2024年11月01日

第37回東京国際映画祭始まりました!その1(白)

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日比谷ミッドタウン地下通路

●10月28日(月)〜11月6日(水)
https://2024.tiff-jp.net/ja/


=プレス上映鑑賞メモ=
10月29日(火)
『10セカンズ』トルコ/ウィメンズ・エンパワーメント
学校にやってきた母親が、生徒を誘惑した!と女性教師に詰め寄る。教師は落ち着いて対応するが、母親はエスカレートしていく。女優二人の丁々発止のやりとりがすごかった。観客に想像させるラスト。

『お父さん』香港/コンペ
愛妻と一男一女に恵まれ、食堂を経営しているお父さん(ラウ・チンワン)。ある夜、妻と娘が殺され、しかも手を下したのは息子。仲が悪いわけでもない平凡な家族だったのに、なんでこんなことになったのか?怒りも恨みもぶつけられず、宙に浮いたまま、収監された息子のもとに通い続ける。

『劇映画 孤独のグルメ』日本/ガラセレクション
松重豊が監督・脚本・主演。フランス、韓国、日本と思い出のスープを探す旅に出る。ロケ地も出演者も豪華版でした。テレビ東京60周年記念作品と知って納得。
★2025年1月10日(金)公開。

『敵』日本/コンペ
筒井康隆原作 吉田大八監督
妻に先立たれた元大学教授(長塚京三)、フランス文学についての寄稿や公演で生計を立てている。慎ましく平和に暮らしていたが、ある日PCの画面が「敵が来る」という文字でいっぱいになる。残りの人生に必要な金額を算出したり、教え子に妄想を抱いてしまったり、同じ独り身男性を描いた『PERFECT DAYS』より生活を感じた。『由宇子の天秤』の二人(瀧内久美、河合優実)も競演。
★2025年1月17日公開

10月30日(水)
『母性のモンタージュ』香港/ウィメンズ
夫と夫の両親と同居するジェン。待望の子どもを授かったが、出産後は仕事に復帰していつかは自分のベーカリーを持ちたい。完璧な母親でありたいが、夜泣きする赤ん坊に疲れ果てる。
100人いれば100通りの子育てや暮らしがあり、抱える辛苦は誰とも比べられない。自分は何事も「いい加減」だったので楽だったと思い出した。

『劇場版ドクターX』日本/ウィメンズ
天才外科医・大門未知子(米倉涼子)は某国の大統領の手術のため海外へ。東帝大学病院は経営刷新のため、新病院長・神津比呂人(染谷将太)を迎えていた。10年間7シリーズが視聴率トップをかざった医療ドラマ。大門と榊原(岸部一徳)の過去が明らかになる。急逝した西田敏行さんの最後の出演作となった。
★2024年12月6日(金)公開

『アディオス・アミーゴ』コロンビア/コンペ
コロンビアの内戦(千日戦争)末期のころ。革命軍兵士アルフレッドは、行方不明の兄に子どもができたことを知らせたい。知り合った写真屋は父を殺した仇を探している。一緒に旅する二人の前に様々な人間が現れる。
ウエスタン調に作られた、なんでもありの幕ノ内弁当のような映画。ブラックコメディ風味。

『娘の娘』台湾/コンペ
アイシャ(シルヴィア・チャン)には娘ズーアルのほかに、アメリカで若いときに産んで里子に出したもう一人の娘エマがいる。体外受精のため同性パートナーと渡米したズーアルが事故に遭い、受精に成功した胚だけが残された。
台湾の名女優シルヴィア・チャンが出ずっぱり。認知症になったアイシャの母親、アイシャ、アイシャの娘ズーアルとエマ。三世代の女性の母であり、娘である喜びと悲しみが描かれた物語。

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有楽町駅前 チケット売り場

10月31日(木)
『幼な子のためのパヴァーヌ』マレーシア/アジアの未来
家父長制が根強く残るマレーシア。赤ちゃんポストに今夜も赤ん坊が預けられる。生んだものの、育てられない女性が泣く泣く置いていく。ソーシャルワーカーの麗心は妊娠してしまった学生を手助けする。
雇い主にレイプされたり、彼氏に逃げられたりして理不尽な目に遭う女性がいるかと思えば、母系社会の民族で男の子を生んでがっかりする女性も。ラストで民族衣装の女性たちが踊りながら練り歩くのがパヴァーヌ(行列舞踏)なんでしょうか。

