
9月5日、早稲田大学で開催された「― 女性ジャーナリストによる報告と座談会 ― “忘れ去られる人たち”パレスチナ・イラク・シリアを伝える」に参加してきました。
主催:早稲田大学ジャーナリズム研究所
共催:アジアプレス・インターナショナル、古居みずえドキュメンタリー映画支援の会
最初に行われた古居みずえさん(ジャーナリスト、ドキュメンタリー映画監督、アジアプレス所属)のパレスチナ報告には、自宅で待機しなければいけない用事があって間に合わず悔しい思い。古居みずえさんには、『ガーダ パレスチナの詩』(2005年)公開の折にインタビューさせていただき、67号に掲載しています。今回は、『ぼくたちは見た ガザ・サムニ家の子どもたち』(2011年)以降のガザの様子、というより、昨年のイスラエルによるガザ攻撃の実態を知りたかったのですが・・・
ちょうど玉本英子さん(ジャーナリスト、アジアプレス所属)のイラク・シリア報告が始まった時に到着。IS(イスラム国)の侵攻している地域を防弾チョッキを着て取材する玉本さんの映像は時々揺れています。スナイパーの直撃を避ける為には、常に動いているのがコツだとか。そこまでして前線を取材するのは、前線といわれている場所でも、庶民の普通の生活があることを知ってほしいから。銃撃の音の聞える中、女性たちが料理をし、子どもが遊んでいる姿を・・・ そして、ことごとく家が破壊され、人々が死に、お墓も作りきれない状況に言葉を失います。
報告の後、稲垣えみ子さん(朝日新聞記者)の司会で、古居みずえさん、玉本英子さんを交えた座談会が開かれました。稲垣えみ子さんは、朝日新聞に入社して28年。主として社会部に所属していて海外にはほとんど無縁。そんな彼女だからこその、一般の聴衆にもわかりやすい座談会となりました。
古居さんも玉本さんも、前線の取材はもちろん怖いけれど、爆撃のある場に少しでも近づいて庶民の思いを伝えたいと強調されました。長く取材を続けてこられたのも、現地の人たちが優しく受け入れてくれたから。先の見えない絶望的な状況におかれている中で外国人女性ジャーナリストをもてなす人々のことを、私たちは忘れてはならないと思いました。でも、「私たちにできることは?日本の進むべき道は?」の問いに、玉本さんは、「中東の人にとって日本は遠い東洋のはずれの小さな国。彼らのことに首を突っ込む必要もない」と答え、古居さんも「日本が今のまま平和国家であってほしい」と締め括られました。
ここ数日、テレビではシリアからの難民の人たちがブダペスト駅で大量に留め置かれていることや、船で辿りついたクルドの少年の死が報道されていますが、日本ではまだまだ報道されることの少ない中東の実情。古居さんや玉本さんから、絶望的なパレスチナ、イラク、シリアの現状を突き付けられ、いろいろなことを考えさせられた報告会でした。(詳細をうまく報告できないのが歯がゆいですが・・・)

なお、古居みずえさんは、現在、『飯舘村の母ちゃんたち』を製作中。原発事故で避難を余儀なくされた飯館村の酪農家の女性たちのことを追ったドキュメンタリー。なんとか完成させたいと頑張っておられます。