2021年12月19日

『再会の奈良』に出演の女優吴彦姝(ウー・イエンシュー)さん(暁)

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c 2020 “再会の奈良” Beijing Hengye Herdsman Pictures Co., Ltd, Nara International Film Festival, Xstream Pictures (Beijing)

この数年、『本がつなげる恋物語(北京遇上西雅图之不二情书)』(16)、『妻の愛、娘の時(相愛相親)』(2017)、『チィファの手紙』(18)、『花椒(ホアジャオ)の味(花椒之味)』(2019)など、日本で公開されたいくつかの映画で印象に残る演技を披露している中国のベテラン女優・吴彦姝(ウー・イエンシュー)さんを紹介します。2022年2月4日には『再会の奈良(又見奈良)』が公開されます。『再会の奈良』では、日本に帰した中国残留孤児の養女・麗華と連絡が取れなくなり、奈良に探しに来たおばあさんの役を演じています。1938年生まれの(1939年説も)83歳。
『本がつなげる恋物語』(16)では愛情深い演技が印象的なおばさん役、同年中国で公開された『搬迁(Relocate)』での演技が評価され、中国でのアカデミー賞と呼ばれる2017年の金鶏奨で最優秀助演女優賞を受賞。『妻の愛、娘の時』では夫の墓を田舎で守る頑固な先妻役を演じ、台湾金馬奨と香港電影金像奨の最優秀助演女優賞にノミネート。『花椒(ホアジャオ)の味』では3女如果のおばあさん役で麻雀に興じるモダンなマダムを演じています。『花椒(ホアジャオ)の味』は2021年11月5日に公開され現在も公開中。「中国国家一級俳優」の称号を持っているそうですが、『妻の愛、娘の時』の時に演じた田舎の貧しい農婦から、『花椒(ホアジャオ)の味』でのモダンなマダム、最初は同一人とは思えませんでした。なんかこのおばあさん見たことあるなと思って、思い起こしてみたら、あの田舎の頑固なおばあさんを演じていた人でした。そして『再会の奈良』では養女麗華を奈良で探し回る役なのです。どんどん若くなっています(笑)。
「1959年に『流水歓歌』で映画初主演を果たし、その後は舞台で活躍し、1990年代にテレビドラマに進出。2003年までは「山西省話劇院」の劇団員として、長年、舞台を中心に活躍。2003年に一度引退し、2011年に復帰。60年に渡って活躍して来た女優さん。そして、中国以外に知られるようになったのは80歳近くなってから。日本で言えば樹木希林さんみたいな存在なのでしょうか。
『妻の愛、娘の時』
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(C)2017 Beijing Hairun Pictures Co.,Ltd.

『花椒(ホアジャオ)の味』
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(C)2019 Dadi Century (Tianjin) Co., Ltd. Beijing Lajin Film Co., Ltd. Emperor Film Production Company Limited Shanghai Yeah! Media Co., Ltd. All Rights Reserved.

母と娘の60年にわたる「絆」と、中国と日本をつなぐ戦争の歴史を今に伝え、問いかける

『再会の奈良』は奈良を舞台にした日中合作映画で、日中の国境を越えた親子の愛を描き、日中の魅力あふれる演技人が出演しています。歴史に翻弄された「中国残留孤児」とその家族がたどる運命、互いを思い合う気持ちを、2005年秋の奈良・御所市を舞台に、切なくもユーモアたっぷりに紡いでいます。監督・脚本は、中国出身の鵬飛(ポンフェイ)監督。ツァイ・ミンリャン監督の現場で助監督・共同脚本などを務め、ホン・サンス監督のアシスタントプロデューサーも務めた。本作は3本目の長編。2作目の『ライスフラワーの香り』が、2018年の「なら国際映画祭」で観客賞を受賞し、“今と未来、奈良と世界を繋ぐ”映画製作プロジェクト「NARAtive2020」の監督に選出され、奈良を舞台にした本作『再会の奈良』を製作した。エグゼクティブプロデューサーは奈良出身で「なら国際映画祭」のエグゼクティブ・ディレクターでもある河瀬直美監督と中国のジャ・ジャンクー監督が務めています。

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c2020“再会の奈良”Beijing Hengye Herdsman Pictures Co.,Ltd,Nara International Film Festival, Xstream Pictures (Beijing)

*シネマジャーナルHP掲載記事
・作品紹介『再会の奈良
・『再会の奈良』ポンフェイ監督インタビュー

ストーリー

中国から陳ばあちゃんが、孫娘のような存在のシャオザーを頼って一人奈良にやって来た。1994年に日本に帰国させた中国残留孤児の養女麗華と数年前から連絡が途絶え心配して探しに来たという。麗華を捜し始めた2人は一雄という男性と知り合い、元警察官だという一雄と麗華捜しを始める。紅葉最中の奈良を舞台に言葉の壁を越えて不思議な縁で結ばれた3人のおかしくも心温まる旅が始まる。日本語ができない陳ばあちゃんのユーモアたっぷりなジェスチャーがおかしい。これだけでも心休まる。異国の地での新たな出会いを通して、陳ばあちゃんは愛する娘との再会を果たせるのか。
麗華探しを手伝う元警察官の一雄を演じるのは、河瀬直美監督の『萌の朱雀』(97)で映画初主演し、『男たちの挽歌』(92)、『哭声/コクソン』(16)、『マンハント』(18)、『MINAMATA-ミナマタ-』(21)など海外作品でも活躍する國村隼。養女探しに来日した養母には中国から参加のウー・イエンシュー。シャオザー役には中国の若手女優イン・ズー。物語の鍵を握る寺の管理人を演じるのは、『あん』(15)、『光』(17)、『Vision(18)』と河P監督と過去3度組んできた永瀬正敏が友情出演。そういえば永瀬正敏も海外の監督作品への出演が多い。シャオザーの元恋人役は、劇団EXILEの秋山真太郎と、豪華な出演者たち。

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c 2020 “再会の奈良” Beijing Hengye Herdsman Pictures Co., Ltd, Nara International Film Festival, Xstream Pictures (Beijing)

『再会の奈良』公式HP
2020年製作/99分/G/中国・日本合作
原題:又見奈良 Tracing Her Shadow
配給:ミモザフィルムズ
共同製作:21インコーポレーション 
後援:奈良県御所市

スタッフ・キャスト
監督・脚本:ポンフェイ
エグゼクティブプロデューサー:河瀬直美、ジャ・ジャンクー
出演:國村隼、ウー・イエンシュー、イン・ズー、秋山真太郎、永瀬正敏
撮影:リャオ・ペンロン
音楽:鈴木慶一 編集:チェン・ボーウェン
照明:斎藤徹 録音:森英司 美術:塩川節子
 
2/4(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開 / 1/28(金)より奈良県にて先行上映

「満蒙平和記念館」を知っていますか? 
長野県阿智村に2013年(平成25年)4月オープン
https://www.manmoukinenkan.com/


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満蒙平和記念館 2016年 撮影 宮崎暁美

1936年に「満州農業移民100万戸移住計画」が国策となり、疲弊した農村の経済の立て直しや食糧増産などを目的に満蒙開拓移民計画が推し進められた。背景には「満州国」の支配、防衛といった軍事的な目的もありました。日本の戦況悪化、ソ連軍侵攻。結果として約27万人の開拓団のうち約8万人がなくなったと言われている。日中双方を含め、多くの犠牲者を出した満蒙開拓の史実を通じて、戦争の悲惨さ、平和の尊さを学び、次世代に語り継ぐと共に国内外に向けた平和発信拠点。
中国残留孤児の肉親捜し、帰国支援に尽力され、「残留孤児の父」と言われる阿智村の名誉村民・山本慈昭さん(阿智村、長岳寺の元住職)。「満蒙平和記念館」は長岳寺のそばにあります。

・満蒙開拓のミニ知識
https://www.manmoukinenkan.com/history/

posted by akemi at 20:37| Comment(0) | 映画雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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