2020年02月02日

トーハクで遊牧民の織物蒐集家の松島清江さんを偲ぶ そしてキム・ギドク監督『人間の時間』(咲)

2月1日(土)4時から秋田・角館近くの松葉ユースホステルの常連仲間との遅い新年会。せっかく都内に出るので、その前に上野の国立博物館へ。
一番の目的は、東洋館地下1階第13室で2月16日まで開催されている「アジアの染織」。故・松島清江さんがご自身の足で蒐集された中から、西アジアの遊牧民の織物を選んで展示しているもの。一度観ていたのですが、お世話になった松島さんを偲んで、見納めに。
松島さんと知り合ったのは、1985年、渋谷の松濤美術館で開催された「中近東遊牧民の染織」の会場でした。声をかけてこられて、イランやトルコに興味があるとお伝えしたら、芳名帳に連絡先を書いておいてねと言われました。電話番号を書いたら、松島さんがその横に「イラン・トルコ」とメモ書きされました。
それからほんの2週間後位に「今度の☆曜日、トルコにご興味のある方たちをお招きしてるので、どうぞいらしてね」とお電話をいただきました。
三田のマンションにお伺いしたら、家の中は絨毯やキリムだらけ。テレビや洗濯機もキリムで覆われていました。
その日いらしていた中に、お父様がカシュガル出身のウィグル族でお母様が日本人のハーヴァ・アルダさんという女性がいて、代々木上原の東京モスク(初代)隣接のトルコ人学校でトルコ語で教育を受けたとのこと。それを聞いて、トルコ語を習いたいと手を挙げた3人でプライベートレッスンが即決定。ハーヴァさんのことも、たくさんドラマがあるのですが、それはまた別途。(前に書いたような気がします。)
P1300613 matsusima.JPG
松島清江さんからは、その後も、何度かお声をかけていただきました。
ダンスのパフォーマンスもされる松島さんは、とにかくユニークな方でした。
松島さんは、WHOの医務官である旦那様と共にアフリカや中東に行くうち、その土地土地で人々が使っている織物や染色の布に興味を持たれたそうです。その後、旦那様の任地とは関係なく、ご自身で中東やインダス流域に織物蒐集に行かれるようになりました。松島さんお蒐集の旅は、これが欲しいという織物を持っている遊牧民を見つけると、譲ってもらえるまで一緒に暮らすというスタイル。普段使いしている物なので、単にお金で解決できるわけではないらしいです。代替品がないと困るという次第。
P1300605 matsusima.JPG
ある日、深夜2時頃に「明日からインドに行ってきますね。お金がなくなったら帰ってきますよ」とお電話をいただきました。そして、お声を聞いたのは、それが最後になってしまいました。インドのグジャラート州で路線バスの一番前に座って移動中に交通事故に遭われて亡くなられてしまったのです。1992年のことでした。
展示されている織物を眺めながら、これを入手した時にはどんなドラマがあったのだろうと、松島さんの姿を思い浮かべました。

トーハクを出て、上野松坂屋で友人と待ち合わせ。うっかりいつものルートでアメ横に行ってしまい、こんなところに来てはいけなかった!とあせりましたが、中国人はほとんど見かけませんでした。経済への影響が心配になりました。

4時からの新年会には、20人ちょっとが集まりました。
20代の頃、足繁く通った松葉ユースホステル。
当時、そこで会ったことがなかった人とも、思い出が共有できるのが不思議です。
黒湯、孫六、鶴の湯、夏瀬等々、温泉に行った話で盛り上がりました。露天風呂に入っている男性たちに雪を投げたことがあると私が言えば、女の子が露天風呂のそばを通った時に、男性一堂起立したなんて話も出て大笑いでした。
ユースホステルのおじさん・おばさんと一緒に、お酒を携えて温泉に行ったり、お花見をしたりした思い出もたくさん。当時はお酒禁止のはずのユースホステルでしたが、私はそこでコップ酒を覚えたのでした。「がっこで一杯高清水」が合言葉です。


新年会で会った中に、グンちゃん(チャン・グンソク)の熱烈ファンの女性がいて、『人間の時間』を試写で観たことを話したら、「え〜 日本で公開されるの?」と驚かれました。私は事情をすっかり忘れていたのですが、キム・ギドク監督のセクハラ問題やら、内容の強烈さで物議を醸した作品だったのですね。
ningenno jikan.jpg
アン・ソンギさんの静かな笑みには癒されますが、極限状態にある人間の本性むき出しの姿に目をそむけたくなる場面が多々あって、後味がいいとはいえません。
でも、主演の藤井美菜さんもすごく頑張っているし、その夫役でオダギリジョーも出ているし、なにより韓国の俳優陣アン・ソンギ、イ・ソンジェ、リュ・スンボム、チャン・グンソクと豪華です。勇気のある方は、どうぞ!
公式サイトhttp://ningennojikan.com/
★2020年3月20日(金)シネマート新宿ほか全国順次公開



posted by sakiko at 22:52| Comment(0) | 日々のできごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

バリアフリーを考える(暁)

試写や取材の案内、映画上映会などの情報を見た時、行くかどうか、以前はエレベーターやエスカレーターがあるかとか考えなかったけど、今はそれがあるかが大きなポイントになっている。
山やスキー、テニスなどをやっていたので、体力には自信があったのだけど、5年前心臓弁膜症の手術をしてからは障害者になってしまい、少し歩いても息が切れ、階段の上りは超苦手になってしまった。前は肩にバックをかけて歩いていたけど、今はカートを引いて歩いている。荷物入れと杖の代わりである。なので階段はとても苦手。どこに行くにしても階段がないところと、階段を避けて遠回りをしている。バリアフリーが大きなポイント。
映画を観にいく場所としては、会社に勤めていた頃は新宿に近かったので新宿が一番多かったけど、今は渋谷、六本木、有楽町、銀座あたりが多く、新宿の映画館は最近あまり行く機会がない。7年前に会社をリタイアして、この7年は年間200本以上の作品を観ているけど、試写の比率が多くなっているから7割くらい試写、3割くらいが映画館や自主上映などでの鑑賞といったところ。
三鷹に住んでいるので中央線か総武線で都内に出るけど、バスと電車を乗り継いで行くことが多くあまり地下鉄には乗らない。地上の交通網ばかり使っているので、最近は地下鉄に乗ること自体がめんどくさくなっている。地下鉄に乗って、階段でない出入り口を探すという行為自体がめんどくさいともいえる。
飯田橋は以前は三鷹からは総武線で行くと一番後ろから出れば角川の試写室に行くのは便利だったんだけど、ここ数年工事中で、この出口は階段しかなくなってしまったので水道橋寄りの出口で出て、駅の隣のラムラを通って新宿寄りに出るか、駅の南側に出て道路沿いを上がっていくかという方法をとっている。この上りがけっこうきつい。なので今、飯田橋は私にとってとても行きずらい場所になっている。
また、このところ日比谷図書館での上映が時々あって行くのだけど、ここに行くには地下鉄が便利、でも一番近い出口は階段。いつも向かいのエレベーターで上っている。最近、少し近いところにエスカレーター? ができたというので、次回行くときにためしてみたい。ここに行くと帰りは有楽町のほうに歩いていったりすることも。駅の階段はいまや私の天敵になってしまった(笑)。それでこのコラムを思いついたしだい。

今、4輪のカートを使っているけど、階段になったらすぐ背負えるリュックになるものがないか探しているけど、なかなかちょうどいいものがない。大きいのはあるのだけどデイパックくらいの大きさのものはまだみかけない。2輪のものはみつけたのだけど、試してみたら2輪のカートではカートを引きながら杖を使わなくてはならず、負担が大きかったのであきらめた。
かばん屋さん、リュックを扱っている山用品の店、介護用品の店とあちこち回ってみたけど、今のところ用件を満たすものはみあたらず、4輪カートを使っている。ほんとは旅行用の大きなカートと、小さなカートをもって必要に応じて使い分けられればいいのだけど、1台2万円くらいするカートだし、置くところを考えると1台がやっと。それに帰りに買い物をしたときに小さいのでは入りきらないので(以前小さいのを使っていた時、それが困った)、「大は小を兼ねる」で毎日旅行に行くようなカートで出歩いている。
荷物を減らせばと言われているけど、私なりに昔よりは荷物を減らしているけど、パソコンはやはり持ち歩きたいし、資料はあるし、時にはカメラも必要ということで、どうしても体力がなくなって持って歩けなくなるまでは、今の荷物でいくしかないかな。それでも日々、何か方法はないものかと考えている。

そんなわけで、最近は地下街にはほとんど行かなくなってしまったのだけど、先日、京橋の試写室の帰りに雨が降ってきてしまい傘を持っていなかったので、東京駅の八重洲地下街に久しぶりに下りてみた。そうしたら北海道フーディストがあるのをみつけた。東京駅八重洲口の目の前にあったビル群が立て替え中で、そこにあった北海道フーディストもなくなってしまっていたので、ビルの立て替えが終わるまでお預けだと思っていたからうれしい発見だった。たまには地下に下りてみるもんだと思った。先日、新宿の小田急百貨店であった北海道物産展で買い損ねたチーズもそこにあった。実は家にほかのチーズの在庫が残っているので、その時は買うのはあきらめたのだった。来年、北海道に旅して買おうと思ったけどここで買える。やっぱりいつも行かないところに行くと発見がある。なんとか昔のように動き回れるといいのだけど…
posted by akemi at 20:33| Comment(0) | 日々のできごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする