2021年09月05日
ショーレ・ゴルパリアンさんの自伝本「映画の旅びと イランから日本へ」 (咲)
映画を通じて、イランと日本の架け橋としてご活躍されてきたショーレ・ゴルパリアンさんから、自伝を書きましたとご案内をいただきました。
9月1日にみすず書房から発刊されたご本がさっそく届いて、目次をみて、気になるところを読んでみたら、面白くて、結局、最初から一気に斜め読みしてしまいました。
(6日の午前中に『WHOLE/ホール』の監督さんたちへのインタビューを控えていて、準備しなくてはいけないのに・・・!)
映画にかかわる前のショーレさんの若いころの人生は、衝撃でした!
日本人男性を追いかけて来日。イラン・イラク戦争の時期だったこともあって、約10年日本で暮らした後、失恋も相まって帰国。イランでご結婚するも、ショーレさんが日本の永住権を取っていたことから、ご主人に日本に行こうと言われ、1991年12月に再来日。ご本人は不本意だったようですが、お陰で私たち日本人は、多くのイラン映画を観る機会に恵まれることになりました。
2度目の来日で、最初にイラン映画に関わる仕事をされたのは、1992年。モフセン・マフマルバフ監督の『サイクリスト』の日本語字幕。
私が初めてショーレさんにお会いしたのは、1995年のアジアフォーカス・福岡映画祭でイラン映画特集が組まれた時のことでした。
ショーレさんの歩みには、私自身のそのときそのときの思い出が蘇りました。
まさに、日本におけるイラン映画の歴史に重なります。
2010年 東京フィルメックス
『トスカーナの贋作』上映後のキアロスタミ監督の和やかなQ&A
2013年 第26回東京国際映画祭
左より、『ルールを曲げろ』ベーナム・ベーザディ監督と主演のネダ・ジェブライーリさん、アミール・ナデリ監督、ショーレ・ゴルパリアンさん
なにより興味深かったのが、キアロスタミ監督とアミール・ナデリ監督とのエピソード。
対照的な二人の巨匠の素顔がとてもよくわかります。ショーレさんが、個性的な巨匠たちのお相手でご苦労されたことも!
ぜひご一読いただければと思います。
(ちょっとお高いので、図書館へのリクエストでも!)
***************
『映画の旅びと イランから日本へ』
著者:ショーレ・ゴルパリアン
みすず書房
発行日 2021年9月 1日
定価 3,960円 (本体:3,600円)
頁数 272頁
ISBN 978-4-622-09033-5
Cコード C0074
https://www.msz.co.jp/book/detail/09033/
目次
はじめに
序章 イランに生まれて
二つの町で/革命前のイラン映画/革命前夜
第1章 イランから日本へ
日本に行きたい/昭和最後の日本で/イラン大使の秘書として/イラン人と日本人
第2章 日本からイランへ
しばし日本とお別れ/日本のドラマをイランへ/イラン映画のニューウェーブ
第3章 再び日本へ
異国で子どもをかかえて/イランの映画を日本へ/クロサワとキアロスタミ
第4章 キアロスタミのかたわらで
日本のキアロスタミ/キアロスタミの映画/キアロスタミの哲学
第5章 イラン映画の監督たち
アミール・ナデリ/モフセン・マフマルバフ/マジッド・マジディ/アボルファズル・ジャリリ/カマル・タブリーズィー/ジャファル・パナヒ/バフマン・ゴバディ/アスガー・ファルハディ/イラン映画の現在
第6章 イランと日本を映画でつなぐ
合作映画をプロデュース/日本の監督がイランで撮る
第7章 イランの二巨匠が日本で撮る
ナデリの『CUT』/キアロスタミの『ライク・サムワン・イン・ラブ』/キアロスタミとの別れ
終章 四十年の軌跡
映画祭と映画人
索引・編集者付記
************************
ショーレさんにお世話になった取材の数々から一部をご紹介!
『子供の情景』ハナ・マフマルバフ監督来日レポート
http://www.cinemajournal.net/special/2009/kodomo/index.html
イラン映画『彼女が消えた浜辺』
アスガー・ファルハディ監督インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2010/about_elly/index.html
イラン映画『セールスマン』
主演女優タラネ・アリドゥスティさんがやってきた!
http://www.cinemajournal.net/special/2017/salesman/index.html
イラン映画『バイオリン弾き』
モハンマド・アリ・タレビ監督インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2017/violinist/index.html
2019年 東京国際映画祭『ジャスト 6.5』 監督&俳優インタビュー
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/471579541.html
イランのショーレ・ゴルパリアンさんが日本映画ペンクラブ賞特別功労賞受賞 (咲)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/464654333.html
『ホテルニュームーン』ショーレ・ゴルパリアンさんに聞く
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/477396950.html
この記事へのコメント
コメントを書く