2016年12月18日

『TOMORROW パーマンネントライフを探して』公開前試写会&ワークショップ(12/9) で、頼もしい若い人たちと意見交換 (咲)

フランスで観客動員数100万人を突破し、フランスで最も権威のあるセザール賞にも輝いた大ヒット映画『TOMORROW パーマンネントライフを探して』。地球にやさしく、心を豊かにしてくれるライフスタイルを模索する提案型ドキュメンタリー。
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12月23日(金・祝)より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開されるのを前に、試写会&ワークショップが開かれ、参加してきました。

<日時> 12月9日(金) 
<会場> GEOC 地球環境パートナーシッププラザ(国連大学内)渋谷区神宮前5-53-70 国連大学ビル1F
<MC・進行>  NPO 「iPledge」(アイプレッジ) 代表 羽仁カンタ氏
国際青年環境NGO 「A SEED JAPAN」から独立し、NPO 「iPledge」 設立。年間2,000人を超えるボランティアとともに野外音楽フェスやイベント等の環境対策で若者をリードし続けている団体の代表。
<トークゲスト> GEOC  星野智子氏

まずは、映画『TOMORROW パーマンネントライフを探して』の鑑賞。

*作品内容*
2012年、権威ある学術雑誌「ネイチャー」に21人の科学者たちにより、今のライフスタイルを続ければ人類は滅亡するという論文が発表された。この内容に衝撃を受けた、女優メラニー・ロランと活動家・ジャーナリストのシリル・ディオン。「この先の未来、人類が滅亡しないよう、地球にやさしく、みんなが幸せでいられるライフタイルはどこにあるのか?」を探る旅に出る。
アメリカ、イギリス、フランス、デンマーク、アイスランド、アイスランド、スイス、インドの8ヶ国で、農業、エネルギー、食、経済、民主主義、教育など様々な分野で環境対策のために“新しい暮らしや取り組みを始めている人々”に会う。
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(C) MOVEMOVIE - FRANCE 2 CINEMA - MELY PRODUCTIONS

Story 1 そもそもの、はじまり Beginning
アメリカ:「ネイチャー」誌に発表された論文。その執筆者に会う。
イギリス:パーマカルチャー(持続型農業)の講師に会う。

Story2 まずは、新しい食のあり方から Agriculture
アメリカ:デトロイト。自動車工場の相次ぐ閉鎖で人口が激減。住民たちは自給自足をめざす農業を始めた。
イギリス:マンチェスター近郊トッドモーデン。インクレディブル・エディブル(みんなの菜園)の生まれた地。花壇や公共の土地に何百種類もの果物や野菜を植え、共有するシステム。
ベルギー:食糧への権利に関する国連特別報告官に会う。
インド:遺伝子組み換え作物が農民に与える運命を糾弾し、有機農法を農民に広める環境保護活動家に会う。
フランス:石油も除草剤も機械も動力も使用しないル・ベック・エルアンの農場を訪ねる。

Story3 石油がなくても? Energy
アメリカ:世界的な経済危機、エネルギーの保護、気候変動への長期に渡る解決策を提案している人物に会いにいく。
デンマーク:2025年までに二酸化炭素排出ゼロを目指すコペンハーゲンの取り組みをみる。
アイスランド:エネルギー政策先進国として注目を浴びる国。水力発電、地熱エネルギーなど再生可能エネルギーで利益を得ている首都レイキャビク。
フランス:レユニオン島。温室の屋根を使って太陽光発電を行い島内の電気を賄う。ソーラーパネル設置と引換えに農民に温室を無料で提供している。
アメリカ:サンフランシスコ:2020年までにすべてのゴミをリサイクル活用させる「ゼロ・ウェイスト」プロジェクトを推進中。
注:再生可能エネルギー:化石燃料とは違い、太陽光、風力、地熱、水力といった自然の力で常に補充されるエネルギーのこと。

Story4 消費を増やしながら、同時に減らすことはできない Economy
フランス:リール/ポシェコ社。徹底した環境配慮型の生産体制で封筒づくりしている現場をみる。敷地で蜂を飼い、果樹園も。
イギリス:トットネス。トランジション運動を始めたロブ・ホプキンズの本拠地。庭や畑を共有し、地域通貨を創設。石油依存を減らすことを目標にしている。
イギリス:ブリストル。発展を遂げた地域通貨の成功例をみる。
ベルギー:ユーロ創設にも尽力した経済学者を訪ねる。
スイス:バーゼル/ヴィール銀行。1934年設立。使用範囲の限られた無利子のWIR通貨で相互貸付システムを提供。
アメリカ:オーランド/バリー。アメリカに於ける地元起業家の最大ネットワーク。持続可能な経済のための運動を行っている。

Story5 私たちが持っている力 Democracy
ベルギー:疲弊した民主主義症候群を覆すには、古代ギリシャで行われていた「くじ引き制度」の復活をと主張する歴史家に会う。
アイスランド:レイキャビク。2008年の金融危機後、2010年、政治家・銀行家・大企業を監視する組織が生まれ、無作為に選ばれた市民1000人が政策提言し、新憲法を作成する25名を選出。2011年新憲法草案を国民の67%が賛成するが、保守党は拒んだ。
インド:コタム・バカム。革命的な民主主義の村。カースト制度最下層不可触民出身の村長が、村の集会「グラムサバ」を開設。市議会と別に村民代表の会が問題を議論。5年間で廃棄物の削減、下水道の建設、スラム街の再開発、子どもの就学奨励などを成し遂げる。村長のための学校も設立し、10年間で900人以上の自治体の長が訓練を受けたという。

Story6 人として必要なものは? Education
フィンランド:教育システム改革に取り組んで40年。学校を支える哲学は、子どもたちに将来に備えて学び方を教えること。教え方はひとつではなく、いくつもあり、生徒によっても違う。


◆ワークショップ
2時間の映画には、上記のように多岐に渡る取り組みが盛り込まれていて、そのどれもが世界各地で実現できれば未来は明るいと思わせてくれるものばかり。
観終わって、休憩をはさみワークショップ。参加者は若い方を中心に約60名。

NPO「iPledge」代表の羽仁カンタ氏の司会進行で、まずは映画を観て印象に残ったキーワードを配られた紙に1分ほどで書きます。前後の席の人と向き合い、2〜3人で書き留めた言葉を元に感想をシェア。前後で組ませたのは、一緒に参加した友人どうしではなく、できるだけ知らない人と語り合えるようにとの配慮。私も大学生の女性、20代の会社員の女性、そして40代の会社員の男性と4人で語り合いました。
有機農法、地域貨幣、教育など、それぞれ書き留めたキーワードは違っても、それぞれのテーマに皆も関心を持って、話がはずみました。
次に、映画を観て、自分がやってみたいと思ったこと、未来のためにできることを2分間で書き留めます。
食事・食材にこだわる、農業を自分もやってみたい、自分に何が大切かを考えるきっかけになった、希望を持って続けることが大事、身の回りの人に映画で気になった内容を発信していきたい等々、さらに具体的な行動についての話題になりました。
最後に、この映画を観てよかったと思ったら、誰に映画を観てもらいたいかを各自用紙に書きました。
こちらはお互いに語り合うことなく、ワークショップは終了。
ちなみに私が書いたのは、世の権力者、大企業の経営者、銀行マン、投資家。もちろん、地球に暮らすすべての人が観て、それぞれに感じたことを行動に移せばと!


◆NPO「iPledge」代表、羽仁カンタ氏 & GEOC(地球環境パートナーシッププラザ)星野智子さんによるトーク
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公式写真

まず、羽仁カンタ氏より、「iPledge」について紹介がありました。
年間2,000人を超えるボランティアとともに野外音楽フェスやイベント等の環境対策で若者をリードし続けている団体。ごみゼロナビゲーション(野外公演などでゴミを拾わないボランティア:袋を配りゴミの持ち帰りを呼びかけるなど)、i turn プロジェクト(都会と田舎の若者を繋ぐ)、Life Buffet(生き方をつまみ食い)など多くのプロジェクトを実行しているとのこと。

星野智子さんからは、映画の感想として、「地域通貨が機能している実例や、農業の様々なやり方を見れて、心強く思い、さらにどうやって広げていくかが課題」と述べられました。また、地球環境パートナーシッププラザでは、グリーンカーテンを実施していて、苗を植えたりしていることをPRされました。さらに、具体的に経済を変えていくことができればとも。
デンマークの再生可能エネルギーへの取り組みが印象的で、自身の住む千葉県がデンマークとほぼ同じ規模なので、日本全体では無理でも、県内で自給自足ができそうだと思えると語りました。

羽仁氏は映画に出てきた大都市デトロイトでの農業を引き合いに出し、「東京でも農業を!」と語り、星野さんに「国連大学なんだから率先して、コンクリートを畑にして野菜を植えたら、すごくいいと思う。渋谷駅に花を植える“シブハナ”があるけど、“シブベジ”になって面白いと思う」と提言されました。

最後に星野さんは、「大企業に繋がる人たちにさりげなくこの映画を観せたい。また政策に係わる人、例えば地元の議員さんや役所の人に観てもらいたい」と語りました。羽仁氏も「映画は、2時間集中して観られるので、ぜひ政策を提言している人や議員の人たちに観てもらいたい」と話し、さらに「政治家だけが変わるのでなく、自分たち1人1人が変わっていく必要がある。ぜひ映画を観て、自分を変えるヒントやチャンスにしてほしい」と語りました。

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公式写真 (最後列 右端が私の後ろ姿です)

☆映画を観るだけでなく、若い方たちと意見交換することができ、有意義なひと時となりました。皆さん、しっかりとした考えを持って発言をされて、こちらがたじたじでした。皆がこんな若者なら、ほんとに未来は明るい! 
未来を担う世界中の若い方たちに、ぜひこの映画を観ていただいて、どれか一つでも実行していただければ、地球の環境は少しずつ改善されることと思います。

*作品データ*
TOMORROW パーマンネントライフを探して   原題:DEMAIN
監督:シリル・ディオン、メラニー・ロラン(『イングロリアス・バスターズ』『オーケストラ!』)
出演:シリル・ディオン、メラニー・ロラン、ロブ・ホプキンス、ヴァンダナ・シヴァ、ヤン・ゲールほか

2015年/フランス/120分/シネスコ/カラー
配給:セテラ・インターナショナル
公式サイト:http://www.cetera.co.jp/tomorrow/
★2016年12月23日(金・祝) 渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
posted by sakiko at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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