2022年07月17日
岩波ホールの7月29日閉館をずっしり感じてきました (咲)
岩波ホールが今年7月29日で閉館という衝撃のニュースが発表されたのは1月11日のことでした。あっという間に、半年が過ぎ、現在上映中のヴェルナー・ヘルツォーク監督作品『歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡』が最後の作品となってしまいました。
もう岩波ホールには伺うことはないかもしれないと思っていたら、特集上映「ヴェルナー・ヘルツォーク・レトロスペクティブー極地への旅」が組まれ、7月14日(木)に『ウォダベ 太陽の牧夫たち』と『ガッシャーブルーム 輝ける山』の2本立てを観てきました。
上映は4時半からですが、3時半に行って、まずチケットを購入。整理番号51番でした。
平日なのに、やっぱり出足が早いです。
土砂降りの雨でしたが、千代田区立図書館での展示「ありがとう 岩波ホール」を観に行きました。
現在、「第3部 エキプ・ド・シネマ 名画を発掘し続けた岩波ホールA」が開催中。
7月23日(土曜日)までです。
詳細は、こちらで!
5月23日〜6月25日に開催された、第2部 エキプ・ド・シネマ 名画を発掘し続けた岩波ホール@では、年代別に話題作・ヒット作をピックアップして展示されていました。
第3部では、「日本」「南米」「アジア」「アフリカ・中東」「戦争」「女性監督」のテーマごとに作品をピックアップ。
第2部も第3部も、支配人の岩波律子さんやスタッフの方々、宣伝の方などの思い出と共に作品が紹介されていて、どれも懐かしく思い出しました。
写真撮影は、許可をいただかないといけなかったので撮りませんでした。胸の中にしっかり焼き付けました。
4時15分に岩波ホールに戻ると、ロビーは人で満杯。
51番で好きな席は取れるかしら・・・と心配していましたが、最前列の左端が奇跡的に空いていました。
4時半になり、これまでの予告編に代わり、岩波ホールの変遷が映し出されました。最初に出てきたのは、壁に何も貼られていないまっさらな岩波ホール。出来立ての頃の映像でしょうか・・・ 上映された作品のチラシの数々が紹介され、最後に「ありがとうございました」の言葉だったと思うのですが、その頃には胸がいっぱいでよく覚えていません。
◆『ウォダベ 太陽の牧夫たち』Wodaabe-Die Hirten der Sonne/Herdsmen of the Sun
1989年/ドキュメンタリー/49分/ドイツ語・英語・フラ語/西ドイツ/DCP
*日本初上映
サハラ砂漠に住むフラニ族系の遊牧民ウォダベの風習や文化を映したドキュメンタリー。「ゲレウォール」という祭で、男たちが女性に選ばれるよう、懸命に化粧をして、白い歯を見せ、背を高く見せようと背伸びする姿は、以前、どこかで観ているのですが、この映画ではなかったような気がします。(なんといっても、日本初上映)
◆『ガッシャーブルーム 輝ける山』Gasherbrum-Der leuchtende Berg/Gasherbrum-The Dark Glow of the Mountains
1985年/ドキュメンタリー/45分/ドイツ語/西ドイツ/DCP
*新訳版上映
1984年に、ヒマラヤのカラコルム山脈にある8000メートル級のガッシャーブルームT峰とガッシャブルームU峰の登山に臨んだ、伝説的な登山家ラインホルド・メスナーとハンス・カンマーランダーを記録したドキュメンタリー。
行ってみたかった町スカルドゥが少し映って、嬉しかったです。
「どうして山に登るのか?」と聞かれて、答えられないラインホルド。(そこに山があるからとは言わなかった・・・)
弟と一緒に登山して、弟を見失い、結局遭難死してしまったことについて尋ねられ、さらに突っ込んで、お母さんは?と聞かれたとたん泣き崩れる姿が胸に迫りました。
死と背中合わせの登山・・・
1997年にカラコルムのスキルブルム峰(7360m)に登頂後、雪崩で亡くなられた広島三朗さんを思い出して涙でした。前年の日本パキスタン協会の泊りがけのシンポジウムの折の集合写真を撮るときに隣にいらして、「登山の仲間だと、来年いない奴がいるんだよな」とおっしゃったのですが、ご本人がいなくなってしまったのです。あ〜涙。
しみじみとなったところで映画が終わり、岩波ホールに別れを告げながら家路を急ぎました。
素敵な映画をたくさんありがとうございました!