あっという間に梅雨明けし、真夏のような東京ですが、25年前の香港は、英国植民地最後の6月30日も、中国に返還された7月1日も、大雨でした。今の状況を見ていると、あの大雨は香港市民の前に立ちはだかった暗雲がもたらしたものだったのだと思うしかありません。
それにしても、あれから25年! ついこの間のことのように思い出します。
香港返還の瞬間を香港で見届けようと、1年前から計画した旅。キャセイのビジネスクラスでの往復も、7月1日をはさんで12日間滞在でないと予約が取れませんでした。ホテルはどこも高くて、比較的安かった香港島中腹のYWCAを予約。思いもかけず、部屋からは総督邸を見下ろすことができて、屋根の上の旗が英国時代のものから赤い旗2本に変わったのを確認することができました。
6月30日は新聞に掲載されていたスケジュールを見ながら、あちこち駆け巡り、深夜0時の返還の瞬間は、九龍のプロムナードの人混みの中で迎えました。香港島側の宿に帰るために乗ったスターフェリーがすれ違った英国の軍艦の上に、 敬礼をしながら直立していた英国兵をみて、あ〜英国時代が終わったのだと実感したのでした。
中環の船着き場からは、タクシーがつかまらなくて、滝のように雨が流れる坂道を必死にあがって中腹にあるYWCAにたどり着きました。
翌7月1日の朝も大雨。テレビで回帰記念式典を見ていて、「中国」の威力をしっかり感じ、一国二制度を50年間保証というけれど、いつまで香港独自の自治ができるのだろうと思ったものです。
私が初めて香港に行ったのは、1979年3月。18年後には中国に返還されるので、香港を出るべきかどうかが既に話題になっていました。その時には、まさか18年後の返還の時に、自分が香港にいるなどと思いもよりませんでした。会社の知人がいるからと行った香港でしたが、乗り物オタクの私にはワンダーランド。その後、香港映画や音楽に興味を持ち、レスリー・チャンに惚れ込んでからは、さらに行く回数が増えました。気が付けば、70回位、訪れていますが、この10年ほどはすっかりご無沙汰です。
テレビや映画で流れてくる香港の話題には悲しくなることばかり・・・
香港市民の果敢な抵抗運動に涙が出ます。
1997年7月1日の夜、奇跡的に雨があがって、ヴィクトリア湾に上がる花火を旦那様と腕を組んで眺めながら「ホウレン(綺麗)」と何度もつぶやいていた香港女性、今も幸せに暮らしているでしょうか・・・
(暁)さんが、スタッフ日記に最近上映された映画についてまとめていますので、ぜひお読みください。
2日間限定、緊急特別上映会 香港映画『少年たちの時代革命』 &本誌105号掲載『理大囲城』『時代革命』
http://cinemajournal.seesaa.net/article/487838636.html
そして、昨年の東京フィルメックスで、上映前日まで「特別上映A」として、タイトルが明かされなかった作品『時代革命』が、この8月に公開されます。また、現在の自由を求める動きと共に、文化大革命、六七暴動、天安門事件を体験し、香港に逃れてきて自由を求める運動に身を投じてきた人々を追った 『Blue Island 憂鬱之島』も8月に公開されます。 ぜひご注目を!
『時代革命』 英題:REVOLUTION OF OUR TIMES
c Haven Productions Ltd.
監督:キウィ・チョウ
2021 年/香港/158 分/シネマスコープ
配給:太秦
公式サイト:https://jidaikakumei.com/
★2022年8 月13日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
『Blue Island 憂鬱之島』
c2022Blue Island project
監督・編集:チャン・ジーウン
プロデューサー:(香港)ピーター・ヤム アンドリュー・チョイ/(日本)小林三四郎 馬奈木厳太郎
配給:太秦
2022/香港・日本/カラー/DCP/5.1ch/97分
公式サイト:https://blueisland-movie.com/
★2022年夏、ユーロスペースほか全国順次公開
2022年07月01日
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