『ゆるせない、逢いたい』 監督・脚本:金井純一/11月16日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー公開/http://yuru-ai.com/
高校生の木下はつ実(吉倉あおい)は、引越しの前に交通事故で突然父を失い、弁護士の母親と2人で郊外の家に引っ越して来た。新しい高校では陸上部に入り、マリ(新木優子)と仲良しになり、順調な高校生活だった。一方、家庭では母親(朝香真由美)が教育ママではつ実とは合わず、父親のいない喪失感のせいか孤独だった。そんなある日、はつ実は古紙回収の仕事をする野口隆太郎(柳楽優弥)と出会う。
素晴らしい作品だ。監督さんはこの作品が長編デビューとお聞きした。
構想から脚本・編集までやっている。
主役の吉倉あおいさん、素直さと感の良さがあり、声に自然な幼さが残っていて清潔さが滲み出ていた。期待の新人女優さんだ。
作品は『さよなら渓谷』を思い出したが、痛さは別物(種類は同じでも深さが違う)であるし、痛いストーリーの中に救いがあり、新鮮な気持ちで観終えることができた。
『ジンクス!!!』 監督:熊澤尚人 脚本:まなべゆきこ、熊澤尚人/11月16日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー公開/http://jinx-movie.com/
韓国から日本に短期留学に来たユン・ジホ(ヒョミン)は、日本の大学で、楓(清水くるみ)と雄介(山崎賢人)と考えや習慣などの違いを確認しながら、だんだん親しくなっていく。
だが、ジホには親しくなった2人にも言えないことがあった。
T-ARA のヒョミンが主演と聞いても知らないが、初対面から片言の日本語を大声で元気なキムチパワーをふりかけられては、みんな引いてしまうだろう。
始めこそ「うるさいなぁ」と見ていたが、だんだん片言の日本語に慣れてきて、ジホの一生懸命に恋を後押しして、同時に自分の喪失感を埋めていく展開に引き込まれてしまった。
日本と韓国の恋愛のお作法に「こんなに違うのか」とわかって面白かった。
韓国は付き合って百日目には記念のプレゼントや驚かすようなちょっとした工夫をやるらしい。面白いのは具体的な映画をDVDで見せてセリフやシーンをアレンジして実行させるのだ『ラブ・アクチュリー』『エターナル・サンシャイン』が候補にあがった。
映画好きには「こんなピゥアな使い方があるのか・・・」と楽しめるし、これから観る映画に「いい題材」を見つけることもできる(見つけるだけでミッキーおばぁは活用はできないが・・・)
リストの「愛の夢」を辻井伸行さんが弾いていた。独特な音色が映画にピッタリだった。
『くじけないで』 監督・脚本:深川栄洋/11月16日(土)より丸の内ピカデリールほか全国ロードショー公開/http://www.kujikenaide.jp/
夫に先立たれたトヨ(八千草薫)は一人暮らしをしている。
小説家を目指していた一人息子の健一(武田鉄矢)は仕事にもつかないでふらふらしている。
嫁の静子(伊藤蘭)はそんな健一を愚痴を言いながらもどうにか支えている。
トヨは不甲斐ない息子が苦労の種だったが、嫁は精いっぱい尽くしてくれる毎日に感謝していた。
そんなある日、白内障の手術を受けて弱音をはいたトヨに、健一が「詩を書いたら」と勧めてくれた。
90歳を迎えてから詩を書くようになった主人公トヨさんの人生は「おしん」そのままだった。辛い半生だったが、この人生の最終章で「詩」に巡り合い、パァっと花咲かせた。
それだけではない。トヨさんの「詩」はいろんな方の応援歌となって、それぞれの迷いや悩みから抜け出す救いの手となっている。詩の持つ力を強く感じた作品だ。
八千草薫は言うまでもないが、武田鉄矢&伊藤蘭の夫婦もいい。
『少年H』の本物ご夫婦に負けないくらいいい!