2015年12月にスタートしたイスラーム映画祭。主宰の藤本高之さんの完全自己負担で開催されている映画祭も、今回で10回目を迎えました。私が一番楽しみにしている映画祭です。東京での開催は、2月20日(木)〜24日(月)の5日間。
上映された12作品の内、3作品はかつて観た映画でしたが、どれももう一度観たいし、なにより上映後のトークも充実しているので、12作品すべて観ました。
11回のトークもすべて制覇したかったのですが、なんと、最終日の24日、3時から高校の同期生・井部さんが所属する東京アカデミー合唱団 創立60周年記念 第69回定期演奏会とぶつかって、24日午後の2本は上映後トーク付きを諦めました。
映画祭最終日の24日、10時からは、ハーニー・アブー=アスアド監督が、2002年にオランダの協力を得て作った初めてのパレスチナを舞台にした映画『ラナー、占領下の花嫁』でした。別名、『エルサレムの花嫁』という通り、エルサレムが舞台。16歳のラナーが、父がエルサレムを去る日、旅立つ4時までに恋人ハリールとの結婚契約をするべく奔走します。未成年なので父親の承諾がいる次第。登記官が東エルサレムに入る検問所で足止めを食っているのがわかり、検問所に走り、そこで結婚契約を結び、検問所の脇で皆で踊ってめでたしめでたしという物語でした。
今、イスラエルの各所に分離壁がありますが、この頃はまだ壁はなく、検問所が各所にあって、柵で隔てられている状態でした。私がエルサレムを訪れた1991年5月には、まだ柵も分離壁もありませんでした。
前半、ラナーがハリールを探してエルサレムの旧市街を歩き回る場面がありました。黄金のドームや聖墳墓教会などの観光地としても有名なもののほか、ゆっくり散策した石畳の旧市街を懐かしく思い出しました。

岡真理さんの歯切れのいいトーク《ある日のエルサレム 《占領》という日常》を聴き終えてすぐ、西武百貨店前からバスに乗って、初台のオペラシティーへ。15分の道のり。近くて助かりました。
3時の開演前に、高校の同級生3人でランチ。
今回の曲は、東京アカデミー合唱団が10年毎に取り組んでいるバッハの『マタイ受難曲』。
常任指揮者、音楽監督の秋山和慶氏が、1月26日に急逝され、木村美音子さんが指揮を務められました。

歌詞の日本語訳が見やすいところに掲げられていたのですが、キリストの受難が順を追って語られて、エルサレムを訪れた時にヴィア・ドロローサ(苦難の道)を歩いて巡ったことを思い出しました。そして、今のイスラエルの占領下でパレスチナの人々が苦しんでいることを、イエス様はどう思われるだろうと考えてしまいました。
合唱がとても美しく、心に響く素晴らしいものだっただけに、今の戦争が絶えない世界を憂いました。
休憩をはさんで、終了したのは18:40分近く。 「イスラーム映画祭10」最後の映画『神に誓って』の開始時間は、18:45。 『神に誓って』は、3回観たことがあって、当初から途中から観ることになるのは想定して、いつものお気に入りの通路側の席を確保していました。
さらに、この日は、高校の同期生8人が演奏会に来ていて、終わってから焼き鳥屋さんに行くことに。映画も気になりますが、久しぶりに会う同期の人たちとのおしゃべりも捨てがたく、8時過ぎまで参加。8時半過ぎにユーロライヴに到着。ロビーに藤本さんがいて、しばしお話。(藤本さん、ほんとにお疲れさまでした。そして、ありがとうございました。)
『神に誓って』の最後の1時間ほどを観ることができました。そして、この日の一番の目的は上映後に2015年の初回イスラーム映画祭の折の麻田豊さんのトークが動画で見せていただけることでした。麻田豊さんは、私が大学に入学した時に大学院生で、その後、長年、散々ご縁のあった方。2022年の秋に急逝され、ほんとにびっくりさせられました。

10年前の麻田豊さんも若かったけれど、藤本高之さんも今の丸刈りと違って長髪。トークは麻田節炸裂でした。奥さまの美晴さんやお嬢さんにお孫さんも会場にいらしていて、お話することができたのも嬉しいひと時でした。
イスラーム映画祭10の全体の報告は、またゆっくりします。
終わってしまって放心状態が続いています・・・