2015年08月22日

チェコ映画『火葬人』に、ぞくっと涼しい思い (咲)  

8月21日、1時から月島で『天使が消えた街』の試写。
マイケル・ ウィンターボトム監督がイタリアで実際に起きた「英国人女子留学生殺害事件」を題材に、子を持つ親の気持ちや、報道のあり方を描いた社会派ドラマ。重いテーマと裏腹に、ロケ地シエナの美しさをたっぷり味わえる映画でした。
★9月5 日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次公開

いつもなら、3時半からの試写に走るところですが、昨日は恵比寿で5時からチェコ映画『火葬人』を観ることにしたので、月島のもんじゃ屋さんの並ぶ通りを抜けて、勝どき橋を渡り、築地までぶらぶら歩いてみました。
P1070823 kachidoki.JPG
かつては、真ん中が割れて跳ね上がって、大きな船が航行できた橋も、今は固定されています。
P1070826.JPG
橋が割れる場所を確認!

築地で600円也の美味しい海鮮チラシをいただいて、恵比寿へ。
『火葬人』(ユライ・ヘルツ監督/ 1968年)の上映会のことを、美さんがミッキーの毎日映画三昧http://mikki-eigazanmai.seesaa.net/article/424283339.htmlで紹介されていて、これは絶対観たい!と時間を捻出した次第。

上映会場は、LIBRAIRIE6/シス書店。
東京都渋谷区恵比寿南1ー12-2 南ビル 3F
地図を頼りに行ったのですが、この「3F」にだまされました! 
エビスサウス1という新しい建物の向かいにある南ビルを目指していったのですが、入口は坂を上がった裏手にあって、3Fが道路から直結で入れる階なのでした。

この『火葬人』という映画、ユダヤ絡みということもありますが、どうしても観たいと思ったのは、かつて、京橋のLixilギャラリーでの「チェコ キュビズム建築とデザイン 1911-1925 -ホホル、ゴチャール、ヤナーク−展」で見たパヴェル・ヤナーク設計の、パルドゥビツェ火葬場の写真が忘れられなかったから。スラブ神話の円形モチーフが赤と白で彩られた建物の正面には、灯を掲げた女性の像が両脇にあって、火葬場に赤?と、チェコの人たちの死生観って???と、すごく気になっていたのです。(この赤と白、チェコのナショナルカラーでした)

画廊兼書店の店内には、『火葬人』の場面写真が飾られていて、その中にまぎれもなく私の記憶にある火葬場の写真がありました。でも、モノクロ。

そして、5時ちょっと前に上映開始。(予約の人が揃ったから!)

豹、ライオン、虎、鳥、蛇・・・ 
冒頭から、動物たちのアップのちょっと不気味な映像。
17年前、妻と豹の檻の前で出会ったカレル。二人の子に恵まれ、妻の持参金のお陰で裕福に暮らしてこられた。
ドイツ系の彼は、ドイツ人が冷遇されているチェコで、チェコの名を語り、チェコ語で生活している。
火葬場に勤めて15年。集会で大勢を前に、1921年公布の火葬の法律を褒め称えます。(思えば、パルドゥビツェ火葬場が出来たのは1921年) 
カレルは、「チベットの死者の書」に傾倒し、死んでも魂は次なる生きしものに乗り移ると信じています。土葬なら土にかえるまで20年かかるところ、火葬なら75分で灰に。つまりは、それだけ早く魂が解放されるといいたいのでしょうか。

クリスマスイブの食卓。定番の鯉の料理を前に、「前世は猫だったかもしれない鯉をいただこう」などと語ります。(うっ! 食べる気が失せる・・・)
ユダや人の集まりに忍び込んで様子をさぐるカレル。時は、ナチス・ドイツの足音が聞こえ始めた1930年代。
実は妻の母親がユダヤ。となると、娘と息子もユダヤ。(ユダヤは母系制) いずれ身に危険が迫るならば、死をもって魂を解放し、生まれ変わらせた方がいいと、輪廻転生を信じているカレルは結論をくだすのです。
妻を諭して自宅の自慢の浴室で自殺させたカレルのもとに、チベットから使者がやってきます。「崩御されたダライ・ラマの生まれ変わりをようやく見つけました。ラサにご一緒に」とカレルを迎えにきたのです。(ダライ・ラマ13世が崩御されたのは、1933年12月17日)
カレルの妄想に、いやもう、笑うしかない!
カレルは、火葬場で働くユダヤ人たちも次々と「魂を解放」していき、所長にのぼりつめます。所長になって初めての葬儀が妻の葬儀。参列者を前に、「巨大な焼却炉があれば、大勢の魂をわずか10分で解放させることができる」と意気揚々と語るカレル。ナチスのガス室を彷彿させる言葉!
チェコの誇る名優ルドルフ・フルシーンスキー演じるカレルの鬼気迫る姿が、今もまだ脳裏に焼き付いています。語り口も耳にへばりついています。いや〜凄い映画を観てしまいました。

冒頭に火葬場の外観が赤と白と書きましたが、墓場といい、棺桶の並ぶ部屋といい、この映画はモノクロで正解でした。
残暑厳しい折、ぞくっと涼しい思いをしたい方、29日まで上映しています。
ぜひお出かけください!  (注:月・火はお休み)

LIBRAIRIE6/シス書店 第36回企画
ユライ・ヘルツ監督映画「火葬人」+カレル・イェシャートコ写真展
8月12日(水)〜8月29日(土)
映画上映時間 / 毎日17時〜(定員20名/お電話でもご予約頂けます。)
料金 / ¥1.000-
休館日 / 月曜日・火曜日
※写真展は映画上映時間外にご覧頂けます。(期間中は14時より開廊致します。)

info@librairie6.com又は03-6452-3345までお名前・ご連絡先・電話番号をご記入の上、お申し込み下さい。
posted by sakiko at 22:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
同期のヤン・シュバンクマイエル監督のようなブラックユーモアもあって背筋が凍りました。スタンリー・キューブリック監督の(博士の異常な愛情)も核状況下の現代を諷刺していましたが本作も戦争という(殺人狂時代)に生きる現代社会を諷刺しているので永らく封印されて(呪われた映画)となっていたのですね!
Posted by PineWood at 2015年08月27日 03:52
PineWoodさん、このあたりの事情、まったく無知で、とても参考になりました。ありがとうございます!
Posted by sakiko at 2015年09月04日 09:10
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