2023年12月03日

第24回東京フィルメックス 行動記録です (咲)

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今年の東京フィルメックスは、東京国際映画祭と開催時期が重複した2021年、2022年と違って、以前のように離れた時期に開催され、気分的にぐっと樂でした。
会期は、11月19日(日)〜 26日(日)でしたが、ヒューマントラストシネマ有楽町で先行して夜の上映が始まり、開会式は、会期4日目の22日に開かれました。
有楽町朝日ホールでの上映は、26(日)までの5日間でしたので、なんだかあっという間に終わった感がありました。それでも、東京国際映画祭と重なった2年間に比べると、観客は多かったように思います。苦渋の選択を迫られた2年間を、ちょっとうらめしく思い出した次第です。とはいえ、休養日を入れたり、ほかの催しを優先したりで、フィルメックスには、4日しか行きませんでした。観た作品8本と共に、私の忘備録としての行動記録です。

11月21日(火) 19:10〜 @ヒューマントラスト有楽町
『クリティカル・ゾーン』 
監督:アリ・アフマザデ
2023年 /イラン・ドイツ / 99 分

今年のフィルメックスで唯一のイラン映画。
主役がドラッグの売人で、アリ・アフマザデ監督がイランから出国出来ないことから、検閲に引っ掛かる内容なのは察しがついていたのですが、スタイリッシュで、ちょっとぶっ飛んだ感じ。ヨーロッパの映画のよう。詳しくは、こちらに書いています。
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/501544731.html
終わってから会った映画好きのイラン人の友人も、「これまでにないタイプだね」と。

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友人のMさんと、吉祥 CHINESE DINING 銀座インズへ。
ディナータイムも、一品選べば、+150円で定食にしていただけるとわかり、野菜の黒酢炒めと、茄子炒めを選んで、シェアしていただきました。


11月22日(水)
 この日より、すべて有楽町朝日ホール
15::30〜『水の中で』 
監督:ホン・サンス.
2023年 /韓国 / 61分
俳優として活動してきた青年が演出家として2人の仲間と共に短編映画を作ろうとする物語。全編ピンボケという実験的映画と解説にあって、覚悟していたのですが、あっという間に朦朧としてしまったのは、ピンボケの映像のせい?
楽しみにしていたホン・サンスの新作なのに、何も語れません・・・

17:15〜 フィルメックス開会式
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神谷直希プログラミング・ディレクターによる3回目の東京フィルメックス。
「財政が厳しく、皆さんのサポートがなければ開催できませんでした」との言葉に、無事開催出来たことを嬉しく思うと同時に、今後も継続して開催出来ますようにと願うばかりです。
コンペティション部門の審査員3人のうち、審査員長である中国のワン・ビン監督と、タイのアノーチャ・スウィチャーゴーンポン監督が登壇。台湾のクオ・ミンジュンさん(映画プログラマー・プロデューサー)は、まだご到着されていないとのこと。

スウィチャーゴーンポン監督は、「この場にいられることに感動。2010年、ネクストマスターズ(現在のタレンツ・トーキョーにあたる)に参加。あれから13年経ち、感慨深いです。良い友人ができ、今でも友情が続いています。映画を愛する人が集う場所がこれからも続くことを願っています。素晴らしい時間をお過ごしください」と語りました。
ワン・ビン監督は、「フィルメックスに参加できることが嬉しい。私の映画を上映していただく機会はなかなかないのですが、皆さんに観ていただけることを嬉しく思っています」と、特別招待作品部門で、最新作『青春』が上映されるに感謝されました。

特別招待作品『About Dry Grasse』
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
2023 年/トルコ・フランス・ドイツ / 197 分

雪深いアナトリアの僻地にある公立学校で、早くここから抜け出しイスタンブルに転任したいと画策している美術教師サメットの物語。お気に入りの女生徒セヴィム、同宿の同僚教師ケナン、別の学校の英語の女性教師ヌライ。サメットと彼らの会話で綴られる197分。早口の会話に息もつけず、見入りました。(『水の中で』で寝落ちしたのが信じられない位、寝ませんでした。)
サメットが、実に自己中の嫌な男なのですが、やっとその彼も悟るというラストで、ほっとしました。
最後の方で、サメットがケナンやヌライと山を上って遺跡に行く場面があって、ネムルートでした。地震で石造の頭が地面に落ちて並んでいる遺跡です。この近くの村が舞台なのだとわかりました。確かに、僻地。
配給:ビターズ・エンド 
公開されたら、また観たい重厚な作品です。


