
7月22日から新宿K‘s cinema他で全国公開される『十年』は、製作された2015年から10年後の香港を描いた5つの物語。3つ目の物語『方言』は、普通語(中国で使われる標準中国語)が出来ないタクシー運転手の悲哀を描いた痛烈な作品。大陸から来た客から言われた行先がわからない。若い子から広東語読みの地名を教えられる始末。やがて、空港や主要ターミナルのタクシー乗り場には普通語が出来ないと入れなくなる。そんなことが現実になる日もありえるかもと思わせられた一作。
20年前、返還直前の町で、小学校6年生くらいの男の子が、「大陸の中国語をどう思う?」とマイクを向けられて、「簡体字は、略しすぎて、漢字に失礼だ」と答えていたのを思い出します。繁体字の看板もだんだん肩身が狭くなっていくのでしょうか。もう何年も行ってない香港。広東語の響きこそ香港と感じさせてくれるのに、今や、普通語が幅をきかせているようで、行くのがちょっと怖い。
さて、本日行われた香港回帰20周年の記念式典、公式な場で広東語はひと言も使われなかったとか。
民主化を求めて抗議する人たちの姿を見ながら、あと、30年、香港は香港であり続けられるのかなと思った一日でした。