(C)映画「ピア」製作委員会
『ピア まちをつなぐもの』綾部真弥監督
在宅医療と介護をテーマにした作品。
雅人(細田善彦)は大学病院の勤務医で将来を嘱望されていたが、町医者の父が倒れたため実家に戻る。町の人々に慕われ、頼りにされていた父とことごとく比べられて居心地が悪い。父が進めていた在宅医療の世界に初めて取り組むことになった。ケアマネージャーの夏海(松本若菜)や現場のケアニンたちに学ぶ日々を送るうちに、なぜ医者を目指していたのか初心を思い出していく。
ずいぶん前にシルバーサービスの会社に登録して、週1,2回、2年足らずヘルパーさんをしたことがあります。まだ資格制度も介護保険もないころで、研修を1ヶ月ほど受けました。慣れるまでは2人一組、慣れたら1人で行きました。介護・介助だけでなく、家事をしながら小さなお子さんとお留守番、手術後の女性の指示に従って家事というのもありました。後々自分が在宅介護を担うようになってから、この経験がすごく役立ちました。そんなことを思い出しながら見ていました。今の在宅医療があちこちと連携しながら、介護される人を中心により良く進んでいっていることに高齢者の一人として心強いです。
『荒野にて』アンドリュー・ヘイ監督
子どものころ母親と別れ、15歳で父に死なれて天涯孤独になった少年チャーリー(チャーリー・プラマー)が一人荒野のような人生を歩き始める物語。競走馬の世話をする仕事にありつき、ピートという馬と仲良くなって安らぎを見出す。馬主のデル(スティーブ・ブシェミ)が負け続けのピートの殺処分を決めたのを知り、助けてやってと頼むがあしらわれてしまう。子供のころ別れたきりの叔母を探しにピートを連れてこっそり厩舎を出ていく。
死んでしまった父親と同じく、だれにも助けを求めない。愛情はあっても生活力や倫理観が足りなかった父親のようにさまようチャーリー。盗みに入ったりしながら食いつなぎ、警察からも逃げ出してしまう。ホームレスすれすれの男に世話になったお礼をという気持ちが持てたら、暴力を振るわずにすんだのに。見習うべき大人がいなかったんだね。
15歳にして独りぼっちになったらどうやって生きていく?と孫に聞いてみたら困っていました。想像もできないようです。