2024年06月30日

『SILENT FALLOUT』の米大陸上映ツアーが始まるそうです(暁)

放射線を浴びたX年後』(2013)、『放射線を浴びたX年後2』〈2015)を製作した伊東英朗監督。第3弾として製作された『サイレント フォールアウト』(放射線を浴びたX年後V サイレント・フォールアウト 乳歯が語る大陸汚染)。前2作ではビキニでの水爆実験による影響を伝えたのに対し、第3弾ではアメリカでの核実験による被爆について語り、それをアメリカで上映したいとクラウドファンディングで支援、応援を呼び掛けていましたが、いよいよアメリカでのツアーが7月11日(木)から8月21(水)日までの予定でツアーが行われるようです。
英語タイトルは『SILENT FALLOUT』。

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●ドキュメンタリー映画『SILENT FALLOUT』
2023年製作(日本) 76分
日本人である伊東英朗監督が、米国における放射能汚染の蔓延と、それに立ち向かった母親たちの知られざる物語を描いた衝撃的なドキュメンタリー。
映画は、5章で構成。
第1章では1951年に始まったネバダ核実験場(爆心地)周辺の被害実態、
第2章では、アメリカ大陸の放射能汚染の証明へと進む。
第3章では、爆心地から数百マイル離れたセントルイスで、女性医師ルイーズ・ライス博士が中心となり、子どもたちの乳歯を集め、歯に残るストロンチウム90によってアメリカの子どもたちが被曝していたことを証明。さらに全米で巻き起こる女性たちの行動によって、ケネディ大統領の大気圏内核実験中止宣言へとつながっていく。ルイーズの息子エリックの「5歳の時、ケネディ大統領から母への電話をとった」証言は、この映画の一つのピークともいえる。
しかし、最終章では、アメリカ大陸の放射能汚染が、ネバダ核実験によるものだけではなかったことを地質学者が証言。さらに、現在のアメリカ大陸の放射能汚染の実態を証言する。そして、日本のマグロ漁船の被害、モルモットにされたイギリス兵士の証言から、核兵器による被害の大きさを描き、映画は、女性たちの声で締めくくられる。
『サイレント・フォールアウト』 は、核兵器を手に入れるために行った実験によって、アメリカ大陸が広く放射能汚染、国民が被曝させられている事実を伝えようとしている。

主な日程
7月16日(人類史上初となる原爆実験成功の「トリニティの日」)は、アメリカン大学で、原子力研究所所長ピーターカズニック教授やエネルギー環境研究所所長アルジュン・マキジャニ博士と監督が、パネルディスカッションを行います。
8月6日(広島原爆)はローレンスリバモワの集会でスピーチ。
8月9日(長崎原爆)はオークランドで上映。

詳細は「おすすめ映画&イベント」コーナーにアップしたので、そちらをごらんください。
核兵器実験による米大陸の放射能汚染を問いかける旅
映画『SILENT FALLOUT』
http://cineja4bestfilm.seesaa.net/article/503820081.html

また、日本での『サイレント フォールアウト』上映情報は下記をごらんください。
『サイレント フォールアウト』上映会開催情報 2024年6月〜
http://cineja4bestfilm.seesaa.net/article/503455912.html

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本の紹介 フィルムを紡ぐ 映画編集者 南とめ 聴き書き

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フィルムを紡ぐ 映画編集者 南とめ 聴き書き
著者:南とめ
聞き手=宮重淑子
編集=稲川方人/青木眞弥(キネマ旬報社)
発行=株式会社パンドラ
販売価格1500円+税=(\1,650)
A5 判/約180 ページ/並製

ネガフィルムの編集者として活躍した南とめさんへの聴き書きをまとめたもの。
TVドラマの編集助手をしていた宮重叔子さんが、映画配給や出版などを手掛ける(株)パンドラに勤務し、約30年前に南とめさんに取材したものの出版できないままになっていた聴き書き原稿が戸棚に眠っていました。2022年、国立映画アーカイブで「日本の女性映画人」という企画が始まり、日本の女性監督、脚本家、編集者などが取り上げられ、その機会に、この30年前の聴き書きを本にしようということになったそうです。

