毎年楽しみにしているアジアフォーカス・福岡国際映画祭。
連休が絡むので、上映スケジュールが出る前にホテルや飛行機を押さえなくてはならなくて、どんな日程で行くか思案のしどころ。
今年は、インドの音楽家A.R.ラフマーンが福岡アジア文化賞大賞を受賞すると、インド映画ファンの友人から6月初めに教えてもらって、授賞式が9月16日なので、それにも出席できるよう、15日の映画祭オープニングから行くことに。
15日(木)
福岡空港に12:25着。12:50には、中洲川端のホテルに到着。福岡は、空港と町がほんとに近い!
福岡在住の大学の同級生と、ランチした後、博多三大祭りの「放生会(ほうじょうえ)」で屋台の並ぶ筥崎宮(はこざきぐう)をそぞろ歩き。
5時半過ぎには、アジアフォーカスのオープニング・セレモニーの開かれる博多川沿いの清流公園へ。映画祭の開かれるキャナルシティのすぐそば。
台風接近で、野外で開催できるのか危ぶまれていましたが、秋らしいお天気に恵まれ・・・と思っていたら、7時の開会間際に雨がポツリ。ほんとに一粒の雨で済んで、無事開幕。
続々とゲストの方たちがレッドカーペットを歩いて特設ステージへ。中でも大きな歓声があがったのが、今回特別上映される『うつくしいひと』に出演された高良健吾さん。地震に見舞われる前の熊本で撮影した作品で、「この映画が震災支援の力になって広がっていってくれることを願っています」と高良さん。
梁木靖弘ディレクターの「映画は社会の窓。いろんな窓がありますが、馴染みのない窓も是非開けて観てください」という言葉で開会式は締め括られました。
続くオープニング上映『再会の時〜ビューティフル・デイズ2〜』は、リリ・リザ監督はじめ、総勢11名のゲスト!
映画も観たかったのですが、オープニング・レセプションに出席させていただきました。
(結局、観損なうことになるとは・・・!)
レセプションでは、『彷徨のゆくえ』(インド)のグルヴィンダル・シン監督と、『ラジオ・ドリーム』(米・イラン)に出演のセディック・アフマドさんのお二人がお話していたところにお声をかけました。言葉の話題になり、ヒンディー語とウルドゥー語は文字は違うけど文法は一緒という話から、セディックさんが「パキスタンにいたので、ウルドゥー語も少しわかる」とおっしゃるのです。予備知識がなかったのですが、セディックさんは、カーブル・ドリームズというアフガニスタン初のロックバンドのメンバーで、難民としてパキスタンにいたことがあるという次第。
初日から、お会いしたかった方たちとお話できて、いいスタートになりました。
16日(金)
A.R.ラフマーンがお目当てのインド映画ファンの友だちが、朝一番の飛行機で福岡に到着。
10時から『プラハからの手紙』(インドネシア)を一緒に観たあと、中州川端商店街の業平鮮魚店で海鮮丼。50円値上がりして700円! 胡麻ダレでいただく美味しい海鮮丼。副菜も2品ついて、この値段。
櫛田神社にお参りして、1時から『この街に心揺れて』(台湾)。きっと二人は一緒になると確信して、途中で出て、2時からほんプラザで『Orignal Copy』(ドイツ・インド)。インド映画の看板を描いている親子のドキュメンタリー。
4時から『彷徨のゆくえ』(インド)。シク教徒が迫害を受けた1980年代の物語。
終ってすぐ福岡アジア文化賞授賞式に走る予定でしたが、ゴバディ監督が来日することが本決まりになり、取材するには早く映画を観ておいたほうがいいと判断。授賞式を諦め、7時:15分から『国のない国旗』(イラク)と、引き続き、ゴバディがプロデュースして、クルドの子どもたちが撮った『国境に生きる』。ISISの侵攻で、あまりに悲惨な状況にある子どもたちの姿に胸が痛みました。
福岡アジア文化賞授賞式に出席してきた友人からは、A.R.ラフマーンが地元の高校生たちと演奏した様子を聞き、ちょっと残念な思い。
17日(土)
10時15分からイランのマジッド・マジディ監督の『預言者ムハンマド』。上映前に、音楽を担当したA.R.ラフマーンの舞台挨拶。サラーム海上さんが進行役。
ヒンドゥーからイスラームに改宗したラフマーンにとって、マジディ監督からお話をいただき、ムハンマドの人生に入り込んで音楽を作ることができたことは格別の喜びだったようです。
『預言者ムハンマド』は、壮大な叙事詩のよう。ラフマーンの音楽とともに美しい映像が繰り広げられました。
1時半〜2時 『彷徨のゆくえ』グルヴィンダル・シン監督インタビュー。
パンジャーブには、リアリティを描くシリアスな映画製作の歴史がないので、自分がその第一人者になりたいと監督。
シク教徒は髪の毛を切らない慣わしがありますが、監督は短髪。最近は、毎日髪の毛を丸めてターバンを巻くのも大変なので、髪の毛を切る人もいるのだとか。「この頭でも、ターバンを巻けば、ちゃんとシク教徒に見えるよ」と監督。
3時:15分 『あの時に思いを』(香港)。
5時からアクロス福岡で市民フォーラム「A.R.ラフマーンの音楽世界」があって、もともと最後の30分は観ないで出る予定だったのですが、市民フォーラムが予約で満席なのと、香港の景色は懐かしいものの、いい男が出てなかったので、30分で出ました。(すみません!)
5時からの市民フォーラム「A.R.ラフマーンの音楽世界」は、4時開場予定。4時前に着いたら、もうすごい列! 私の少し前にいたインドの青年4人が、私の数人後に友人1人が並んだのを見て、4人で後ろに移動。私が後ろにいくので、私のところにどうぞと言ったのですが、大丈夫と。その直後、私の前に並んでいた日本人女性2人のところに3人の女性が割り込み・・・ インド人を見習え!
「A.R.ラフマーンの音楽世界」は、福岡アジア文化賞の審査委員のお一人、石坂健治さん(東京国際映画祭「アジアの未来」部門 プログラミング・ディレクターとしてもお馴染み)の解説でスタート。まず、福岡県の人と県外の人、それぞれに拍手を求めたら、半々くらい。これほど県外から参加してくれることはあまりないとのこと。それだけにラフマーン人気がわかります。
サラーム海上さんとのトークのあと、休憩をはさんでラフマーンの生演奏を楽しみました。
詳細は、下記でどうぞ!
サラーム海上さんのレポート
松岡環さんのアジア映画巡礼
ラフマーンの余韻に浸りながら、夜景を見ながら川沿いにキャナルシティに戻り、7時:45分より『くるみの木』(カザフスタン)。これが、なんともゆる〜い、ユーモアに溢れた物語で和みました。
終ってから、福岡の映画サークルの方たちと1年ぶりに映画談義しながら遅い夕食。海鮮丼と茶碗蒸しをいただきました。「わさび醤油ですが、いいですか?」とお店の方。そうっか〜 胡麻ダレが福岡では主流なのですね。
18日(土)
10時、『ハラル・ラブ』(ドイツ・レバノン)。ベイルートのイスラーム教徒のコミュニティーを舞台に、イスラームに則した(ハラール)結婚を追及するコメディータッチの物語。会場からは何度も笑いが・・・
ダリン・ハムゼさんのQ&A
2時、福岡に住むレスリー・チャンの追っかけ仲間のN子さんとグランドハイアットで待ち合わせ。レスリーが福岡コンサートの時に泊まった思い出のホテル。あの日のことが蘇ります。
4時半、『ラジオ・ドリーム』(米・イラン)。サンフランシスコのイラン人がオーナーの小さなラジオ局の一夜。アフガニスタン人のロックバンドと、「メタリカ」のコラボを企画するも、人気バンド「メタリカ」のメンバーがなかなか現われない。番組を埋めるためにアッシリア人の女性がアッシリア語で語る場面があって、私にとってはまさに狂喜もの! 希少な言葉を聴かせていただきました。
上映後、出演者セデック・アフマッドさんのQ&Aがあったのですが、会場すぐ近くの中州の屋台に小学校の同級生が来ていて、そちらに合流。台風の影響で大雨だったのですが、屋台はやっているのですねぇ。
7時からの『風は記憶』(トルコ)に20分程遅れて入場。
私が観たのは、ず〜っと山の中の小屋の場面だったのですが、終ってから福岡組と東京組半々の会食で、冒頭の場面はイスタンブルでのめまぐるしい出来事だったと聞きました。20日に、冒頭だけ観ることに。
19日(日)
祇園駅近くの寺町を散策して、9時半過ぎに東京から着くシネジャ読者Nさんを出迎え。
10;20〜 『ハラル・ラブ』に出演の女優ダリン・ハムゼさんにインタビュー。
イスラームのコミュニティーを舞台にしているけれど、役者の半分近くはクリスチャン。レバノンらしいです。女性たちが赤裸々に夜のことも友人と話していますが、それは普通のことだとか。
11時から『ラジオ・ドリーム』のセディック・アフマドさんインタビューの予定が、時間を間違えて、11時半からに。これまでにもセディックさんとは立ち話でいろいろとお話していましたが、あらためて伺いました。
映画は、ちょっとアキ・カウリスマキ風。監督から、20秒位静止して正面を見つめて〜という指示がそれぞれの役者に出たものの、いつも誰かが笑ってしまうので、思いっきり笑いたいだけ笑ってから本番に臨んだとか。
インタビューを終えて、初めて福岡に来たNさんと散策。櫛田神社〜中洲川端商店街〜福博であい橋〜アクロス〜那珂川沿いにキャナルシティへ。ざっと1時間ちょっと。
3時 ゴバディ監督にインタビュー。去年10年ぶりの再会を果たしたので、今回は1年ぶり。
去年、これからアメリカに行くとおっしゃっていた監督。「今はどちらに?」とお伺いしたら「定まってない」とのお返事。スマホ片手に、「ここにすべておさまってます。世界は狭い!」 確かに・・・
4時からの『国のない国旗』上映後、ゴバディ監督とのQ&A。
『サイの季節』が2014年にアジアフォーカスで上映された折に来福予定が、ドタキャンだったので、福岡の方たちはほんとにゴバディ監督の来場を喜んでいました。
6時からの『ビューティフル・デイズ』(インドネシア)に少し遅れて行ったら、ほんプラザのエレベーターでリリ・リザ監督やニコラス・サプトラとすれ違いました。舞台挨拶があった模様。 実は、てっきり『再会のとき〜ビューティフル・デイズ2〜』だと思っていたのですが、2002年の最初の作品でした。懐かしかった〜!
上映後Q&A。
「14年前に本作を撮ってから14キロ太りました」と主演のニコラス・サプトラ。(左端)
『再会のとき』を観られなかったのは残念でしたが、いつか観られるでしょう!
7時半からの『この街に心揺れて』(台湾)に途中から入り、16日に前半を観た恋の行方を確認。やっぱりねの結末。思えば、オープニングには主演のチャン・ハン(チャン・チェンのお兄さん!)が来ていたけど、この日はもういらっしゃらなくてQ&Aは無し。
終ってから、この日から参戦のシネジャの名古屋の美さんを交え、またまた福岡組、東京組混合で映画談義。この日も海鮮丼。
20日(火)
あっという間に最終日。寺町を散策して、キャナルシティへ。
10時、『風は記憶』(トルコ)の18日に観損ねた最初の部分20分ほどを観てから、10時:15分からの『大芝居』(韓国)へ。上映前に舞台挨拶があったので、それほど欠けずに観ることができました。出演作は必ずヒットするという名脇役のオ・ダルスさんが主演! 面白くないわけがない。
ソク・ミヌ監督は、これまでパク・チャヌク監督の助監督を長く務めてきて、初監督作品には是非オ・ダルスさんを主演にしたいと念願を果たしたそう。
1時、『クエン〜さらば、ベルリンの壁よ〜』。今年のアジアフォーカスはベトナム映画特集だったのですが、やっとベトナム映画を観ました。それも、友人からよかったと聞き、予定を変えて観た次第。
ソ連崩壊でロシアや東欧から西に逃れなくてはならなかったベトナムの人たち。その国境越えの手引きをするベトナム男性から蹂躙され、身篭ったベトナム女性が数多くいたそうです。クエンもそんな女性の一人ですが、力強く自分の人生を歩む姿が描かれていました。まったく、男って・・・
Q&Aを終えて、柳橋市場へ。
これまで見つけられなかった柳橋食堂を見つけたら、ちょうどラストオーダーの3時半。1階の吉田鮮魚店でお金を払って2階の食堂へ。海鮮丼 670円なり。
10人ほどの集団の騒がしい広東語が狭い部屋いっぱいに鳴り響いていて、何だか香港で海鮮丼を食べているような妙な気分でした。もちろん美味しかった〜! 福岡の海鮮丼の食べ納め。
今回の旅で初めて天神へ。かつての会場だったエルガーラの入口を懐かしく眺め、市役所の1階の通り抜けて、中州川端商店街の八百屋さんにカボスを買いに。
毎日のように通っていた商店街ですが、初めて頭上の博多弁シリーズに気づきました。
そして、櫛田神社に最後のお参り。
キャナルに戻り、『くるみの木』に途中から入ろうと思ったら満席の表示。入らずに8階のゲストルームへ行ったら、どうみてもカザフスタンの方。声をかけたのですが、英語があまり通じない。紛れもなく『くるみの木』の監督。手真似で写真を撮らせていただきました。
その後、『くるみの木』の最後の10分に入れていただき、監督Q&A。
6時半から観客賞授賞式。
まずは第2位にあたる熊本市賞。『セブンレターズ』(シンガポール・マレーシア)が受賞。
あ〜観ていない!
そして、観客賞は『ハラル・ラブ』が受賞!
そうだ〜、これがあった!と、納得の観客賞。
受賞の挨拶に立ったダリン・ハムゼさん。「レバノンという小さな国の窓を、この作品で開けて観ていただけたなら嬉しいです」と語りました。
授賞式が終って会場を出てきたダリン・ハムゼさんに「おめでとう」の声をかけて、後ろ髪を引かれる思いで大急ぎで空港へ。
ところが、私の乗る9時発のJAL、搭乗見合せ中! え〜‼ もしかしたら今晩も福岡で映画談義できる?と思ったら、15分遅れで飛びました。残念!
今年も映画祭事務局の方々をはじめ、福岡の皆さんにほんとうにお世話になりました。
充実のアジアフォーカスをありがとうございました。
また、来年♪
2016年09月25日
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