとイスラエルとパレスチナの紛争で破壊されたところ、くらいの知識しかないのでこれは(咲)さんに観てほしかったです。理解力が不足のところに、アフタートークに田浪亜央江さん(中東地域研究・パレスチナ文化研究が専門)が登壇して、細かく解説。ありがたかったです。アルシャリフ監督は、円環する破壊と再生の歴史を表現したこと、暴力を直接描かない工夫をしたというのが腑に落ちました。

日仏会館でインスタレーション「ワールドツアー」を鑑賞。
映画は『ワイルドツアー』ですが、インスタレーションは「ワールドツアー」でした。
3面のスクリーンにそれぞれ違う映像が投影されています。映画に参加した学生たちが撮影した映像が次々と変化していきます。たくさんの若い人たちが熱心に見つめていました。

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いくつもの会場でさまざまな試みをしていた映像祭。少ない体験でしたが、普段劇場用の作品ばかり観ているので、斬新なアイディアや映像に驚きました。また来年びっくりしに行こうとおもいます。(白)
posted by shiraishi at 20:48| Comment(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月20日

第11回恵比寿映像祭へ(白)

2月8日(金)から始まっていて2月24日(日)には終わってしまうので、慌てて行ってきました。
会場は恵比寿駅から歩いて7分。東京都写真美術館、日仏会館、ザ・ガーデンルーム、恵比寿ガーデンプレイス センター広場ほか。
hpはこちら https://www.yebizo.com/jp/

今日は2本の上映+Q&A
『14個のりんご』ミディ・ジー監督
これまで映画製作に関わってきた旧友シンホンが不眠症になり、占いのご託宣で2週間僧侶になり、その間毎日リンゴを食べることになった。向かったのはミャンマー中部にある小さな村の寺院。剃髪して歓迎を受けるようす、少年僧と一緒に托鉢に出るようすなどが珍しい。その2週間の顛末のドキュメンタリー。

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ミディ・ジー監督はミャンマー出身、16歳で台湾に移って大学を卒業。台湾で映画製作を続けているので、新しい情報もリアルタイムで得ることができる、その点ミャンマーの若い映画人は厳しい状況にあると、上映後のQ&Aで話していました。シネジャ本誌に(美)さんが『マンダレーへの旅』(2016)『翡翠之城』(2017)の記事を書いているので、監督に差し上げました。日本語だけれど、監督は中国系の方なので漢字を拾い読みしてくださるかも(?)。

『ワイルドツアー』三宅唱監督
中高生を対象に、植物を採取してDNAを抽出し図鑑を作るワークショップが開かれた。アイフォンを手に、山や野原や海へと出かけていく。指導役の大学生うめちゃんの笑顔に、中学3年男子のタケとシュンは目が離せなくなる。

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ドキュメンタリーのような始まりでした。登場するのは、ほとんど演技が初めての中高生男女。表情も彼らの撮った映像も初々しいです。男子より女子のパワーが断然勝っていました。手軽にアイフォンで高校生にも映画が撮れるようになった今、DNAの抽出も一昔前と違って簡単になっているのを初めて知りました。『きみの鳥はうたえる』が好評の三宅監督、お話面白いです。写真美術館から数分の日仏会館では、会期中「ワールドツアー」のインスタレーションが見られます。『ワイルドツアー』は3月30日(土)よりユーロスペースにて公開です。

恵比寿に行く前にアニメ『スパイダーマン:スパイダーバース』試写を観ました。スピード感がすごい!めまぐるしいので字幕より吹替版が楽です。みっちり詰まっているので2,3本観たような気がしました。(白)
posted by shiraishi at 23:33| Comment(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月17日

カシミールでのテロに『バジュランギおじさんと、小さな迷子』を思う(咲)

2月14日、カシミール地方のインド側で、治安部隊を乗せたバスに車が突っ込む自爆テロで治安要員44人が死亡したとのニュースが飛び込んできました。パキスタンを拠点とするイスラム過激派組織「ジェイシュ・ムハンマド」が犯行声明を出しています。
1947年の英国からの分離独立以来、インドとパキスタンが領有権を争っているカシミール。度々、死者の出る事件が起こっていますが、あ〜また・・・と暗澹たる気持ちになりました。
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このテロで思い起こしたのが、1月26日(土)、満席の新宿ピカデリーで観たインド映画『バジュランギおじさんと、小さな迷子』。
口のきけないパキスタンのイスラーム教徒の女の子が、インドで迷子になって、ヒンドゥー教徒のインド人の男性がその子を連れてパキスタンまで親を探しに行く物語。
感動の美談として、印パ和解の一助になればと思った作品ですが、一筋縄ではいかない両国の関係もしっかり描いていました。

女の子がパキスタンの子だとわかって、パキスタンに送り届けようとするのですが、ちょうど両国の関係が悪くてビザを発給してもらえず、やむを得ず、沙漠を越えて密入国することになります。
そして、女の子を送り届けて、インドに戻る場面でも印パの緊張感がたっぷり。
鉄条網の柵が張り巡らされた国境を、両サイドで人々が見守る中、バンジュラギおじさんが銃で撃たれそうになりながら、歩いていくのです。

実は、2月14日のテロのニュースを聞くもっと前から、この映画のことを少しずつ書いていました。まったく違うことを気にしての紹介文だったのですが、それはそれで、書き残しておきたいので、ここからトーンが変わりますが、どうぞご了承を!

