2023年07月30日

身体で表現する人たちの映画『マルセル・マルソー 沈黙のアート』と『裸足になって』 (咲)

7月28日(金)、試写は1時から『マルセル・マルソー 沈黙のアート』1本しか予定がないし、前日は夜、【つながりと信頼から世界を見つめなおす 〜「イスラームからつなぐ」シリーズを読む〜】というブックトークが紀伊国屋書店本店であって、帰りが遅くなるので外出はやめようと思っていました。
ところが、イスラーム映画祭主宰の藤本さんがfacebookでアルジェリアの女性監督ムニア・メドゥールの作品『裸足になって』のことを紹介されていて、気になり、調べてみたら、28日は15:35から新宿ピカデリーでの上映があることがわかり、前日、紀伊国屋書店に行く前にチケットを購入。2時半に京橋で試写を終えてから、慌てずに行くことが出来ると一安心。 

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『マルセル・マルソー 沈黙のアート』は、ボロボロのシルクハットと赤いバラ、白塗りメイクで世界に知られる道化師“ビップ”(BIP)こと、マルセル・マルソーを追ったドキュメンタリー。第二次世界大戦中に、ユダヤ人である身分を隠して、ユダヤ人孤児300人余をスイスに逃がした人物であることを、映画『沈黙のレジスタンス 〜ユダヤ孤児を救った芸術家〜』で知りました。 
『マルセル・マルソー 沈黙のアート』については、あらためて作品紹介のコーナーで詳しく紹介しますが、ハッと目が覚めたことだけ、ここに記しておきます。

それは、マルセルの娘さんが語っていたことで、「父がペルシアのシャーに会いに行くというので、ペルシアの猫(フランス語で猫はChatシャ)かと思ったら、王様(シャー)だった」という場面。パフレヴィー2世が映り、その後、王制反対の人たちの姿。マルセルは、反体制派の支援もしたとありました。
調べてみたら、マルセルは、1978年にテヘランのthe Roudaki Hall(革命後The Vahdat Hallに名前を変えています)で公演していることがわかりました。
私が初めてイランを訪れたのが、イラン革命(1979年)直前の1978年5月のことでした。テヘランの中心部にあるルーダキーホール近くの「キサナド」というロシア料理屋さんに、当時テヘランの企業留学生だった先輩が連れていってくださったので、ルーダキーホールのこともよく覚えています。
世界の各地を巡って公演をしたマルセルですが、その中でイランのことを映画で取り上げてくれていたのが嬉しかったです。

『マルセル・マルソー 沈黙のアート』
監督:マウリッツィウス・スタークル・ドルクス
2022年製作/85分/スイス・ドイツ合作
原題:L'art du Silence
配給:パンドラ
公式サイト:http://www.pan-dora.co.jp/marceau/
★2023年9月16日(土)シアター・イメージフォーラムにて公開


そして、『裸足になって』  原題:Houria
hadasi.jpg
監督:脚本:ムニア・メドゥール
2022年/フランス・アルジェリア合作/カラー/シネスコ/99分
配給:ギャガ
https://gaga.ne.jp/hadashi0721/
★2023年7月21日(金)ロードショー
作品の詳細は(白)さんの作品紹介をご覧ください。

フランスとの合作とはいえ、新宿ピカデリーで上映とは!
30人位は入っていたでしょうか・・・  ちょっと嬉しい驚きでした。

1990年代の内戦の傷が癒えきらないアルジェリア。(2000年代初頭でしょうか) バレエダンサーを夢見るフーリアは、ある夜、男に階段から突き落とされて大怪我を負い、踊ることも声を出すこともできなくなってしまう。希望を失ったフーリアだったが、リハビリ施設でろう者の女性たちと出会い、彼女たちからダンスを教えてほしいと頼まれ、今の自分にも出来ることがあると少しずつ元気を取り戻していく・・・という物語。

マルセル・マルソーは、パントマイムの神様と呼ばれ、言葉を発せず、身ぶりと表情だけですべてを表現しました。声を出せなくなったフーリアも、気持ちを動作だけで表現することを覚えます。
ユダヤ人であるマルセルは父をアウシュビッツで亡くしています。フーリアもまた、父親を内戦の時代に銃で殺されています。ドキュメンタリーとフィクションの違いはありますが、同じ日に共通するテーマの映画を観たのは、神様のお導きでしょうか・・

なお、ムニア・メドゥール監督については、『パピチャ 未来へのランウェイ』の作品紹介に書いていますので、ご興味がありましたらご覧ください。
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/478135355.html


posted by sakiko at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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