2024年05月12日

佐喜眞美術館に行きたくて沖縄へ(暁)

*丸木位里・俊夫妻が描いた「沖縄戦の図 全14部」を見に佐喜眞美術館に行ってきました

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本誌107号に掲載した記事に書き足しました。
2024年2月14日から23日まで沖縄に行ってきました。宜野湾(ぎのわん)市にある佐喜眞美術館の「丸木位里・俊夫妻の沖縄戦の図」全14部を見に行くというのが一番の目的です。通常は4作品〜6作品くらいしか展示していないけど、『丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図 全14部』(河邑厚徳監督)の公開記念で全作品が展示されているというので、このチャンスにと47年ぶりに沖縄に行きました。この作品は、丸木夫妻が絵を描くにあたって、体験者の証言を聞き、地上戦の現場にも行き、体験者にモデルになってもらったこと、佐喜眞美術館建設のいきさつなどを紹介したもので、(咲)さんが河邑監督にインタビューもしています(シネジャHPに掲載)。私はその時、入院していて、残念ながら取材に参加できませんでした。

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c2023 佐喜眞美術館 ルミエール・プラス

『丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図 全14部』 河邑厚徳監督インタビュー

昨年12月に公開された『彼方の閃光』の中で、眞栄田郷敦、池内博之、尚玄が沖縄戦のことを語るシーンで出てきたのはこの美術館の屋上にいたる階段でした。それに今年2月に公開された『沖縄狂想曲』では、佐喜眞道夫館長が出演。この1年の間でこんなにも佐喜眞美術館のことが映画に出てきたので、どうしても行かなくてはと思ったのでした。
佐喜眞美術館は普天間基地の端にあります。この「沖縄戦の図」を展示する美術館を建てるため、地主の佐喜眞道夫さんが普天間基地内にある借用地を米軍から返還してもらったそうです。詳細は河邑監督の作品に描かれています。

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佐喜眞美術館屋上に向かう階段。最上部にある穴から6月23日(慰霊の日)の日没時、太陽の光が差し込み、23段ある階段を照らします

屋上から普天間基地が見えるということをリンダ・ホーグランド監督の「『ANPO』安保をアートで語る」(2010)という作品で知り、その時からいつか行ってみたいと思っていました。この映画の中で、屋上から普天間基地が映し出されるのですが、リンダ監督にインタビューした時、その撮影時のエピソードを聞いてから、ぜひ行ってみたいと思っていました。この映画は写真、絵など、アートで描かれた作品から安保のことを語っています。映画には広島から来た修学旅行生たちが美術館の屋上に行き普天間基地を見るというシーンがあり、基地が見渡せたのですが、その時から15年近くたち、木が高くなって生い茂り、今回はあまり遠くまでは見渡せませんでした。それにしても2月なのに緑がけっこう多いのに驚きました。東京に帰って来てまわりをみたら樹木の葉はほとんどなかったので、沖縄は常緑樹が多いと思いました。

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佐喜眞美術館の屋上から普天間基地方向を見る(2024年2月)

『ANPO』安保をアートで語る
リンダ・ホーグランド監督インタビュー

やはり東京に帰ってきてから、高校の先生をしていた友人にこの美術館に行った話をしたら、彼女は修学旅行の引率で3回くらい行ったことがあると言っていました。若い人にぜひ沖縄戦のことを知ってほしいから修学旅行で行くのは意味がありますね。館長の佐喜眞道夫さんがコロナ禍でここ数年、修学旅行生は来館できず、美術館の運営も厳しいと言っていたので、早く学生たちが来られるようになるとといいですね。私も、沖縄に来る前と、沖縄で知り合った人にこの展示の話をしたけど行った人いるといいな。
一人はいました(笑)! ドキュメンタリー映画を配給・宣伝している方で、「2月に沖縄市のシアタードーナツに映画宣伝で行く」と言っていたので、この絵の全作品の展示があることを伝えたら、行ってきたそうです。そのほか沖縄で出会った観光案内所の人や、ひめゆりの塔に行く時、バスで一緒になった横浜から来たひともぜひ行ってみたいと言っていたけど、いったかな。沖縄本島北限の辺戸岬に行く時、一緒になった在日20数年という中国人のご夫婦にもこの美術館の話をしたら、行ってみようと言っていたのですが、行ったかな。地道に宣伝したけど、微々たる力ですね。

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丸木位里・俊夫妻(佐喜眞美術館にて)

丸木位里・俊夫妻は「原爆の図」「水俣の図」「南京大虐殺の図」、「アウシュビッツの図」等で知られていますが、おどろおどろしくて不気味なので、絵としてはあまり好きではありません。でも、現実がおどろおどろしいわけだから、しっかりと受け止めなくては。
実際に佐喜眞美術館に行って「沖縄戦の図」に対峙した時、この絵の向こうに沖縄戦の状況が浮かんできて、一つ一つの絵の前でしっかり見続けました。美術館に2時間以上はいたかも。その間に来た人は6組くらい。平日の夕方だったけど、この日は何組くらい来場したのでしょう。沖縄県外の人がほとんど。この旅で知り合った沖縄の人に「佐喜眞美術館って知っている?」と聞いても、ほとんどの人が知らなかったのが残念でした。その話を佐喜眞館長にしたら、「沖縄の人は沖縄戦の話は身近すぎて避けたがる。なるべくなら話したくないんだよ」とおっしゃっていた。

佐喜眞美術館 HP https://sakima.jp/

参照記事
『丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図 全14部』上映情報
6月18日(火)〜30(日) / 8月6日(火)〜23(金) 東京都写真美術館ホール(東京)にて上映!
6/18(火) 東京都写真美術館ホール(東京)13:00の回上映後、河邑厚徳監督・佐喜眞美術館館長の舞台挨拶があるようです。

posted by akemi at 18:16| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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