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』は、1月18日から公開されていて、Facebookで、少女の名前の表記が「シャヒーダー」となっているのは間違いとウルドゥー語研究者の麻田豊氏が指摘していました。
シャヒード(殉教者)の女性形でシャヒーダだとしたら、末尾の長母音が余計かなと思っていました。それにしても、生まれたばかりの子に、殉教者なんて名前を付けるかなぁ〜と。
でも、映画を観て、すぐにクリケット選手シャーヒド・アフリーディーにちなんだ名前と判明。殉教者ではありませんでした。

物語はパキスタンの雄大な山岳地帯にあるスルタンプール村で始まります。戸外にしつらえたテレビの前に集まって、パキスタンとインドのクリケットの試合に見入る人たち。臨月の妊婦が、「名前は何にする?」と聞かれて、ちょうど試合で活躍していた選手シャーヒド・アフリーディーにあやかって、男ならシャーヒドにすると答えるのです。生まれてきたのは女の子。女性形にしてシャーヒダと名付けられた次第。なるほど、字幕は長母音の位置が間違っているとわかりました。

さて、この女の子、6歳になってもしゃべることができなくて、インドのデリーにあるニザームッディーン廟にお参りすれば話せるようになると言われ、お母さんはシャーヒダを連れて行く決意をします。村の人たちがお金を出し合っていて、ほろりとさせられます。
(ちなみに、公式サイトでは、「イスラム寺院」と紹介されていて、これも間違い。モスクではなくて、ニザームッディーンという聖者を祀った廟です。)

ニザームッディーン廟で無事願掛けを済ませて帰る途中、国境の手前で列車が停車した時、シャーヒダは、窓の外に可愛い山羊の子を見つけて列車を下ります。お母さんが寝ていて気がつかないうちに列車が発車してしまいます。そうして、シャーヒダは迷子になってしまうのでした。いなくなったのに気が付いたお母さん、「シャーヒダー!」と末尾を伸ばして叫んでいます。

で、女の子は別の列車に乗るのですが、それがデリー行き。列車を降りたところで、人の良さそうな男性を選んでついていきます。それが、サルマーン・カーン演じるバンジュラギおじさん。ヒンドゥーのハヌマーン(猿の顔をした神様)の信奉者で、菜食主義者。それなのに女の子はお肉を食べたがります。
口のきけない女の子が色白なので上位カーストのお嬢様かと推測するのですが、実はパキスタンの子だとわかるのは、テレビでインドとパキスタンのクリケットの試合を観ていた時に、パキスタンを応援したから。

律儀なバンジュラギおじさんは、ビザを取ってパキスタンに行こうとするのですが、ちょうど両国の関係が悪くて、領事館で発給してもらえず、やむを得ず、密入国することに。ラージャ―スターン州のジャイサルメールの町の向こうに広がるタール沙漠を越えていきます。そのまま越えていけるのかと思ったら、沙漠に掘られた穴を抜けて行くのです。沙漠のど真ん中の国境にもどうやら鉄条網が張られているようです。この沙漠には2度行ったことがあって、そのまま数10キロ行けばパキスタンと思うと不思議な気がしたものです。そのままは行けなかったのですね。

映画では、無事パキスタンに入り、パンジャーブ州からカシミールへと長い旅をするのですが、実際に撮影が行われたのはインド。 今は違う国になっているけれど、分離独立で国境線が引かれただけのこと。パキスタン部分をインドで撮影しても違和感はありません。
パンジャーブの聖者廟で宗教音楽カウワーリーを奏でる場面がありますが、これはデリーのニザームッディーン廟でも奏でられていました。
英国統治の前のムガル王朝がイスラームを信奉していたことから、この映画でもデリーの大きなジャーメ・マスジド(金曜モスク)が映し出されます。ラール・キラー(赤い城)やフマーユーン廟もムガル時代のイスラーム建築。一方で、バンジュラギおじさんの信じるヒンドゥー寺院も出てきます。大都市デリーで、ムスリムとヒンドゥーが隣人として、それぞれの文化を守りながら暮らしている姿も描かれています。
パキスタンの人気ロック歌手アーティフ・アスラムの歌声も聴けるのも嬉しい配慮です。
もともとは同じ文化圏の両国。熱く戦うのはクリケットだけにしてほしいと願うばかりです。


posted by sakiko at 22:09| Comment(0) | 映画雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする