12月18日夜、日本学術振興会カイロ研究連絡センター主催の2021年度第12回定例懇話会で毎日新聞カイロ支局長 真野森作様のご講演「ロシアから見たシリア内戦、そしてチェチェン」を拝聴しました。
★ご講演要旨(講師記)
2011年の「アラブの春」を機に泥沼の内戦に踏み込んだシリア。劣勢のアサド政権を救ったのがロシアでした。プーチン政権はなぜ軍事介入したのでしょうか? ロシア側から見ると「カラー革命阻止」や「イスラム過激派との長い戦い」といった理由が浮かび上がります。また、ロシア連邦南西部のチェチェン共和国に注目したいと思います。シリア内戦の混乱の中で台頭した過激派組織「イスラム国」(IS)には多くのチェチェン人が参加していました。かたやプーチン政権はシリアにチェチェン人憲兵隊を派遣しています。中東とモスクワの間に位置するチェチェンの歴史的、地政学的あり方が影響しているのです。そしてロシアとチェチェンの関係には危うさもつきまといます。私はモスクワ特派員時代の15年にチェチェンを現地取材し、現在はシリア内戦やISの影響について取材しています。今年9月に刊行した著書『ポスト・プーチン論序説 「チェチェン化」するロシア』(東洋書店新社)を基にお話したいと思います。
プーチン政権がシリアに軍事介入した背景、シリアで台頭した「イスラム国」(IS)の構成員のうち約1500人(2014年現在)のロシア人のほとんどがチェチェン出身だったことなど、とても興味深く、わかりやすいご講演でした。
(ちなみに、2014年現在のシリアにおけるイスラム国の構成員は、チュニジア 3000人、サウディアラビア 2500人、ロシア 1500人、ヨルダン 1500人)
チェチェンで独裁者カディロフ首長の体制に閉塞感を抱え過激化した若者たちが、シリアやイラクという行先がなくなり、地元で荒れているという実情も。
イスラームでタブーとされているLGBTQの人たちが、過激派の標的になっていることを描いた映画が、来年2月26日に日本で公開されることを知りました。
『チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー』
原題:Welcome to Chechnya
監督:デイヴィッド・フランス
ロシア支配下のチェチェン共和国で国家主導の"ゲイ狩り"が横行している。同性愛者たちは国家警察や自身の家族から拷問を受け、殺害され、社会から抹消されている。それでも決死の国外脱出を試みる彼らと、救出に奔走する活動家たちを追った。本作品では、被害者の命を守るため、フェイスダブル技術を駆使し身元を特定不能にしている。世界はこの大罪を止められるか。
2020年製作/107分/アメリカ・イギリス合作
配給:MadeGood Films
公式サイト:https://www.madegood.com/welcome-to-chechnya/
◆関連イベント◆
『チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー』の監督が登壇するPEACE DAY財団主催のイベントが12月21日夜に開催されます。
日本と世界のLGBTQ問題に関して議論するトークイベントです。
日 時:12月21日(木)19:00〜20:30(zoom入室開始 18:55)
参加方法:zoom ONLINE
〇パネリスト:
・杉山文野さん
(トランスジェンダー活動家、東京レインボープライド共同代表理事、
日本フェンシング協会理事、日本オリンピック委員会理事)
・デイヴィッド・フランスDavid France さん
(映画『チェチェンへようこそ-ゲイの粛清-』監督)
○モデレーター:
・土井 香苗 さん
(国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)
主 催:一般財団法人PEACE DAY
★参加無料ですが、下記のトークイベント案内サイトよりチケットをお申込みください。
https://pdmonthly-2112.peatix.com
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12月21日、まったく同じ時間にイラン大使館文化参事室(イラン文化センター)主催の冬至を祝う「シャベ・ヤルダー祝祭ウェビナー〜イランの伝統の有り様─冬至の夜とサントゥール演奏〜」が開催されるのです・・・
このイランの冬至のオンラインイベントは:
日時:2021年12月21日(火) 19:00〜20:30
ZOOMへのリンク (時間になりましたら、下記にアクセスしてください)
https://us02web.zoom.us/j/8364559495
事前登録不要です。
パソコンは二つあっても、身体は一つ・・・
悩ましいです。(景山咲子)
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