2021年10月31日

水俣病をテーマにした桑原史成さんと石川武志さんの写真展に行ってきました。 原一男監督の『水俣曼荼羅』も11月27日から公開されます(暁)

『MINAMATA ―ミナマタ―』公開記念で開催されていた桑原史成さんと石川武志さんの写真展に行ってきました。桑原さんの写真展は9月15日〜10月16日だったのですが、期間中に行く機会がなく、結局、最終日の16日(土)に行きました。前日の15日に石川さんの写真展の情報を知り(10月7日〜10月25日)、スタッフ日記に書いた写真展情報に追加したのですが、この16日に石川武志さんの写真展も行くことにしました。

*スタッフ日記参照
『MINAMATA ―ミナマタ―』公開記念 桑原史成・石川武志写真展・ユージン・スミスとアイリーンが写した「MINAMATA」作品展&ユージン・スミス集大成写真展のお知らせ
http://cinemajournal.seesaa.net/article/483705121.html

●水俣病を撮り続けて60年 桑原史成さん写真展
9月15日(水)〜10月16日(土)
桑原史成 写真展「MINAMATA」
ギャラリー イー・エム 西麻布

桑原史成写真展1.jpg

水俣病を撮り続け60年。水俣病患者を撮り続けた桑原さんの写真のうち、初期の1960年代に撮影した写真を中心にモノクロの写真34枚が展示されていました。東京総合写真専門学校を卒業し、写真家を志していた1960年に週刊朝日の水俣病特集記事を見て衝撃を受け、写真で記録しようと熊本県水俣市に入ったそうです。水俣病の被害者が入院している病院を手始めに、患者家族の信頼を得て撮影を続け、のちに胎児性患者と認定された患者さんや家族の暮らしを撮影。それらの記録は写真展で展示されたり写真集になり、多くの人に水俣病の被害を伝えましたが、私も何度も桑原さんの写真展に行きました。
水俣の写真だけでなく、ベトナム、韓国など、報道写真の分野で活躍していた桑原さんの写真の影響を受け、私も報道写真を目指していました。残念ながら、そちらの道に進むことはできませんでしたが、後に西麻布にあるプロラボに勤めた時、その会社に桑原さんはポジフィルムで撮った写真の現像を出しに来ていました。私は受付ではなく技術部門にいたので、桑原さんと直接話したことはなかったですが、桑原さんが出したフィルムを現像したことはありました。今回、そのことを伝えたら懐かしがっていただきました。今回、久しぶりに西麻布に行くので、勤めていた会社がどうなっているか訪ねてみようと思い調べてみたら、その会社は解散していました。今はデジタル写真の時代。時の流れを感じました。

桑原史成写真展2.jpg

桑原さんは現在84歳とのことで、今はほとんど写真を撮っていないと言っていましたが、桑原さんが撮った写真の数々は、時代を記録した貴重なもので、残念ながらまだ解決していない水俣病の様子を物語っていました。患者の方、胎児性の患者さんの姿、当時のチッソの姿、運動に参加していた人たちの行動など、その時代を知らない人たちにも伝わるものだと思います。11月28日から公開される原一男監督の『水俣曼荼羅』の中でも、桑原史成さんが撮った写真が使われています。
写真展も終わり近くに、お母さんが小学生の子供を連れて訪れ、写真を見ながら水俣病のことを語っていました。こうして後の世代にもぜひ伝えていってほしいと思いました。

●「MINAMATA ユージン・スミスへのオマージュ」
 石川武志写真展

2021年10月7日(木)〜10月25日(月)
会場 リコーイメージングスクエア東京 ギャラリーA

こちらの会場も新宿で働いていたころ、会社の行き帰りによく通った場所でした。かつてはペンタックスサロンと言っていました。その後、リコーと合併して、写真展会場の名前が変わったようですが、私は今回行くまで知らず、やはり写真業界の様変わりを感じました。
石川武志さんはユージン・スミス夫妻が水俣病の撮影のために日本に滞在中の1971年から3年に渡ってアシスタントをしていましたが、夫妻と共に生活をしながらユージン・スミス本人や水俣病患者を撮影した写真の数々でした。今回の写真展では夫妻の共著「MINAMATA」にも掲載していない水俣の生活や撮影シーンなど貴重な作品も展示されていて、作家自らがプリントしたゼラチンシルバープリント31点で構成されていました。

小林武志写真展_R.jpg

展示されていた写真はユージン・スミス夫妻の水俣での姿を捉えた写真も多かったのですが、その中にユージンさんが、水溶液の入ったバットに手を入れている写真もあり、映画の中で疑問に感じていたことを石川さんに聞いてみました。「写真のプリントは石川さんがほとんどやっていたと思うのですが、たまにはユージンさんがプリントしたこともあったのですか。これは水洗の段階で仕上がりを見ている写真ですよね?」と聞いてみました。写真のプリントというのは、現像→停止→定着→水洗という工程で行われるのですが、普通、水洗まではトングを使い、素手で作業することはしないはずなのに、映画の中では、現像から定着までの間に素手で作業をしているシーンが何回かあって、化学薬品を素手で触るというのは通常ありえないと思い作品紹介にもそのことを書いたので聞いてみました。もし、その作業をほんとに素手でやっていたとしたら、この水俣病という化学薬品の被害を追求する写真を撮っているのに、それはないなと思ったのです。やはり水洗まではトングを使っていたと言っていたので安心しました。
それに、タバコを吸いながらネガフィルムを見るシーンも気になっていたのですが、それもフィルムにタバコの火が燃え移ったら大変なことになるから、そういうことはあり得ないと言っていたので納得しました。フィルム時代を知っている人たちはそういうことが気になります(笑)。
*シネマジャーナル 作品紹介『MINAMATA ―ミナマタ―』 
かつて私は1か月に数回、写真展に通っていたのですが、最近は1か月に1回程度しか行かなくなっていたし、新宿での写真展や、西麻布などは、もう数年行ってなかったので、街の変わりようにびっくりしました。ふたりの写真展は終わってしまいましたが、11月5日から、フジフイルム スクエア(ミッドタン六本木内)で、「フォト・ジャーナリスト W. ユージン・スミスの見たもの― 写真は真実を語る」が開催されます。水俣だけではないユージン・スミスの写真も見ることができます。

詳細は下記に
*スタッフ日記参照
『MINAMATA ―ミナマタ―』公開記念 桑原史成・石川武志写真展・ユージン・スミスとアイリーンが写した「MINAMATA」作品展&ユージン・スミス集大成写真展のお知らせ
http://cinemajournal.seesaa.net/article/483705121.html 

『水俣曼荼羅』
原一男監督の『水俣曼荼羅』が11月27日に公開されます。原監督が15年かけて撮ったドキュメンタリー作品です。

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原一男監督  (C)疾走プロダクション

公式HP
まとめ&写真 宮崎暁美

posted by akemi at 21:00| Comment(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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