2022年01月30日

『英雄本色』 ニコパパと古き香港にうっとり (咲)

1月26日(水)1時から京橋で『親愛なる同志たちへ』の試写。その後、3時半から新橋のTCCでの試写があったのですが、コロナの感染が拡大していて地下の狭い試写室で、しかも135分の長尺の映画なのが気になって、何かほかにないかな・・・と検索。京橋の国立映画アーカイブで 「香港映画発展史探訪」の特集をやっているのをすっかり忘れていて、26日は3時から『英雄本色』とわかりました。これって『男たちの挽歌』・・・・それなら何度も観ているしなぁ〜と思ったら、1967年の『英雄本色』なのでした。主演がニコパパこと謝賢で、私にとっては伝説の映画なのですが、観たことがありませんでした。
『親愛なる同志たちへ』は、104分なので、ちょうどよかった!と、ネットでチケットを購入。
国立映画アーカイブで今は窓口でチケットを販売していないのです。発券もしていません。
セブン-イレブンの店頭のマルチコピー機でも購入できますが、座席を選べません。
チケットぴあで購入の場合は自分で指定席を選べて、運よく、通路際の好みの席が1席だけ空いていました。セブン-イレブンかファミマ、どちらで発券するかを選んで手続き終了。当日、1時からの試写の前にファミマで発券して準備完了。

ところが、『親愛なる同志たちへ』の試写が始まるときに、宣伝の方が、「試写状に記載していた尺に誤りがありまして、104分でなく121分です」と言われたのです。え〜っ? 終わるのは3時1分! 国立映画アーカイブは、1分でも過ぎると入れてくれないのです。
もうこれは仕方ない。時間を見計らって退出するしかありません。上映中にスマホで時間を見るのは憚れますが、端っこの席なので許してもらおう! 

『親愛なる同志たちへ』
2,020年、ロシア、監督:アンドレイ・コンチャロフスキー

sinnainaru.jpg
(C)Films Boutique

1962年、ソ連南部の町ノボチェルカッスクでの労働者蜂起を軍が弾圧した顛末を描いた物語。公務員の女性が、デモに参加した娘が行方不明になったのを必死に探すのですが、その行方がわかったところで時間切れ。最後の20分は、後日、視聴リンクをいただいて見届けることにしました。
ノボチェルカッスク事件は、ソ連が崩壊するまで隠蔽されていて、虐殺された市民はKGB発表では26名ですが、正式な人数はもっと多いのではと推察されています。
民衆蜂起を政府が弾圧した事件というと、天安門事件や光州事件が思い浮かびますが、世界の各地で起こってきたこと。60年前の出来事ですが、決して過去のことではありません。
この映画については、またゆっくり語りたいと思います。

後ろ髪を引かれながら、3時ちょっと前に国立映画アーカイブに到着。
平日の午後ですが、8割位席が埋まっていました。

『英雄本色』(1967年)
監督・脚本・出演:龍剛(ロン・コン)

金庫破りに失敗した4人組。 リーダーの李卓雄(謝賢)は、恋人と相棒を逃がし、撃たれて逃げそびれた子分を助けに戻って逮捕され服役。出所するとき、刑務所で親しくしていた老人から住所を渡され、自分とはシンガポールで知り合ったといえば、仕事を紹介してくれるはずと言われる。元相棒を訪ねた李は、弟には服役していることは告げず、シンガポールで出稼ぎしていると伝えていたことを知る。刑務所仲間の老人から渡された住所を訪ねると、女性が出てきて、仕事を紹介してくれる。一方、金庫破りでは敏腕の李が出所したことを知って、黒社会のボス独眼竜(石堅)が一味に引き入れようと執拗に追ってくる・・・・

刑務所仲間の老人から紹介された女性は、実は弟の婚約者だったことがわかります。
李は、弟のためにも堅気に暮らそうと、元服役者を支援する協会の手助けも得て、仕事につくのですが、どこにいっても黒社会が追ってきます。
映画は黒社会モノには違いないのですが、監督が元受刑者の更生にも目線を寄せて作ったことが伝わってくる物語でした。

なにより、初めて謝賢の顔が大写しになったとき、あ〜ほんとにニコラス・ツェーのパパだ!と感無量。ニコちゃんが17歳でデビューした頃には、ニコパパは、すでに大御所で貫禄たっぷり。親子と言われても、似てるかな〜という感じでした。
ニコラスの最新作『レイジング・ファイア』では、ニコラスも年を重ねたこともあって、『英雄本色』の謝賢は、ニコラスがほんとに彼の息子であることを実感させてくれました。

そして、本作の魅力は、1960年代後半の香港の街を見れたこと。
まず映し出された香港の夜景。モノクロなので、しっとりとした風情。まだあまり高層ビルもありませんでした。私が初めて香港を訪れたのは、1979年3月。私が勤めていた商社の香港会社が入るという湾仔の64階建ての円形のホープウェルセンターもまだ建設中でした。1980年に完成し、当時、香港で一番高いビルでしたが、今や、ビルの谷間にあるという感じです。
李が入っていた刑務所は、赤柱(スタンレー)。 モスクがあるというので行ったことがあるのですが、モスクは遮断器の向こうにあるので行けませんでした。遮断器の向こうに刑務所があると知ったのはその時のことでした。海辺の素敵なところです。
李が出所して訪ねた元相棒の住む貧民窟は、観塘(クントン)。 海辺にバラックの家が広がっていましたが、その後、工業地帯になり、今では再開発が進み、まったく違った街になっています。
香港島の中環から金鐘にかけては、今もある古いビルや、今はなきヒルトンホテルなどが映りました。
何度(70回位?)も通った香港に思いを馳せたひと時でした。


posted by sakiko at 19:37| Comment(0) | 映画雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: