2020年03月13日

『ミセス・ノイズィ』天野千尋監督取材

3月11日、青空が広がって気温が21,2℃、マスクが暑い。
9年前のこの日も取材(香港のパン・ホーチョン監督)に行っていたのを思い出しました。このときの映画は『ドリーム・ホーム』。香港の地価が高騰してマイホームが手の届かない夢となり、真面目に働いてきたのに人生が狂ってしまったOLの話でした。
今日の天野監督の作品はベランダの布団叩きの音から始まる騒動『ミセス・ノイズィ』。騒音おばさんとして何年も前にマスコミを賑わしたあの「隣人騒音バトル」事件がモデルのフィクションです。去年のTIFFでお披露目されて話題になりました。5月からの劇場公開を前に、アムステルダム映画祭から戻ったばかりの天野監督にお話を伺いました。ウェブと4月末に発行予定の本誌に掲載します。

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天野千尋監督

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制作会社さんの窓から見える新宿御苑

パンデミック宣言が出ましたが、ウィルスは目に見えないので(放射能もそうだ)怖さがもひとつ実感できません。みなさまできることをして、体力もつけて乗り切りましょう。

震災当時私は山手線を降りて歩いていたところ、めまいかと思ったら信号機や電線が大きく揺れて驚きました。近くのビルから人が大勢出てきて地震とわかりました。やっと帰宅して見た津波の映像は信じられませんでした。大阪アジアン映画祭では上映最中に揺れて大騒ぎだったと聞きました。被災地のみなさま、当日のそれぞれの体験とともに私たちは忘れていません。(白)
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2020年03月08日

イラン人監督が「ハイファに戻って」をもとに描いた『生存者』 (咲)

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コロナウィルス感染予防のための自粛で、2月29日〜3月1日の藤沢でのイラン映画祭も、3月1日のイラン大使館チャリティーバザーも延期になる中、予定通り開催しますとの案内をいただき、東大でのイラン映画上映会に参加してきました。

上映作品 『生存者』  原題:bazmandeh   
監督:セイフォッラー・ダード Seyf Allah Dad   イラン/1994年

日時:3月3日(火)18:30〜21:00
場所:東京大学構内書店 建物3階(消費生活協同組合の部屋)
会費:500円(イラン紅茶お菓子資料代)
主催:イラン親善大使グループ

原作は、パレスチナ人作家ガッサーン・カナファーニーの「ハイファに戻って」
1948年、イスラエルがハイファに侵攻し、パレスチナ人のサイード夫妻は、家で寝かせていた赤ん坊だった一人息子を迎えにいくことができないまま、ハイファを追い出されてしまう。
20年後、ハイファに戻ったサイード夫妻は、自分たちの家に住みついたポーランド出身のユダヤ人夫妻によって息子がユダヤ人として育てられたことを知る。
そして、ハイファの懐かしいはずの我が家も町も、かつてのハイファではないことを思い知る。

原作では、20年後にハイファに戻った夫妻の喪失感が描かれているのですが、イラン人監督が描いた『生存者』は、1948年にパレスチナ人が故郷を追い出された時代だけを描いています。ハイファに戻ったところを描いていないので、小説「ハイファに戻って」にインスパイアされて描いた物語という位置づけになると思います。

★映画『生存者』 あらすじ
1948年4月9日、パレスチナのデイル・ヤシーン村で虐殺事件が起こり、5月14日、イスラエルの建国宣言がなされた頃のハイファ。
パレスチナ人の医者サイードは、駅の爆破事件に出くわすが、仕掛けたのが幼馴染のユダヤ人シモンだと知り、警察に通報する。だが、警察は犯人逮捕に動かない。やがて、パレスチナ人は1週間以内にハイファを出ろと言い渡される。サイード夫妻は、家で寝かせていた生後数ヶ月の息子ファラハンを迎えに行くことができないまま町を出る。
ユダヤ人の入植に手を貸しているシモンは、サイードたちの家にポーランドからやって来たユダヤ人のクシン夫妻を住まわせる。子どものいない夫妻は、置き去りにされていた赤ちゃんをムーシェと名付け、わが子として育て始める。それを知ったサイードの母サフィエは、自分はその子の乳母だったと偽って、子守役として雇ってもらう。
クシン夫妻がテルアビブで映画を撮ることになり、サフィエも列車に乗って同行することになる。だが、サフィエは夫ラシードから、その列車は爆破予定があるから乗ってはいけないといわれる。ところが、列車に爆破装置を仕込んだスーツケースを持って乗り込む予定だったラシードが撃たれてしまう。サフィエがスーツケースを持って乗り込むことになる・・・


映画は、サフィエが爆破装置のスイッチを入れ、赤ちゃんを抱いて列車を飛び降りるところで終わりました。
その後、どうなったかは描かれていないのですが、少なくとも原作とは全く違う展開。
そこがイラン風?!

この上映会を企画した山本純子さんは、イランに住んでいた20年程前、テレビ放映されていたのを観て、いつか日本語字幕をつけて皆に観てもらいたいと思っていたそうです。 

イスラーム暦ラマザーン月の最後の金曜日が「世界エルサレムの日」とされていて、イランでも各地でデモ行進が行われるのですが、この『生存者』は毎年、この日にテレビ放映されているのだそうです。

セイフォッラー・ダード監督は、アラブ人の俳優を使って、シリアで撮影。もとの映画はアラビア語ですが、この日に観たものは、イランのテレビで放映されたペルシア語吹替え版に日本語字幕をつけたもの。(字幕:田島和歌子さんが担当。監修:山本純子さん)
イランの吹替えは上手だなぁ〜といつも思うのですが、本作もとても自然。でも、パレスチナ人もユダヤ人も、さらにポーランドから来たユダヤ人もペルシア語を話しているのは不自然。全員がアラビア語を話していたとしても変。少なくともポーランドから来たユダヤ人とは意思疎通できないはずでしょう。(ま、それは映画ですから!)

それは差し置いて、1948年にパレスチナ人が追い出されたときの様子や、故郷を去ったパレスチナの人たちの喪失感がよくわかる映画でした。
着の身着のままでやってきたユダヤ人に、パレスチナ人を追い出したあとの家を居抜きであてがっている場面が特に胸に迫りました。パレスチナ人が置いていった衣服も、サイズを手直しして着るのですが、そんなことがよく平気で出来るなぁ〜と。

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撮影:近内恵子さん

ところで、この上映会が行われた「東京大学構内書店 建物」は、第二食堂の入っている3階建てのビル。東大病院の並びの奥のほうにある古い建物。
私の父は、昭和18年12月に学徒出陣し、終戦後、昭和21年4月に東大に復学。
翌年、友人と二人で立ち上げた映画文化研究会の集まりでこの建物の3階の会議室を使ったことがあるとのこと。どのあたりの部屋だったのかなぁ〜と思いを馳せました。
夜中に食堂に行って、煙草の吸殻を拾い集めて、英和辞書の紙で巻いて吸ったことがあるそうです。
入口正面の螺旋階段で上の階にあがるのですが、父に話したら、変わってなさそうだねと。外装は工事中でしたが、いつまでも残してほしい凝った建物です。



posted by sakiko at 21:38| Comment(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月06日

『いざなぎ暮れた。』取材(白)

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毎熊克哉さん

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武田梨奈さん
いざなぎ暮れた。』は島根県松江市美保関を舞台にした崖っぷちカップルの弾丸旅行映画(?)です。借金で首の回らないホストクラブ経営ノボル(毎熊克哉)が実の親戚を頼るのですが、ほぼオレオレ詐欺状態。恋人のキャバ嬢ノリコ(武田梨奈)はそんなこととは知らず、巻き込まれています。神様に一番近い街に全く似合わない二人が喋りっぱなしです。こんなに台詞の多い二人を初めて観ました。
びっちり取材の入っているお二人それぞれにインタビューできました。
映画は3月20日(金)からテアトル新宿でレイトショー公開です。(白)

★毎熊克哉さんインタビューはこちら 
★武田梨奈さんインタビューはこちら 
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2020年03月03日

『カゾクデッサン』取材(白)

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今井文寛監督

初の長編作品『カゾクデッサン』が3月21日(土)から公開になる今井監督のインタビューをさせていただきました。
先日『ソン・ランの響き』取材があった新宿のK'sシネマです。とっても真面目なお人柄のわかる取材でした。年頃がうちの息子と近いので、ついお母さん的になってしまって失礼いたしました。息子たちとこんなにびっちり話すことがない今日この頃。楽しかったです。もうすぐ掲載しますのでちょっとお待ちくださいませ。(白)

今井監督インタビュー掲載しました。こちらです。
posted by shiraishi at 18:00| Comment(0) | 取材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月01日

チンドン!あづまやさん(白)

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図書館に返本に行きましたら、ちかごろ珍しいチンドン屋さんがいました。浅草で数年前に見かけたきりだったと思います。
男性一人、女性二人で時代物の衣装です。近くのセブンイレブンがリニューアルオープンしたので、その宣伝中でした。鳴り物や話芸、大衆演劇大好きなので、声をかけて写真を撮らせていただきました。素敵な笑顔でしょ?
中野のチンドン屋さん「あづまや」さんと伺って、後でHPを検索しましたらいろいろな写真がたくさんでした。実績の中には『午後の遺言状』(95)、『掌の小説』(10)に出演とも。
HPの連絡先に画像をお送りしたらすぐにお返事がありました。出会いは面白いですね。

このウィルス騒動で小中学校が休みになりました。試写室も一つお休みに。京橋の国立アーカイブも休みです。演劇も映画もイベントも不要不急ではありますが、当事者にとってはずっと楽しみにしていたものですし、生活と直結している人もいます。
デマに踊らされて買いだめに走らないで、ウィルスにも負けないで過ごしましょう。みなさんの無事と早い収束を祈りつつ。(白)
posted by shiraishi at 20:32| Comment(0) | 日々のできごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする