1月8日夕方5時より、東京外国語大学ペルシア語専攻主催で、「ドキュメンタリー映画で追体験する革命の鼓動」と題する上映会が開かれました。
上映作品は、1979 年に製作された『自由のために』(原題:Barâ-ye âzâdi)
監督:ホセイン・トラービー Hosein Torabi
109分/35ミリフィルムからDVDに変換、カラー
2017年11月に開催されたイラン文化センター主催のイラン映画講座で、アジア経済研究所の鈴木均氏が、イランのイスラーム革命成就直後に作られた映画として、一部分を見せてくれたドキュメンタリー。「marg bar shah(シャー(王様)に死を)」「marg bar amrika(アメリカに死を)」といったシュプレヒコールがとても音楽的で、さすがイラン人の感性と感心。いつか全編を観たいと思っていた映画でした。
冒頭は、1978年8月9日、ペルシア湾岸の町アーバダーンの映画館シネマレックスの焼き討ちで犠牲になった家族のお墓で泣き崩れる人たちの姿。焼けた映画館内部も映し出されました。外から鍵をかけて放火され400人以上が亡くなった事件で、革命に拍車をかけることになったのですが、シャー(王様)側が仕掛けたのか、革命側がやったのか、真相は不明。
葬儀で太鼓と鐘が打ち鳴らされていましたが、昨年の東京フィルメックスで上映されたアミール・ナデリ監督の映画の中で出てきたのと同じで、南の町アーバダーンの文化なのだと感じました。
王様の謁見場面も映し出され、きらびやかな宮殿で、勲章をたくさんぶらさげた人たちが王様の手にキス。パフラヴィー朝がヨーロッパ志向だったことを思い起こさせてくれます。
大勢の人々のデモ行進、町の落書きや、銀行の焼き討ちなど、革命の動きが加速していく様が映し出され、ついに王様が王冠をはずし、パリからホメイニー師が帰国。熱狂的な歓迎を受けます。車を追いかける人も。
一方で、イスラム共和国樹立を認める国民投票にあたって、賛成しないと力強く宣言するゾロアスター教徒の女性も映し出されました。
時系列を追っての映像からは、革命の熱気がまざまざと伝わってきました。
当時、日本のニュースを固唾をのんで見守っていたことを思い出しました。
ほんの数分のニュースからは伝わってこなかった、当時のムードが新鮮でした。
例えば、家族連れでデモする姿や、ホメイニー師歓迎の場では、子どもを肩車している父親も。
映画にはナレーションはなく、生の姿をそのまま見せるスタイル。
冒頭にのみ、下記の監督の言葉が掲げられていました。
我らが革命はいたる処にあり、またそれが全てであった…
そして我らは自由のために生死の境に遭遇した
国民的蜂起について、我々が持っている限りの映像記録を
とても完全とは言えぬまでもここに提示するものである
6人のカメラマンによる映像は、40年前の自由のために闘った革命の鼓動を直に伝えてくれるものでした。
それから、40年。
人々はどんな自由を手にしたのでしょうか・・・
答えはわからないなぁ〜と思いながら、同じ東京外国語大学のアゴラ・グローバル プロメテウス・ホールで開催されていたTUFS Cinema上映会『プライス・オブ・フリー』に途中から入りました。
担当者の女性が、空いている席まで懐中電灯で照らして案内してくださり、感謝。
『プライス・オブ・フリー』 (監督:Derek Doneen、アメリカ)
インドの人権活動家カイラシュ・サティヤルティ氏が、どのように子どもたちを児童労働から救出し、グローバルなムーブメントを起こしたかを追ったドキュメンタリー。
こちらは、子どもたちの自由のために闘っている方の話でした。カイラシュ・サティヤルティ氏が、上位カーストの人物だということが、注目に値するとのこと。
上映後、萬宮健策(本学准教授)× 小田マサノリ(現代美術家、本学非常勤講師)× 真島一郎(本学教授)のフリートークと案内にあったのですが、その前に、この映画の上映に奔走した女子学生3人の話があり、それが素晴らしかったです。
児童労働により、安い工賃で作っている企業の製品を買わないことも、児童労働を減らす一助になるとのこと。これは、もっと勉強が必要です。
2019年01月13日
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