かつて映画はフィルムで撮影・編集していました。脚本や撮影中の記録に基づきポジフィルムの編集者が1本の作品に仕上げ、それに忠実に従いネガフィルムへと編集する。南とめさんはネガフィルムの編集者として、1933年の木村荘十二監督作『ほろよひ人生』に始まり、数百本の作品を手掛けました。その南とめさんの仕事人生を綴っています。
映画のことを語るとき、監督や俳優がどうしても注目されますが、映画を作るにはたくさんの人の協力が必要です。これは、日本映画を裏で支えた人の映画史でもあります。

南とめさん紹介 パンドラHPより
1910 年6 月18 日〜 2004 年5 月16 日
ネガ編集を手掛けた作品。『影武者』(1980年/黒澤明監督)『乱』(1985年/黒澤明監督)『ヒポクラテスたち』(1980年/大森一樹監督)『犬神家の一族』(1976年/市川崑監督)他多数。1985年エランドール賞特別功労賞/第10回エイボン女性年度賞功績賞/第14回日本アカデミー賞特別賞/第50回毎日映画コンクール特別賞受賞。

目次:
はしめに | 宮重淑子

第1章 富山の新湊から大阪、そして映画の世界へ
第2章 裏方の裏方のもう一つ裏方
第3章 鵜川疎開時代
第4章 人の三倍、四倍は働いた
第5章 映画の仕事は一日やったらやめられない

編集部注
南とめさんという人 | 高倉三郎
南とめ 主な担当作品

2024年4月下旬発行 書店では流通していません。
映画配給会社パンドラのオンラインマーケットにて受け付け。
https://pandora-films-shop.stores.jp/items/65e5744c8eae8004135e682b

あるいはパンドラまで(E-mail:kibou@pan-dora.co.jp)
※送料は購入者負担。
メール 件名に【「フィルムを紡ぐ」購入希望】と記入
@氏名 A購入希望冊数 B送付先の郵便番号、住所 C電話番号を記入の上連絡。

本書は下記劇場窓口や書店でも販売中
ユーロスペース/横浜シネマリン/シネマスコーレ
ヒューマントラストシネマ有楽町
ヒューマントラストシネマ渋谷
テアトル新宿/キネカ大森/テアトル梅田
シネ・リーブル神戸/シネ・リーブル池袋 
シネマ・ジャック&ベティ
古書往来座(東京都豊島区)/シアターキノ
ラピュタ阿佐ヶ谷/模索舎

まとめ(暁)
posted by akemi at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年06月24日

シリア→トルコ→イランを巡った一日 (咲)

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梅雨時の風物詩、紫陽花はとっくに見ごろを迎えていたのに、やっと梅雨入りしましたね。
23日の日曜日、雨を心配しながら朝から出かけてきました。
メインは、4時からのイランの詩を読む会だったのですが、水曜日から4日間、家に籠っていたので、写真展など一気に巡る予定を立てました。

まずは、新宿西口OM SYSTEM GALLERYでの小松由佳写真展「 あなたは ここにいた 〜燃やされた故郷、パルミラ〜 」
小松由佳さんは、2006年、パキスタンにある世界で2番目に高い山 K2(8611m)に日本人女性として初めて登頂された方。その後、草原や沙漠を旅しながらフォトグラファーに転向。2008年よりシリアを撮影。2011年からのシリア内戦で人々の境遇の変化を目撃し、2012年よりシリア内戦・難民を取材。
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今回の写真展は、小松さんのシリア人のご主人の故郷パルミラを11年ぶりに訪れ、秘密警察の監視の下、なんとか撮った遺跡や住居の今の姿や、各地で難民生活をおくるご親族の方々のポートレート。帰郷を果たせず2021年にトルコで亡くなられた義父ガーセム氏のお墓に涙。破壊されたのはパルミラの遺跡だけでなく、そこで暮らしていた人々の人生。
写真展は、本日25日で終了しますが、小松由佳さんのサイトで写真やプロフィールをぜひご覧ください。
https://yukakomatsu.jp/