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充実感に浸りながら、暁さんとイトシア地下のベトナム料理「バインセオ サイゴン」で、バインセオセット。チキンか牛のフォーが付くのですが、「牛肉のフォーはありません」と言われ、がっかりしていたら「牛肉のビーフンならあります」と言われ、なんだ、牛肉はあるんだと。バインセオ食べ応えがあります。

11月24日 
10:35〜『黒衣人』 + 『火の娘たち』.

『黒衣人』(Man in Black)
監督:ワン・ビン
2023 年/フランス・アメリカ・イギリス / 60分
誰もいない劇場の中を彷徨う裸の老人。現代音楽作曲家の王西麟(ワン・シーリン)。自作の歌を歌い、ピアノを弾き、そして過去を語ります。共産党に入党しなかった為に右派の烙印を押され弾圧されたこと、文革の時代、反革命で批判されたこと、「無題」で許可を取り作曲した交響曲も、拷問のイメージを表現したことが当局の耳に入り封印されてしまったこと・・・ 今はドイツで平穏に晩年をおくる王西麟氏の胸に深く刻まれた思いに涙。

『火の娘たち』
監督:ペドロ・コスタ
2023年 /ポルトガル / 8分
10月に山形国際ドキュメンタリー映画祭でも拝見した印象的な短編。その時には、あらかじめ字幕の文字が小さいので前の方でご覧くださいと言われたのでした。
カーボ・ヴェルデのフォゴ火山噴火で離散した3人の若い姉妹それぞれが歌い憂う姿が横長にワイドに並ぶ画面が、一瞬にしてスタンダードサイズに変わり、噴火した山、そして被災した家から人々が飛び出してくる姿を映し出します。

次の上映まで、50分位しかなかったのですが、ここで食事しておかないと、夜9時頃まで食べる時間がないので、21日にMさんと行った吉祥にまた行きました。奥の方の2人席に案内されて、座ろうとしたら、「あ、お姉ちゃん」の声。なんと妹の隣の席に案内されたのでした。元々、妹が教えてくれたお店ですが、あらまでした。
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この日は、黒酢酢豚ランチをいただきました。
帰りに一緒にお会計に行ったら、おじさんが「先日は、どうも」と覚えてくれてました。で、「今日は偶然、妹と一緒になって…」と言ったら、似てませんね〜と言われてしまいました。

12:40〜『冬眠さえできれば』
監督:ゾルジャルガル・プレブダシ
2023 /モンゴル・フランス・スイス・カタール/98分

モンゴルの首都ウランバートルの郊外、伝統的なユルト(円形テント)の多い地区。10代の青年ウルジーは、数学が得意で、先生から物理学コンクールで優勝すれば奨学金を貰えると参加を薦められる。父を亡くし、酒浸りだった母が地方で仕事をすることを決め、ウルジーは妹と弟の世話をしなければならなくなる。厳しい冬を乗り切るため、暖房用に木を密伐採するウルジー。そんな彼を教師が地方でのコンクールへの交通費は負担してもらえるからと連れていく・・・
マイナス30度以上の極寒の地で、生きるために学業もおろそかになる子どもたちを見守る大人たちがいて救われる思いでした。
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1週間前に出産したばかりで監督は来日出来ませんでしたが、共同プロデューサーのバトヒシク・セデアユシジャブさんと、母親を演じたガンチメグ・サンダグドルさんがQ&Aに登壇しました。

終了後、ロビーで日本にいるモンゴルの人たちに取り囲まれていました。
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花束を抱えたお二人に、写真を撮らせていただきました。


