日本イラン合作映画『風の絨毯』(2002年)で、高山の祭屋台のために絨毯をイランに発注する大旦那役を演じた三國連太郎さん。そのモデルになった飛騨高山の事業家・中山金太さんの功績を描いたドキュメンタリー『平成職人の挑戦』(2004年)では語りを務められたのですが、完成披露試写会の後の懇親会で思い切ってお声をかけてみました。『風の絨毯』の東京国際映画祭上映の折の舞台挨拶の時に、王政時代のイランにいらしたことがあるとおっしゃっていたので、そのことをちょっとお伺いしたかったのです。どんなお話をしてくださったのかは忘れてしまいましたが、その後に「実は、私の父が三國連太郎さんと同じ写真に写ったことがありまして・・・」と申し上げたら、「おや、そうですか」と、釣りバカ日誌のスーさんさながらの優しいまなざしをいただきました。
『風の絨毯』舞台挨拶 2002年10月29日
次にお話したのは、前述の中山金太さんの一代記「わしゃ、世界の金太!〜平成の大成功者と5人の父〜」(高山秀実著・毎日新聞社発行)の出版を祝う会の時のことでした。
その時のお祝いの言葉がとても素敵だったのを思い出し、スタッフ日記を探してみたら、ちゃんと書いていました。
という次第で、2006年9月第5週のスタッフ日記から引用です。
「益田さんという楊貴妃のような女性に騙されて、金太さんを紹介され、 映画に出ろと言われたんです。私、実は出演料高いんです。その100分の1位の額を言われ、さて、何の縁もないのに・・・と思いながら、金太さんとお付き合いしている内に、こんなお話を聞きました。 地質学者の方が、飛騨高山では温泉は出ないというのに、どうしても温泉を掘り当てたい。 3本同時に掘って、1970m掘ったところで、ついに温泉が出たのですが、 金太さんは、あと39m掘って欲しいと。なぜ?とお伺いしたら、サンキューベリーマッチだと。 自分の生き様を大事にしていらっしゃる方だなぁと感じて、 ささやかな出演料でも出てよかったなぁと・・・」
三國連太郎さんと楊貴妃のような益田祐美子さん
三國連太郎さんと金太さんご夫妻
金太さんも、その後、まもなく天国に召されました。きっとあちらの世界で三國連太郎さんを暖かくお出迎えされていることでしょう。
ご冥福をお祈りもうしあげます。合掌