*東京で山菜のてんぷらと戸隠蕎麦を食べられる店をみつけた春には山菜の天ぷらを食べたいと思う私は、コロナ禍になる前の2019年まではかれこれ6,7年くらい、毎年5月連休の次の週に山菜天ぷらと蕎麦を食べるために戸隠に出かけていた。戸隠にはスキーをしに40年以上前から行っていて、白馬村に5年くらい住んでいたので、白馬からも戸隠に蕎麦を食べに行ったこともあり、30回くらいは行っていると思う。
でもコロナ禍で、2020年と2021年は行くことができなくて山菜天ぷらは食べていなかった。今年も行くことができないかもしれないと思い、東京で山菜天ぷらと蕎麦を食べられるところはないかとネットで探してみたら、六本木のEXシアターの裏に「手打ち戸隠そばと信州の食材」を扱っている「戸隠(とがくれ)つきや」という戸隠出身の人がやっている店をみつけ、5月連休直後に山菜天ぷらと蕎麦を食べに行った。期待にたがわずおいしい蕎麦と山菜天ぷらを堪能することができた。
戸隠つきやの山菜天ぷら
山菜と言えば、やはり一番好きなのはタラの芽の天ぷら。例年4月が最盛期で、だいたい5月中旬には時期を終えるので、タラの芽はその時期を逃さずにしないとありつけない。今年は雪が多かったので、山菜の時期が少し長いと言っていた。その時にはもしかしたら5月3週目に信州に行けるかもしれないと思っていたので、3週目でもタラの芽にありつけるかもと思いちょっと期待。それで、戸隠のお薦めの蕎麦屋さんも聞いておいた。戸隠の蕎麦屋は、すでに十数軒は入ったことがあったけど、この店の人が進めてくれた数軒の蕎麦屋には入ったことがなかったので、行けたら行ってみたいと思った。そして「いつも行っている店はどこ?」と聞かれたので「戸隠中社前のうずら家」と言ったら、「ああ、観光客が行く店ね」と言われてしまった(笑)。そういわれても、いろいろ行ったけど、ここがやっぱり私が求めている蕎麦を出してくれる店だなと思っているので、いつも2時間くらい待ってでも入っている。最近は並らばなくてもすむように記帳する形になっているので、その2時間の間に鏡池に行ったり奥社に行ったりすることができるから苦にはならない。それにしても六本木には映画祭の時や映画を観に、しょっちゅう行っていたのにこんな店があるのを知らなかった。今度はキノでの試写の帰りに寄ってみよう。熊や鹿、イノシシなどジビエも扱っているらしいし、キノコの季節もよさそう。
戸隠つきや(六本木)の山菜料理
*3年ぶりの信州への旅へそして5月3週目に信州に行けることになった。およそ3年ぶりの1泊以上の旅行。コロナはまだ去ってくれないけど去るまで待てないので、行けるチャンスがあるときに行ってしまおうと行ってきた。5月20日(金)に東京を出て、23日(月)戻りの2泊3日の旅。東京→戸隠→小布施→志賀高原横手山→草津→蓼科→東京の予定で出かけた。
相棒には、なんとか20日夜中中に小布施の道の駅まで行って車中泊というスケジュールでお願いしたのに、結局東京を出たのが夜中になってしまい、諏訪のサービスエリアでの車中泊になってしまった。あげくに起きたら雨。朝食を食べて諏訪を出発したのは11時すぎ。雨なのでいっそのこと諏訪ICで降りて、諏訪湖のほとりにある原田泰治美術館に行こうかとも思ったけど、やはり今日中に小布施の道の駅にたどりついた方がいいと判断し、長野方面に向かった。以前から行ってみたかった小布施近くの「ヘーゼルナッツ園 ふるフル」でヘーゼルナッツの入った作りたての生のアイスを食べた。ここは自分のところでヘーゼルナッツ(イタリアの品種)を植えていて、その実を収穫しアイスを作っている。ヘーゼルナッツの香りと生アイスのこってりとした濃厚な味わいがとてもおいしい。小雨が降っていたけど、次から次へとお客が絶えない状況だったのもわかる。ヘーゼルナッツというのは日本では「はしばみ」という植物でクヌギの仲間のような感じの実がなる。私は白馬に住んでいた時に、この長野から大町に続く道の居谷里湿原のそばにはしばみの木が続いているのをみつけ、採って食べたことがある。そして密かにここを「はしばみ街道」と呼んでいた(笑)。
この後、小布施に向かい、「フローラルガーデンおぶせ」にタラの芽やほかの山菜がないか行ってみた。タラの芽はなかったけど朝採りの新鮮な根曲り竹があったのでゲット。新聞紙に包み車用冷蔵庫へ。ワラビもあったけど、旅はあと2日あったので、もっと後に道の駅かスーパーで買おうと諦めた。せっかく小布施に来たのだから「栗ご飯」でもと思ったらほとんどの店が17時くらいで閉店。19時閉店の桜井柑精堂本店前の泉石亭に入り、おいしい栗ご飯にもありつけた。その前にフローラルガーデンのそばにあるスーパーツルヤに寄って買い物。小布施ももう10数回行っているので、だいたい買いたいものがどこに売っているかわかっている。いつもここでリンゴジュースを買う。お土産屋で買うと500円くらいするリンゴジュースがここでは300円くらいで買える。それに栗羊羹やほかのお土産も安い。他には韃靼蕎麦茶を買った。ほんとはアスパラがおいしそうだったけど、最終日ではないので諦め。でも、結局、こんなにりっぱで新鮮なアスパラにはそのあと出会わず残念だった。そして2日目にしてやっと小布施の道の駅にたどり着いた。車中泊にしたけど、高速ともつながっていて、一般道からだと階段を上ってトイレに行かなくてはならず、今、階段の上り下りがつらい私にとっては、ここを選んで失敗だった。これまで何度も行ったことがあったのに、トイレが上だったというのを忘れていた。
*やっと戸隠へ21日(日)の朝は8時出発にしたかったけど、やはり相棒は起きず、出発は8時半すぎ。戸隠に着いたのは9時半すぎで「うずら家」はすでに人がいっぱい、入店できるのは11時半頃と言われ、この日、志賀高原の横手山頂ヒュッテを予約してあり、16時までに渋峠まで行かなくてはならないので、戸隠を12時頃には出ないと間に合わないから「うずら家」はあきらめた。そして「つきや」さんがお薦めしていた蕎麦屋の一つ、「よつかど」に向かった。着いてみたら、戸隠から白馬に向かう道の脇にあった。なんだ、ここは何度も通ったところだと思った。でもそこに蕎麦屋があるということは気がつかなかった。中に入って、山菜の天ぷらと蕎麦を頼んだら、タラの芽の天ぷらはすでになかった。タラの芽のシーズンは終わっているからと、山菜は、山ウドやコゴミ、根曲がり竹の天ぷらだった。こういう時、うずら家はあるんだよね。ま、天然の山菜とは言えず、きっとタラの芽の畑があって供給していると思うけど。そうでなければ、あのたくさんの客に対応できないでしょう。こういうところが「観光客の店ね」と言われても、ここに行きたいと思わせるところではある(笑)。今回、ちょっとのことで行けなくて残念。それでもこの「よつかど」の蕎麦はやはり、通の人が通うだけあって蕎麦も汁もおいしかった。そして客もひっきりなしに入ってくる。中社からかなり下ったところにあるのに、登山スタイルの人もいるからかなり歩いてここまで来ていると思う。待ち時間がほとんどなかったので、11時半頃戸隠を出発することができ、一路、志賀高原横手山に向かった。
途中、「道の駅 北信州やまのうち」に寄り、やはり山菜を探したけど、これというものはなかった。山ノ内町は味噌汁に寝曲り竹をいれ、さらにサバ缶を加えたものが郷土食と何かの番組で紹介していたこともあり、それを缶詰にした「サバタケ」缶というのがこの道の駅で売っていると宣伝していたので寄ったのだけど、環境のことを考え、今はレトルトパックになっていた。この「サバタケ」缶というのは長野県のアンテナショップ銀座NAGANOでも置いていて、2、3回買ったことがある。けっこう高いのでそうは買えないけどおいしい。サバ缶を二つ重ねたくらいの大きさの缶詰で900円くらいしていたんだけど、レトルトになったら1,5倍くらいの量になって1200円になっていた。一人用は半分くらいでいいので、今回買うのはあきらめた。それに銀座NAGANOでも買えるので(笑)。渋峠で山荘にもっていく荷物をまとめるのは雪があって寒いだろうからと、ここで荷物をまとめ、服も用意した。出発すると青空も見えてきた。
志賀高原に入ると、まだ道の脇に雪が残っていた。東京ではすでに半袖なのでまさかと思っていたけど、東京からヒュッテに電話したら、雪がまだあってヒュッテの前までまだ車で入れないと言われ、雪上車で渋峠まで迎えに行きますと言われた。雪のシーズンはいつもリフトで登っていた。今回荷物も多いので、初体験の雪上車に乗ることにした。リフトはまだ動いていて、スキー客もけっこういた。
雪上車からの風景 2022年5月22日
渋峠には16時少し前に着いたけど、雪上車も早めに来ていたので、下で用意をしていてよかった。雪上車から降りて来た人はパンの袋を抱えていた。地元の人っぽい。この横手山頂ヒュッテ(2307m)は横手山山頂にあって、日本最高地にあるパン屋さんとしても有名。ここには10数回泊まったことがあるけど、いつもロシア料理のつぼ焼ききのこスープが楽しみだったし、朝の焼きたてパンも楽しみだった。この焼きたてパンとワインを持って、『私をスキーに連れてって』のコースを下り、万座温泉上部を経由して草津温泉までのスキーツアーが3月末のシーズンの楽しみだった。
横手山頂ヒュッテの夕食 つぼ焼ききのこスープも