次に向かったのは代々木上原。新宿西口広場は小田急デパート解体後、行く度に通路が変わって、小田急線改札に迂回してたどり着きました。
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目指すは、東京ジャーミィに隣接するユヌス・エムレ インスティテュート東京2階のギャラリーで開催中の「トルコ風刺漫画展」
見ただけではわからない風刺漫画の背景や作家の意図することを、横田吉昭さんからたっぷりお聞きしました。
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こちらは、6月26日(水)まで開催中。⁠
会場:ユヌス・エムレ インスティテュート東京(渋谷区大山町1-19−2F) ⁠
平日11:00−17:00⁠

3時過ぎに失礼して、笹塚駅に向かい、そこからバスで新高円寺へ。

4時から、なるお食堂プリムールで、「第1回カフェ・ミーヌー:イランの詩を読む会」
記念すべき第1回に取り上げられたのは、イランで最も人気のある現代詩人の一人、フォルーグ・ファッロフザード。長いペルシア文学史上、女性として初めて個人的な経験を詩にしたことで知られています。 
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1935年テヘラン生まれ。16歳の時、電撃的な恋愛結婚をするも、離婚。その後、作家で映画監督のエブラヒーム・ゴレスターンと出会ったことから、フォルーグは大きく飛躍。映画にも挑戦。ハンセン病患者の療養所をテーマにした短編ドキュメンタリー映画『あの家は黒い』は、東京フィルメックスなどで上映されていますが、映像の美しさに圧倒されたことを思い出します。
フォルーグの詩をいくつか選んで、ペルシア語と日本語で朗読したあと、32歳で急逝したフォルーグの人生を15分ほどにまとめた映像。1967年2月13日、フォルーグ自身がジープを運転していた時に、スクールバスを避けようとして事故死した時の様子や、その後の雪の中での葬儀の映像も。1950〜60年代は、日本でも女性が思うようにモノを言えなかった時代。胸の内をぞんぶんに表したフォルーグの詩は、心に響きます。

終わったあと、荻窪での写真展「イラク・モースルを訪ねて」が8時まで開催されているので、行くつもりでいたのですが、「お時間のある方は、有料ですが、カレーをいかがですか」とのアナウンス。なるお食堂プリムールのお食事は間違いなく美味しいので、写真展は諦め、カレーをいただくことに。
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でも、お蔭で、久しぶりにお会いした医師のS先生とゆっくりお話しすることができて、ひょんなことから、なんと高校の大先輩と判明。もう30年以上のお付き合いになるのに、初めて知りました。びっくりでした。

シリア、トルコ、イランをたっぷり味わった一日でしたが、この3か国はかつて訪れたことのある懐かしいところ。 そして、行けなかった写真展のイラクは、何度かチャンスがあったのに、行き損ねている国。この日も縁がありませんでした。

写真展「イラク・モースルを訪ねて」
6月30日(日)まで。
平日17-20時/土日12-20時/水曜定休
The Ancient World 直売所
東京都杉並区天沼3-1-8
03-3391-0809
https://ancient-w.com/



posted by sakiko at 16:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々のできごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年06月16日

台湾映画・台湾関連映画を5本も観た1週間(暁) 『春行』『中村地平』『狼が羊に恋をするとき』『村と爆弾』『郷愁鉄路』

2024年5月24日(金)〜6月1日(土)に観た映画は10本。そのうち5本が台湾映画及び台湾に関連した作品。台湾の映画祭や特集上映以外では、こんなに短期間に台湾映画を集中的に観たのは初めて。上映会だけの作品、これから公開される作品など、この夏は台湾映画が熱い!

●5月24日(金)『春行』(2023)台湾文化センター
監督:彭紫恵(ポン・ツーホイ)、王品文(ワン・ピンウェン)
「台湾文化センター 台湾映画上映会2024」映画『春行』上映会トークイベントにて。

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左からポン・ツーホイ監督、ワン・ピンウェン監督、工藤将亮監督、通訳中山大樹さん、リム・カーワイ監督

今年の大阪アジアン映画祭でも上映され、すでに観ていたけど、今回監督とのオンライントークがあるとのことで参加。
台北の郊外に暮らす熟年夫婦。冒頭から言い争いをしていて、二人一緒に行動するときは、いつも言い争いをしている。いかに仲が悪いかがアピールされるが、そのうち、言い争いばかりしている夫婦の、見えない絆、思いやりがそろっと出てくる。妻が転んで足を怪我するとおろおろする。そんな日常の中で、妻が突然死してしまう。しかし、葬儀をするわけではなく、なんと冷凍保存してしまう。そこの所も、最初、よくわからなかったけど、妻と離れたくないという思いの現れだったのか。

この作品は、ポン・ツーホイとワン・ピンウェンという、ツァイ・ミンリャン監督好きの、まだ若い二人の女性監督の作品だった。
全編台湾語だったが、そのことを聞かれて「本作は16 mmフイルム撮影も含め、時代と共に失われていくものを撮りたかったのです。戒厳令下において台湾語は学校で使用は禁止され、いまは台湾語を使う人は少なくなっています」と、失われていく記憶をフィルム撮影に収めたとポン監督が語った。

妻役で楊貴媚(ヤン・クイメイ)が出ていたけど、まだ若いのに熟年役?と思っていたら、その後に観た、『村と爆弾』(1987)、『無言の丘』(
1992)に出演していたのを知り、そんな時代から活躍していたんだと驚いた。『村と爆弾』は37年以上前の作品だから、もう熟年世代ではあるんだ。この2作品が1990年代初めに日本で上映された時にも観ているけど、その時は彼女が出演しているという認識がなかった。今回「台湾巨匠傑作選2024」の試写で観て、この2作品にも出演していたんだと思い、この『春行』での熟年役に納得。それにしても若い。彼女が出ているから、日本公開ありかも。
*シネマジャーナルHP
台湾映画上映会2024 『春行』上映会&トークイベント
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/503740198.html

●5月25日(土)ドキュメンタリー映画『中村地平』 監督:小松孝英 
一般財団法人台湾協会主催上映会 台湾文化センター

台湾や南方に関する小説を発表していた中村地平を紹介するドキュメンタリー。
1908年宮崎県に生まれた中村地平。佐藤春夫の台湾小説に憧れて台北高校に進学、東京帝国大学在学中に太宰治と出会い、井伏鱒二に師事し「熱帯柳の種子」で文壇デビューし、「北の太宰、南の地平」と称されたという。台湾を舞台にした小説など数々の作品を多数発表し、南方文学の旗手として脚光を浴びるようになりましたが、従軍作家としてシンガポールに派遣されて以降、南方文学から転向し、戦後は宮崎の復興に尽くして1963年に55年の生涯を終えたそうです。霧社事件にもスポットをあて、台湾の山河と昔日の光景を交えながら作家の苦悩に肉迫し、激動の近代に生きた一人の作家の人生を描いています。
この方の名前を知りませんでしたが、かつて「南方文学」というような文学のジャンルがあったということを知りました。それに、日本統治時代の台湾の光景もけっこう出てきました。

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小松孝英監督(右)&中村地平さんのお孫さん?

●5月27日(月)『狼が羊に恋をするとき』原題:南方小羊牧場
監督・脚本:侯季然(ホウ・チーラン) 2012年
2024年6月14日(金)より下北沢トリウッドにて公開

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c2012 Strawberry Time Films ALL RIGHTS RESERVED

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2013、カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2014(東京)、台湾映画祭2015(福岡)と上映されたが、一般公開はされないままだった。その作品が10年の時を経て公開。
*シネマジャーナルHP 特別記事 2013
祝10周年! SKIPシティ国際Dシネマ映画祭
http://www.cinemajournal.net/special/2013/skip/index.html

「予備校に行くね」というメモを残し、恋人のイーインが姿を消してしまった。タンは、台北駅近くの予備校が集まる「南陽街」に彼女を捜しにやってきた。タンはひょんなことから印刷屋の店長に拾われ住み込みで働き始める。近隣の予備校から依頼されるテスト用紙の印刷に明け暮れるうち、とある予備校の原稿に羊のイラストが描かれていることに気付く。羊のイラストを描いていたのは「必勝予備校」のアシスタント・小羊(シャオヤン)だった。タンは遊び心から、これに狼のイラストを書き足してしまう。間違って印刷されてしまった用紙が納品され、テスト用紙上で狼と羊は会話を始めてしまう。奇想天外な物語。
シネマジャーナルHP 作品紹介

●5月31日(金) 試写
『村と爆弾』[デジタルリマスター版] 原題:稻草人(1987)
監督:王童(ワン・トン)
台湾巨匠傑作選2024〜台湾映画の傑物 ワン・トン(王童)監督と台湾ニューシネマの監督たち〜」
2024年7月20日(土)より新宿K's cinemaほか全国順次開催

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(C)2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.

監督:王童(ワン・トン)
撮影:李屏賓(リー・ピンビン)
出演:兄・アファ:張柏舟(チャン・ボーチョウ)、弟・コウヅエ:卓勝利(ジョウ・シェンリー)、弟の妻・楊貴媚(ヤン・クイメイ)

台湾が日本に統治されていた時代。太平洋戦争末期の台湾。農村で暮らす小作人のアファとコウヅエの兄弟は家族とともに貧しい農耕生活を送っていた。母親は耳が遠く、妹は夫を戦争で失って以後、精神を病んでいる。ある日、遠方から地主がやって来て、田畑を製糖会社に売り払うと兄弟に告げる。さらに追い打ちをかけるように、一家の唯一の財産である牛が日本に徴用されてしまう。翌日、今度は村が米軍機の空襲を受け、敵機が去った後、兄弟の畑に一発の不発弾が残されてしまった。上官から褒美をせしめようと、兄弟と村の巡査は隣町の駐在所へ不発弾を、二人で担いで届けに行く。だが上官は爆弾の暴発を恐れ、海に投棄するよう命じた。銃を突き付けられ、しぶしぶと海辺へ爆弾を運ぶ兄弟。爆弾を海に投げ込みしばらくすると水柱が上がり、人々は呆気にとられるが、爆発の衝撃で死んだ魚が海面に浮かぶや、我先にと海へ入り、魚をかき集める。兄弟たちも大量の魚を手に、村へと帰って行くのだった。日本による植民地政策のもと、不条理な状況に置かれた村の農民たちの悲哀としたたかさがユーモアたっぷりに描かれる。
20数年前の台湾映画の特集上映の時にも観ていたけど、その時は台湾映画を観始めだったし、台湾に行ったこともなかったので、台湾の文化のことをほとんど知らずに観ていた。日本語が結構使われているのに驚いた記憶がある。
その時はわからなかったけど、今回観て、楊貴媚(ヤン・クイメイ)が弟の妻役で出ていたのにびっくり。『無言の丘』(1992)にも出ていた。彼女のことを認識したのは、『恋人たちの食卓』(1994)、『愛情萬歳』(1994)あたりからだったけど、1987年にはすでに映画に出演していたのですね。『春行』に熟年夫婦役で出てきた時には、まだ若いのに熟年?と思ったけど、年相応ということだったんだということなのですね。それにしても若々しい。撮影は李屏賓(リー・ピンビン)。侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督とのコンビで知られているけど、ワン・トン監督の作品も撮っていたんですね。

(C)2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
台湾巨匠傑作選2024 公式HP: https://taiwan-kyosho.com 
配給:オリオフィルムズ
配給協力:トラヴィス
共催:国家電影及視聴文化中心

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6月1日(土) 新宿武蔵野館


『郷愁鉄路〜台湾、こころの旅〜』原題:南方、寂寞鐵道
監督:簫菊貞(シャオ・ジュイジェン)
音楽:陳明章(チェン・ミンジャン)/謝韻雅(シェ・ユンヤー)
編集:陳博文(チェン・ボーウェン)/陳c璁(チェン・ユーツォン)
音響:杜篤之(ドゥ・ドゥーチー)/謝青㚬(シェ・チンジュン)

7月5日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開

公開前に監督が登壇する上映会があると友人から連絡があり、上映数日前に残り少ないチケットを買って新宿武蔵野館へ。

台湾南部の鉄道路線「南廻線」。台湾を一周する鉄道路線のうち、最後に建設された「南廻線」。その「南廻線」を支える鉄道員と家族、同線を愛する人々の想いを記録した台湾初の鉄道文化ドキュメンタリー作品とのこと。台湾映画では鉄道がよく出てくるけど、鉄道とその周辺を扱ったドキュメンタリー作品はこれまでなかったのかな? そういえば、台湾発のドキュメンタリー作品って、あまり日本には入っては来ていないかも。公開された作品でぱっと思い浮かぶのは、『天空からの招待状』(2013)、『台湾、街かどの人形劇』(2019)、『私たちの青春、台湾』(2020)、『湾生回家』(2015)くらい。もちろん山形国際ドキュメンタリー映画祭では毎年台湾からの参加はあるけど、日本の映画館で公開されたことはあまりないような気がする。

台湾南部の鉄道路線「南廻線」。屏東県枋寮駅から台東県台東駅までを結ぶこの路線は、パイナップル畑や線路の近くまで迫る海など大自然の中をSLやディーゼル列車がのんびりと走り抜ける旅情豊かな路線のようです。そういう光景がたくさん出てきた。でも、2020年に全線で電化され、大きく変化を遂げたそう。この作品はそれまでの最後の日々を4年に渡って撮った作品。
シャオ・ジュイジェン監督は台湾でドキュメンタリー監督として活躍、山形ドキュメンタリー映画祭にも出品経験があります。この作品は4年の歳月をかけ失われていく沿線の原風景と鉄路をカメラで記録し、鉄道員やその家族、「南廻線」を愛する人々の想いを残しました。
7月5日から公開されるのでぜひ観に行ってください。

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シャオ・ジュイジェン監督

 『郷愁鉄路〜台湾、こころの旅〜』公式HP 
製作:Pineal Culture Studio(上善醫文化工作室)
2023年/台湾/106分/DCP/日本語字幕:樋口裕子
/翻訳協力:小田急電鉄株式会社/G
配給:武蔵野エンタテインメント cPineal Culture Studio
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2024年06月09日

『WALK UP』主演クォン・ヘヒョ氏トークイベント取材してきました (咲)

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ホン・サンス監督の長編第28作目となる『WALK UP』が、6月28日(金)より日本公開されるのを記念して、主演のクォン・ヘヒョ氏が来日。6月6日(木)ヒューマントラストシネマ有楽町にて開催の日本最速上映会後のトークイベントに登壇されるとのご案内をいただき、取材に駆け付けてきました。
映画やテレビドラマの画面で観ていたクォン・ヘヒョ氏そのものの表情豊かな方でした。
時折見せるはにかむような笑顔が特に素敵でした。

ホン・サンス監督の映画に出演するのは、本作で9本目。トークでは、ホン・サンス監督からどのようにオファーされたかに始まり、撮影時の演出方法など、詳しくお話してくださいました。

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映画の中でギターを弾く場面があるのですが、この日もサプライズでギターの弾き語り。「上を向いて歩こう」を歌ってくださいました。「恥ずかしいので、もし録音された方がいましたら、ご自分だけで聴いてください」とクォン・ヘヒョ氏。

最後には、ファンの女性の方から花束も。
大いに照れるクォン・ヘヒョ氏でした。
終了後も、ロビーで皆さんに気さくに接していらっしゃいました。
私も、しっかりご挨拶。(カムサムニダとしか言えなかったのが悲しい・・・)

トークイベントの詳細は、後日、報告します。
(すでに、オフィシャルレポートや他誌のレポートが出ています・・・)

6/16 アップしました。
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映画『WALK UP』主演クォン・ヘヒョ登壇トークイベント報告 (咲)



『WALK UP』原題:탑 
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c 2022 JEONWONSA FILM CO. ALL RIGHTS RESERVED. 
監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽:ホン・サンス 
出演:クォン・ヘヒョ、イ・ヘヨン、ソン・ソンミ、チョ・ユニ、パク・ミソ、シン・ソクホ
2022年/韓国/韓国語/97分/モノクロ/16:9/ステレオ 
字幕:根本理恵 
配給:ミモザフィルムズ
公式サイト:https://mimosafilms.com/hongsangsoo/
★2024年6月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺、Strangerほか全国ロードショー
posted by sakiko at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 取材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする