2013年07月22日

『ひろしま 石内都・遺されたものたち』 公開記念トークショー (咲)

7月20日から岩波ホールで『ひろしま 石内都・遺されたものたち』の公開が始まり、それを記念して、初日から3日連続してリンダ・ホーグランド監督とゲストとのトークショーが開催されました。
2日目の21日(日)、映画を拝見したあと、リンダ監督と阪本順治監督のトークショーに参加してきました。

写真家 石内都さんが、広島の平和記念資料館に収蔵されている原爆犠牲者の遺品を撮影したシリーズ「ひろしま」。映画は、カナダ・バンクーバーの人類学博物館(MOA)での写真展を追ったもの。
花柄や水玉模様の衣類、靴紐のない靴、焼け爛れた青い目の人形など、原爆で亡くなった方々の遺品の写真たちが、無言で戦争の虚しさを語りかけてきます。博物館所蔵のカナダ先住民族の遺したトーテムポールが青い空に向かって平和を祈っているようでした。

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c NHK / Things Left Behind, LLC 2012

阪本順治監督から、「観る前には展覧会を中心にドキュメンタリーが成り立つのかと思っていたけれど、その場に立っている気持ちになれた」との感想が語られました。
バンクーバーでの写真展実現には、実はリンダ監督の尽力があったことが明かされました。
ドキュメンタリー監督がお膳立てした形になっていいものかと思ったと語るリンダ監督に、「ドキュメンタリーは劇のように、劇はドキュメンタリーのようにと言われるように、どういう風に現場を作っていくかはどちらも同じ。技術が心を上回ったところで志が伝わらなくなってしまう」と阪本監督。
撮影中に偶然、修学旅行で博物館を訪れた広島の高校生たちや、バンクーバー在住の韓国移民や日系カナダ人などから、印象深い言葉を引き出したのもリンダ監督の持つ秘めた力によるものなのだと、阪本監督の言葉から感じました。

最後に、阪本監督から、アメリカ人宣教師の娘として日本で育ったリンダ監督の実に日本的なエピソードが明かされました。ニューヨークのラーメン屋さんで一緒にいた時のこと。携帯が鳴るたびに外へ出るリンダ監督にラーメン屋の日本人店主が「うっとうしい外人!」と言ったのに対し、「外人はあんたやろ!」と一喝。関西弁が流暢なリンダ監督、突っ込みも関西流?!
『特攻/TOKKO』(プロデュース)、『ANPO』、『ひろしま 石内都・遺されたものたち』と3本作って、リンダ監督にとっての太平洋戦争は終結。「次は、明るい映画を作ります!」と宣言してトークは終了しました。

★シネマジャーナル87号にリンダ・ホーグランド監督インタビュー記事を掲載しています。
また、シネマジャーナル88号には、本作のプロデューサーである橋本佳子さんのインタビューを掲載しています。
リンダ監督によれば、“天使のようなヤクザのようなプロデューサーに恵まれました”とのこと。この日、会場で橋本佳子さんにもお会いすることができました。人を包み込むようなおおらかさを持つ素敵な方でした。

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c NHK / Things Left Behind, LLC 2012

『ひろしま 石内都・遺されたものたち』
7月20日(土)〜8月16日(金)岩波ホールにて特別上映
公式HP:http://www.thingsleftbehind.jp/
posted by sakiko at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 取材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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