横手山頂ヒュッテの朝食 焼きたてパン付
ヒュッテには、前回は10年くらい前に行ったけど、その時はお母さんがいなくて、すでに引退しているかもと思ったら、今回はいて、10数年ぶりの再会。夜ご飯が終わってから30分くらいおしゃべりをした。すでに79歳というのにまだ現役で仕事をしている。すごい! さらにお義母さんも98歳で、このヒュッテで暮らしていると聞いてびっくりした。
この横手山山頂からは、晴れたら北アルプスから八ヶ岳、北信五岳が見えるので、朝も晴れを期待したけど霧の中。山を見ながらの朝食はならずだった。もう一日日程があれば、霧が上がるのを待つ時間があるのだけど、本日中に東京に帰らなくてはならないので、9時半頃には宿を出た。
横手山頂ヒュッテ入口の看板
*草津から小諸、蓼科へ一路、草津温泉へ。すごい霧で、ゆっくり降りていった。少し降りたら霧がなくなったけど、まだ雪は残っていた。草津温泉でも山菜天ぷらと蕎麦の店に寄りたかったけど、あまりの道の狭さと坂の多さ。行きたいと思っていた店が草津温泉中心部の湯畑のそばで駐車スペースもなく、お腹もあまりすいてなかったので、草津はパスして下り、草津の道の駅まで行くことにした。ここにも山菜はなくてがっかり。あとは下りながら、軽井沢、小諸方面へと蕎麦屋を探しながらくだった。何か所か良さそうなところはあったのだけど、ちょうど昼時間にあたってしまい、月曜日だというのに北軽、旧軽ともけっこう観光客がいっぱいで諦め。小諸方面に向かった。小諸の蕎麦屋で行ってみたいと思っていたところがあったのを思いだし、丁子庵という店に入った。ここの蕎麦つゆ、クルミのつゆというのがあると聞いていたので頼んでみた。ま、おいしかったけど、やっぱり普通の蕎麦つゆのほうがおいしいかな(笑)。
そのあと、蓼科方面に向かい「道の駅 女神の里 たてしな」に。ここでも以前、タラの芽を買ったことがあったので、期待したんだけど売ってはいなかった。ヤマウドとワラビを買い、ここに寄った目的でもある「ニジマスの唐揚げ」を買った。ほんとは「イワナの唐揚げ」も欲しかったのだけど、今回はなかった。これが意外においしい。ここから南下し、中央高速に出て帰るつもりだったけど、もう16時すぎていたので、それはあきらめ上信越道から帰ることにした。
今回、タラの芽の天ぷらを食べたいと思って、久しぶりに信州に来たのに、結局、タラの芽の天ぷらにはありつけなかった。残念。でも、根曲り竹やワラビも買ったし、リンゴジュースも買えた。それに3年ぶりの信州旅行。やっと出かけられたという喜びを持って帰ってきた。
*なんとタラの芽は銀座にあった!信州に行く時はいつも「銀座NAGANO」に行って、新しい情報を得てから行くのだけど、ここは1階に長野県の食材やお酒、菓子などを売っているショップがあり、2階に地図や観光情報、時刻表などを置いている。行く前日の19日が京橋での試写だったので、終わってから銀座四丁目の交差点そばにあるこのショップに行くことができた。新しい道の駅のガイドブックや長野の地図、戸隠や小布施の地図と情報、それに山之内町、志賀高原の地図をゲットすることができた。1階のショップではタラの芽やワラビ、山ウドなどの山菜を売っていたけど、次の日から出かけるので、それらを買うのはあきらめた。
信州から帰ってきて、次の日24日も京橋での試写だったので、ダメ元でまた「銀座NAGANO」に行ってみたら、なんとタラの芽が2パック残っていて、さらにコシアブラも売っていたので、両方を買って帰った。信州までタラの芽を求めて行ったのになくて、銀座にあった!
なんてこったでした。次の日、自分で天ぷらに挑戦。山菜の他になすやニンジンなども。しかし、年に1回、久しぶりに天ぷらを揚げたので、しなっとなってしまい、最後になってやっとうまく揚げることができた。そして、26日にも山菜が入る予定と聞いたので、27日にも「銀座NAGANO」に行ったら、またタラの芽があったので、再度買って、天ぷらに挑戦。今回はかなり成長していたし、2日も置いてしまったので(新聞紙にくるんで冷蔵庫には入れていたのだけど)、葉っぱがだいぶダメになっていて散ってしまっていたりで枝だけのタラの芽状態(笑)で硬かった。それにしても天ぷらをうまく揚げるには熟練の技がいる。1年に1回、ちょこっとやるのではうまくできるはずがない。来年こそ信州で食べたい。
自分で揚げた山菜天ぷら
*参考記事
シネマジャーナルHP スタッフ日記
ディープな『土を喰らう十二ヵ月』案内(暁)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/493262568.html