上映前にミーリーコレクションのソレマニエさんにホルムズ島のことや映画について、お話していただきました。

The Rainbow Island 原題:Jazireh rangin
2015年、イラン、103分
監督・脚本:Khosrow Sinai
音楽:Loris Tjeknavorian
撮影:Ali Loghmani
プロデューサー:Farabi Cinema Foundation
ホスロー・スィナイー監督は、もうすぐ80歳。革命前にドキュメンタリーをたくさん作っていた方。奥様はハンガリー人。
ソレマニエさんが、アーティストのアフマド・ナダリアンさんに誘われてホルムズ島を訪れたときに、ちょうど映画の撮影中で、ソレマニエさんと奥様で画家の千葉さんも一場面で登場することになったとのこと。そんなご縁で、この映画を鑑賞する機会を設けた次第です。
ホルムズ島は、ペルシア湾のホルムズ海峡にあるイランの島。要衝の地にあって、16世紀(1515年)にポルトガルが占領。奴隷貿易の拠点にされていたことから、色の黒いアフリカがルーツの人たちが今も住んでいます。ケニーズ(女奴隷の意)という名前にも、奴隷貿易の名残が見られます。
1622年、サファヴィー朝のアッバース1世の時、イギリス東インド会社の援助を受けてホルムズ島を取り戻しました。
ナダリアンさんは、世界の各地で自然環境をテーマにした作品を作って、川や海に投げるという活動をしているアーティスト。ホルムズ島はイランの中で最も貧しい島。収入源は、デーツや魚介類。島に肉屋はなく、島の人たちは魚や海老を食べているのですが、せっかく取れる貝類やイカ、タコはイスラームの教えでは禁忌。(あ〜もったいない!)
あまりに貧しく、麻薬がはびこり、刑務所に収監されている人も多いことに心を痛めたナダリアンさんが目をつけたのが、島の様々な美しい色の土。50色近くあるそうです。
美術館や民宿を作り、カラフルな色の土で売れるアート製品作りを村の人たちに指導するという活動をされています。その理由を島の人たちになかなか理解してもらえなかったのですが、ようやく少しずつわかってもらえるようになったそうです。
映画は、外からやってきたアーティスト役のみがプロの俳優。
あとは、すべて島の人たちなので、ほぼドキュメンタリー。
女性たちがカラフルなズボンを穿いているのですが、亡くなると海に流す習慣があるそうです。
夏は50度以上になるという過酷な島ですが、土の色の美しさは格別です。ほかで観られない光景を映画で垣間見ることができたひと時でした。
★なお、ナダリアンさんには、2012年10月8日に日本でご講演いただいたことがあります。