2025年11月24日

『ラッキー・ルー』@フィルメックス(白)

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ロイド・リー・チョイ監督

今年のフィルメックスは『ラッキー・ルー』の1本だけ鑑賞しました。
久しぶりのチャン・チェン主演で、アメリカに移住したルーが懸命に働いて、やっと妻子を呼び寄せる算段ができます。元は中華料理店を開いたのですが、資金繰りに行き詰まり泣く泣く手放して遅れながら借金を返済。今は自転車でデリバリーの仕事をしています。知り合いに大金を払い、証明書は不要だと譲ってもらった部屋は新しくはありませんが、窓から朝日が差し込むと聞いて明日が楽しみになります。
ところが、デリバリー中に留めておいた自転車が盗まれ、仕事ができなくなってしまいます。借り物だったために弁償金が必要、さらに悪いことに、借りた部屋は前の住民が家賃を滞納していたうえ、大家に黙ってまた貸ししたものとわかります。お金は大家ではなくその知人が持ち逃げした…とこれだけでも「えっ、全然ラッキーじゃなくてアンラッキー・ルーじゃん」と気持ちが灰色になります。妻子はすでに飛行機でこちらに向かい、あと何時間か後には到着します。迎える家がなくなった今、楽しみにしていた再会は苦しいタイムリミットつきになりました。
消えた知人と自転車を探し、不義理をした友人に頭を下げてお金を借り、大家に事情を話して一日だけ泊まっていい約束を取り付けます。何重もの問題を解決しようと走り回る間にも、妻から電話が入りその都度嘘を重ねるルー。デリバリーの仕事に戻ろうと、せっぱつまったルーは他人の自転車を盗もうとして見つかり、逃げたとたんに車にはねられてしまいます。

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結局仕事も失いますが、やっと到着した妻子にほんとのことは打ち明けられません。何も解決しないまま、朝を迎え日の出を眺めるルーに一人娘が一緒に仕事に行きたいと言い出し、小さな嘘をつきつつ金策に走り回ります。連れ歩いているうちに待っているはずだった娘がいなくなり、肝を冷やします。(子どもに「ここにいて動くな」はききません。必ず連れて歩くこと)
見ているこちらまで胃が痛くなってきそうでした。ルーは野心満々でアメリカで成功しようとやってきたのですが事業に失敗、妻子を5年も待たせて再会したとき手の中に残っていたのは借金だけ、危うく泥棒にもなるところでした。まだまだいろんなことがあったのです。不運もふりかかりましたが、思えば命があり、動ける身体があり、自分を信じる妻と娘がいます。弱みを見せられず、悪循環に陥っていたルーのこれからは変わるはず。それは「ラッキー」なんだと見終わってつくづく思いました。
チャン・チェンはこの意固地でプライドの高いルーを体現し、観ているこちらを思い切りハラハラさせました。うまいなぁ。
2026年秋公開予定だそうです。(白)

posted by shiraishi at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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