15:35〜『タイガー・ストライプス』
監督:アマンダ・ネル・ユー
2023 年/マレーシア・台湾・シンガポール・フランス・ドイツ・オランダ・インドネシア・カタール /95分
女子学校に通う12歳の少女ザファン。保守的なイスラームの家庭に育つ彼女は、トイレで踊りながらスカーフも服も脱ぎ捨てる様子を携帯で撮影する。学校では、中国系の生徒たちの方がいつも成績がよく、先生に「なぜ?」と言われている。そんなある日、いち早く生理がきて、彼女一人、礼拝の時間に外にいるしかない。そんな彼女を親友のファラーや仲間たちはいじめの対象にする・・・
かなり賑やかな映画だったそうですが、ホラーな部分になる前に寝落ちしてしまいました。これまた何も語れません・・・

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思春期の女の子の物語をホラー仕立てで描いたアマンダ・ネル・ユー監督のQ&Aが行われました。


18:25〜『短片故事』
監督:ウー・ラン
2023 年/中国 /12分
夫は夢の中で妻が自分から去っていくのを、なんとか関係を修復しようとする。目覚めた時、彼は目の前で起こったことが現実なのか、それとも夢なのかわからなくなる…
この後上映される『雪雲』と同じく、リー・モンが妻役。

『雪雲』
監督:ウー・ラン
2023年 /中国 / 102分
10年間の刑期を終えて海南島に戻ってきたジャンユー。彼の不在中に開発が進んですっかり変わった島。彼はケーキを買って小さな美容室を営むかつての恋人ホンを訪ねる。女の子がいるが、「あなたの娘じゃないわよ」というホン・・・

誰かの身代わりになって服役したらしいジャンユーを、リー・カンションが演じていて、それだけで注目度が大きく上がります。とても静かな演技は、彼らしい。
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上映後、ホンを演じたリー・モンがQ&Aに登壇しました。
リー・カンションに関する質問が、やはりいくつも寄せられました。
「相手役に対して思いやりのある方」とリー・モン。監督とリー・カンションは、心の中に共通する感情を持っているとも。

終了後、暁さんと、Tさんとお食事。
イトシア2階の、「珈琲茶館 集」に行ったら、あと1分で食事のラストオーダーと言われてしまいました。
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大急ぎで、メキシカンピラフをチョイス。 後からメニューをみたら、果物とアイスクリームを添えたワッフルが美味しそうでした。残念!

10月25日(土) インド細密画展と外語祭に行き、フィルメックスはお休みしました。
http://cinemajournal.seesaa.net/article/501568423.html

10月26日(日)
ワン・ビン監督の『青春』は、配給:ムヴィオラさんとあり、公開を待つことにしました。観た友人たちから、この日の212分は第一部で、この後、第三部まであると聞きました。ワン・ビン監督の作品、やっぱり長いです。

17:10〜 授賞式
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報告記事は、こちらで!

アリ・アフマザデ監督の『クリティカル・ゾーン』が審査員特別賞を受賞!
好きかどうかは別にして、イランの作品が受賞したのは嬉しいです。

一番気に入った『冬眠さえできれば』が、観客賞と審査員特別賞をダブル受賞!
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共同プロデューサーのバトヒシク・セデアユシジャブさんと、母親を演じたガンチメグ・サンダグドルさんがモンゴルの民族衣装で登壇しました。

クロージング上映
『命は安く、トイレットペーパーは高い』
監督:ウェイン・ワン
1989年 /アメリカ / 85分
ビッグ・ボスなる人物に渡すブリーフケースを託されて、サンフランシスコから香港へやってきた青年。ところがなかなかビッグ・ボスに会えない・・・

タイトルには、はっきりと覚えがあったのですが、映画を観てみたら、さて、この映画、観たのだろうか?と、記憶が蘇りませんでした。
ちょっと暴力的でハチャメチャ。でも、1989年の香港で撮られた映像が、とにかく懐かしい映画でした。

上映前と上映後にウェイン・ワン監督が登壇。
この映画に詰まった香港愛を語りました。
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「暴力的というより、なかなかロマンチックな映画ではなかったでしょうか」という第一声。天安門事件の起こった1989年に撮影されたものであることも強調されました。

ウェイン・ワン監督の強烈な印象を胸に、この日もまた、暁さんと、Tさんとお食事。
イトシア地下の「有楽町うまやの楽屋」でもち豚炙り焼定食をいただきました。
お腹が空いてて、写真を撮り忘れました!

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posted by sakiko at 21:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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