『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』日本/アジアの未来
敬太(杉田雷麟)が子供の頃、一緒に山に出掛けた弟の日向が失踪し今も見つかっていない。ある日、母から古いビデオテープが届いた。それは敬太が撮影したもので、日向がいなくなるところが映っていた。霊感のある同居人の司(平井亜門)は、そのテープに良くないものを感じ、処分するよう勧める。薄暗い山の場面が多く、じわじわ怖い日本のホラー。
★2024年1月24日(金)公開

『大丈夫と約束して』スロバキア、チェコ/コンペ
15歳のエニョは夏休み中、田舎にある祖母の家で過ごしている。村の少年たちとバイクで野山を走っているが、早く母親と一緒に暮らしたい。なかなか帰って来ない母の知らない一面を村人の噂から知ってしまう。息子に隠していたことを知られた母の表情が激変するのが怖い。

『Flow』ラトビア/アニメ
大洪水で街が水没していこうというとき、黒猫は流れてきたボートに飛び乗った。乗っていたのはカピバラ、次に犬、ワオキツネザル、大きな白い鳥が乗船してきた。様々なできごとに遭いながら彼らは仲間となっていき・・・
それぞれの動物の特徴や性格が笑いを誘う。人は全滅したのか、動物だけが登場、水も森もゴミひとつなく美しいばかり。海には鯨もいる。人間がいなければ地球は楽園だ。ギンツ・ジルバロディス監督の前作『Away』も必見。
★2025年3月14日(金)公開

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』日本/コンペ
大九明子監督とTIFFというと『勝手にふるえてろ』(2017)『私をくいとめて』(2020)が浮かぶ。今作も若手俳優(萩原利久、河合優実、伊東蒼)そろっています。黒崎煌代(こうだい)さんは名前が出てきませんでしたが、朝ドラ「ブギウギ」、映画『さよならほやマン』でも主人公の弟役をしていましたっけ。
★2025年4月公開 https://kyosora-movie.jp/
posted by shiraishi at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年07月19日

クルドにウズベク、今年も充実のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭(咲)

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私にとって夏の風物詩となったSKIPシティ国際Dシネマ映画祭。
13日のオープニングセレモニーは、前後の日に予定が詰まっていたので、千絵さんにお任せして休養日にして、15日(月・祝)から参戦。
11時からのトルコ映画『別れ』を目指して、川口駅10時発の無料シャトルバスに乗車。
もう満席で立っている人も多々。座っている外国人の方のお顔、知ってる方のような気がして、じっと見つめてしまったら目があって、席を譲ってくださいました。
なんと、トルコ映画『別れ』のクルド人の監督ハサン・デミルタシュさんでした。
Webサイトでお顔を見ていたから、確かにどこかで見た顔だったのですね。
立たせてしまい恐縮しながら、お話しました。
隣の隣にシネジャの千絵さんが座っていて、映画祭パンフレットの『別れ』のページを開けてくれたので、そこに映る東トルコのマルディンの写真をみながらお話しました。
1990年代にトルコ政府から強制移住させられた時のことを映画にされたのです。
映画はまだ観る前でしたが、歴史ある素敵な街マルディンに行ったことがあるので、話がはずみ、幸先のいい映画祭スタートでした。
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『別れ』は、監督が7歳の時に強制移住させられた時に、おじいさんが「おばあさんの骨を持ってこれなかった」と嘆いていた一言がずっと胸にあって、いつか映画にしたかったのが実現したもの。 とても胸に沁みる物語です。

14:30〜『ミシェル・ゴンドリーDO IT YOURSELF! 』
ミシェル・ゴンドリー監督が、ハチャメチャな人物だったことがわかる、すごく飛んだ映画でした。ふぅ〜
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フランソワ・ネメタ監督

ぐったりして帰宅。

16日(火)は一日休養日にして、翌日のウズベキスタン映画『日曜日』の監督インタビューの準備。
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ウズベクの村で暮らす老夫婦を描いた映画なのですが、これがまた、とても味わい深い映画なのです。

17日(水)
朝の通勤時間帯に新宿へ。ちょうど高幡不動始発の急行に座れたので、通勤ラッシュのつらい思いをせずに済みました。
赤羽から乗った京浜東北線で、映画祭の一次審査をしていらっしゃる津島令子さんにお会いし、川口駅からタクシーで行きましょうとお誘いしてくださったのですが、川口駅のタクシー乗り場には、7組の先客。なのにタクシーが来ない・・・
津島さんは、この日一日、映像ホール上映時のMCを務められるので、10時20分から事前打ち合わせとのこと。
あきらめて、10時発のシャトルバスに飛び乗りました。
そこへ、ウズベキスタン映画『日曜日』のショキール・コリコヴ監督も駆け込みで乗車。「ヤフシミシーズ」(お元気ですか)と、数言しか知らないウズベク語でご挨拶。インタビュー前にお会いすることができて、この日もラッキーなスタートでした。

11時から、『日曜日』監督インタビュー。通訳は在日ウズベキスタン共和国大使館にお勤めの若いウズベクの女性。
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時間切れで質問できなかったことを、上映後のQ&Aの時に真っ先に手を挙げて尋ねました。MCの津島さんから、なかなか最初に手を挙げてくれる人がいないから・・・と言われていたこともあった次第。こんな単純な質問でもいいという見本のようなことを伺いました。(どんな質問をしたかは、後日のレポートでご確認を!)

13:30〜 『マスターゲーム』
1956年ハンガリー動乱下のブダペストで、西へ逃げようとする男女の物語。
ウィーンに向かう列車で繰り広げられるチェスや制服姿の男たちに追われる場面は、実はファンタジー。まだ頭の中で整理しきれてないです・・・
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バルナバーシュ・トート監督 チャップリンが大好き♪

16:30〜 『連れ去り児(ご)』
インドの地方の町。母親の再婚式のためにやってきた兄弟。目の前で赤子が連れ去られ、犯人の一味と疑われ、SNSが拡散され、暴徒化した人たちに襲われる・・・という物語。
これでもかという暴力に、これまたどっと疲れました。
いろいろな言語が飛び交う映画で、インドならでは。
字幕を担当された松岡環さんにお会いしました。監督にインタビューされたそう。楽しみです。
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カラン・テージパル監督


18日(木)
この日は、ゆっくり午後から。
川口駅12時半のシャトルバスに乗ったら、友人のMさんやFさん。
さらに、見知った監督さんたちがどっと乗ってきました。今年は円安効果もあって、海外からのゲストが多数。皆さん、よく一緒に行動して情報交換や友好を深めていらっしゃる様子。映画祭らしい光景でいいですね。

13:30 『私たちのストライキ』
パリの高級ホテルで客室係として働く女性たちの物語。非正規雇用の悲哀。
まだ若いエヴァという女性が新規で働くようになり、高齢のシモーヌという女性のもとで仕事を仕込まれます。二人の生き方それぞれが生き生きと描かれていました。
実際に22か月ストを続けた非正規雇用の人たちの姿に胸を打たれて本作を作ったとのこと。
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ネシム・チカムイ監督 Nessim CHIKHAOUI (カタカナ表記がちょっと違う気が・・・)
お名前からして、もしかしてルーツはチュニジアですか?とお伺いしたら、まさにそうでした。お父様がチュニジアの奥のほうのアルジェリア国境に近いところのご出身。

17:00〜 
『別れ』ハサン・デミルタシュ監督インタビュー。
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何度かお会いし、雑談であれこれお話していましたが、正式にちゃんとお話を伺いました。
4000ドルという低予算なので、撮影も編集もすべてご自身で。イスタンブルの場面も、皆を連れていく予算がないので、マルディンで撮ったそうです。

さて、21日の閉会式で受賞作が発表されます。
私のお気に入りの作品が受賞すればいいなぁ〜!

20日(土)からはオンライン配信が始まります。
ぜひ、お家でお楽しみください。

配信期間:2024年7月20日(土)10:00 〜 7月24日(水)23:00
https://www.skipcity-dcf.jp/online.html

国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門) 1作品300円(税込)
国内コンペティション(短編部門) 1作品100円(税込)

見放題プラン 1,480円(税込)

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posted by sakiko at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月24日

アニメーションの映画祭二つ(白)

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◆東京アニメアワードフェスティバル2024
2024年3月8日(金)〜11日(月)
https://animefestival.jp/ja/


長編アニメーション
グランプリ『リンダはチキンがたべたい!』 Chicken for Linda!(フランス・イタリア)
  ★4月12日より公開予定
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(C)2023 Dolce Vita Films, Miyu Productions, Palosanto Films, France 3 Cinéma

優秀賞『シロッコと風の王国』 Sirocco and the Kingdom of the Winds(フランス・ベルギー)

短編アニメーション
グランプリ『氷商人』Ice Merchants(ポルトガルほか)
優秀賞『レギュラー』 Regular(アメリカ、ウクライナ)
豊島区長賞『ベネチア、未来最古の都市』Venezia, the Most Ancient City of the Future(イタリア)
学生賞『520』(日本/池辺 凜)

二つの映画祭に続けて出かけてきました。池袋には毎日楽しみに出かけ、これと思った作品が受賞しました。今年もフランス勢目立ちました。
レポする時間がなくていまごろですみません。

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◆新潟国際アニメーション映画祭2024
2024年3月15日(金)〜20日(水)
https://niigata-iaff.net/


コンペティション
グランプリ『アダムが変わるとき』Adam change lentement(カナダ)
傾奇賞『アリスとテレスのまぼろし工場』監督:岡田 麿里
境界賞『マーズ・エクスプレス』Mars Express(フランス)
奨励賞『インベンター』The Inventor(アメリカ)

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片渕須直監督

受賞作のほか、『ケンスケの王国』(イギリス)、『オン・ザ・ブリッジ』(スイス)、『コヨーテの4つの魂』(ハンガリー)などが好きでした。
片渕須直監督が制作中の『つるばみ色のなぎ子たち』の進捗状況をたくさんの画像を映しながら語った2時間トークも貴重。完成を首を長くして待っています。いざレポをと思ったらスマホでこのページにアクセスしたことがなく、パスワードがわかりませんでした(汗)。
去年より1泊増やした新潟では、昨年とは違ってお天気がくるくる変わりました。映画祭に合わせていろいろなイベントがあり、アニメーションや漫画を学ぶ若い人たちのコスプレ姿もたくさん。
今年新しく会場となった日報ホール、1階ロビーで佐渡ヶ島の観光案内イベントがあり、急にその気になってゲストハウスを予約。映画祭途中に抜け出して佐渡ヶ島を訪ねたものの、雨に雪まで降ってきて、なんと春の嵐に見舞われました。帰りの船が欠航しては大変と翌朝早めに戻ることになり、島を横断しただけで諦め。せっかく行ったのに〜と残念でたまりません。それでも海岸でシーグラスや貝拾い、ゲストハウスではオーナーさんとおしゃべりし、猫と遊んで楽しみました。次はもっとゆっくり日程で温泉にもともくろんでいます。トキはもしかしてあれかな?というのを見つけましたが、遠目だったのでサギかも。

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posted by shiraishi at 10:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月14日

3月はアニメーション映画祭が2つ!!(白)

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画・亀田祥倫 着彩・三田遼子(WIT STUDIO)

◆東京アニメアワードフェスティバル2024
2024年3月8日(金)〜11日(月)
東京・池袋
コンペティション
 長編部門 4作品
 短編部門 26作品
トークイベント
https://animefestival.jp/ja/
★前売り券発売中 こちら

◆新潟国際アニメーション映画祭2024
2024年3月15日(金)〜20日(水)
新潟市内

長編部門(コンペティション)12作品
世界の潮流
レトロスペクティブ:高畑勲特集
オールナイト新潟
大川博賞・蕗谷虹児賞
イベント上映
トークイベント
https://niigata-iaff.net/
★チケット準備中

どちらも参加して、毎日レポしますね。
新潟は3泊4日で行ってきます。(白)
posted by shiraishi at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月03日

第24回東京フィルメックス 行動記録です (咲)

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今年の東京フィルメックスは、東京国際映画祭と開催時期が重複した2021年、2022年と違って、以前のように離れた時期に開催され、気分的にぐっと樂でした。
会期は、11月19日(日)〜 26日(日)でしたが、ヒューマントラストシネマ有楽町で先行して夜の上映が始まり、開会式は、会期4日目の22日に開かれました。
有楽町朝日ホールでの上映は、26(日)までの5日間でしたので、なんだかあっという間に終わった感がありました。それでも、東京国際映画祭と重なった2年間に比べると、観客は多かったように思います。苦渋の選択を迫られた2年間を、ちょっとうらめしく思い出した次第です。とはいえ、休養日を入れたり、ほかの催しを優先したりで、フィルメックスには、4日しか行きませんでした。観た作品8本と共に、私の忘備録としての行動記録です。

11月21日(火) 19:10〜 @ヒューマントラスト有楽町
『クリティカル・ゾーン』 
監督:アリ・アフマザデ
2023年 /イラン・ドイツ / 99 分

今年のフィルメックスで唯一のイラン映画。
主役がドラッグの売人で、アリ・アフマザデ監督がイランから出国出来ないことから、検閲に引っ掛かる内容なのは察しがついていたのですが、スタイリッシュで、ちょっとぶっ飛んだ感じ。ヨーロッパの映画のよう。詳しくは、こちらに書いています。
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/501544731.html
終わってから会った映画好きのイラン人の友人も、「これまでにないタイプだね」と。

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友人のMさんと、吉祥 CHINESE DINING 銀座インズへ。
ディナータイムも、一品選べば、+150円で定食にしていただけるとわかり、野菜の黒酢炒めと、茄子炒めを選んで、シェアしていただきました。


11月22日(水)
 この日より、すべて有楽町朝日ホール
15::30〜『水の中で』 
監督:ホン・サンス.
2023年 /韓国 / 61分
俳優として活動してきた青年が演出家として2人の仲間と共に短編映画を作ろうとする物語。全編ピンボケという実験的映画と解説にあって、覚悟していたのですが、あっという間に朦朧としてしまったのは、ピンボケの映像のせい?
楽しみにしていたホン・サンスの新作なのに、何も語れません・・・

17:15〜 フィルメックス開会式
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神谷直希プログラミング・ディレクターによる3回目の東京フィルメックス。
「財政が厳しく、皆さんのサポートがなければ開催できませんでした」との言葉に、無事開催出来たことを嬉しく思うと同時に、今後も継続して開催出来ますようにと願うばかりです。
コンペティション部門の審査員3人のうち、審査員長である中国のワン・ビン監督と、タイのアノーチャ・スウィチャーゴーンポン監督が登壇。台湾のクオ・ミンジュンさん(映画プログラマー・プロデューサー)は、まだご到着されていないとのこと。

スウィチャーゴーンポン監督は、「この場にいられることに感動。2010年、ネクストマスターズ(現在のタレンツ・トーキョーにあたる)に参加。あれから13年経ち、感慨深いです。良い友人ができ、今でも友情が続いています。映画を愛する人が集う場所がこれからも続くことを願っています。素晴らしい時間をお過ごしください」と語りました。
ワン・ビン監督は、「フィルメックスに参加できることが嬉しい。私の映画を上映していただく機会はなかなかないのですが、皆さんに観ていただけることを嬉しく思っています」と、特別招待作品部門で、最新作『青春』が上映されるに感謝されました。

特別招待作品『About Dry Grasse』
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
2023 年/トルコ・フランス・ドイツ / 197 分

雪深いアナトリアの僻地にある公立学校で、早くここから抜け出しイスタンブルに転任したいと画策している美術教師サメットの物語。お気に入りの女生徒セヴィム、同宿の同僚教師ケナン、別の学校の英語の女性教師ヌライ。サメットと彼らの会話で綴られる197分。早口の会話に息もつけず、見入りました。(『水の中で』で寝落ちしたのが信じられない位、寝ませんでした。)
サメットが、実に自己中の嫌な男なのですが、やっとその彼も悟るというラストで、ほっとしました。
最後の方で、サメットがケナンやヌライと山を上って遺跡に行く場面があって、ネムルートでした。地震で石造の頭が地面に落ちて並んでいる遺跡です。この近くの村が舞台なのだとわかりました。確かに、僻地。
配給:ビターズ・エンド 
公開されたら、また観たい重厚な作品です。


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充実感に浸りながら、暁さんとイトシア地下のベトナム料理「バインセオ サイゴン」で、バインセオセット。チキンか牛のフォーが付くのですが、「牛肉のフォーはありません」と言われ、がっかりしていたら「牛肉のビーフンならあります」と言われ、なんだ、牛肉はあるんだと。バインセオ食べ応えがあります。

11月24日 
10:35〜『黒衣人』 + 『火の娘たち』.

『黒衣人』(Man in Black)
監督:ワン・ビン
2023 年/フランス・アメリカ・イギリス / 60分
誰もいない劇場の中を彷徨う裸の老人。現代音楽作曲家の王西麟(ワン・シーリン)。自作の歌を歌い、ピアノを弾き、そして過去を語ります。共産党に入党しなかった為に右派の烙印を押され弾圧されたこと、文革の時代、反革命で批判されたこと、「無題」で許可を取り作曲した交響曲も、拷問のイメージを表現したことが当局の耳に入り封印されてしまったこと・・・ 今はドイツで平穏に晩年をおくる王西麟氏の胸に深く刻まれた思いに涙。

『火の娘たち』
監督:ペドロ・コスタ
2023年 /ポルトガル / 8分
10月に山形国際ドキュメンタリー映画祭でも拝見した印象的な短編。その時には、あらかじめ字幕の文字が小さいので前の方でご覧くださいと言われたのでした。
カーボ・ヴェルデのフォゴ火山噴火で離散した3人の若い姉妹それぞれが歌い憂う姿が横長にワイドに並ぶ画面が、一瞬にしてスタンダードサイズに変わり、噴火した山、そして被災した家から人々が飛び出してくる姿を映し出します。

次の上映まで、50分位しかなかったのですが、ここで食事しておかないと、夜9時頃まで食べる時間がないので、21日にMさんと行った吉祥にまた行きました。奥の方の2人席に案内されて、座ろうとしたら、「あ、お姉ちゃん」の声。なんと妹の隣の席に案内されたのでした。元々、妹が教えてくれたお店ですが、あらまでした。
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この日は、黒酢酢豚ランチをいただきました。
帰りに一緒にお会計に行ったら、おじさんが「先日は、どうも」と覚えてくれてました。で、「今日は偶然、妹と一緒になって…」と言ったら、似てませんね〜と言われてしまいました。

12:40〜『冬眠さえできれば』
監督:ゾルジャルガル・プレブダシ
2023 /モンゴル・フランス・スイス・カタール/98分

モンゴルの首都ウランバートルの郊外、伝統的なユルト(円形テント)の多い地区。10代の青年ウルジーは、数学が得意で、先生から物理学コンクールで優勝すれば奨学金を貰えると参加を薦められる。父を亡くし、酒浸りだった母が地方で仕事をすることを決め、ウルジーは妹と弟の世話をしなければならなくなる。厳しい冬を乗り切るため、暖房用に木を密伐採するウルジー。そんな彼を教師が地方でのコンクールへの交通費は負担してもらえるからと連れていく・・・
マイナス30度以上の極寒の地で、生きるために学業もおろそかになる子どもたちを見守る大人たちがいて救われる思いでした。
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1週間前に出産したばかりで監督は来日出来ませんでしたが、共同プロデューサーのバトヒシク・セデアユシジャブさんと、母親を演じたガンチメグ・サンダグドルさんがQ&Aに登壇しました。

終了後、ロビーで日本にいるモンゴルの人たちに取り囲まれていました。
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花束を抱えたお二人に、写真を撮らせていただきました。


15:35〜『タイガー・ストライプス』
監督:アマンダ・ネル・ユー
2023 年/マレーシア・台湾・シンガポール・フランス・ドイツ・オランダ・インドネシア・カタール /95分
女子学校に通う12歳の少女ザファン。保守的なイスラームの家庭に育つ彼女は、トイレで踊りながらスカーフも服も脱ぎ捨てる様子を携帯で撮影する。学校では、中国系の生徒たちの方がいつも成績がよく、先生に「なぜ?」と言われている。そんなある日、いち早く生理がきて、彼女一人、礼拝の時間に外にいるしかない。そんな彼女を親友のファラーや仲間たちはいじめの対象にする・・・
かなり賑やかな映画だったそうですが、ホラーな部分になる前に寝落ちしてしまいました。これまた何も語れません・・・

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思春期の女の子の物語をホラー仕立てで描いたアマンダ・ネル・ユー監督のQ&Aが行われました。


18:25〜『短片故事』
監督:ウー・ラン
2023 年/中国 /12分
夫は夢の中で妻が自分から去っていくのを、なんとか関係を修復しようとする。目覚めた時、彼は目の前で起こったことが現実なのか、それとも夢なのかわからなくなる…
この後上映される『雪雲』と同じく、リー・モンが妻役。

『雪雲』
監督:ウー・ラン
2023年 /中国 / 102分
10年間の刑期を終えて海南島に戻ってきたジャンユー。彼の不在中に開発が進んですっかり変わった島。彼はケーキを買って小さな美容室を営むかつての恋人ホンを訪ねる。女の子がいるが、「あなたの娘じゃないわよ」というホン・・・

誰かの身代わりになって服役したらしいジャンユーを、リー・カンションが演じていて、それだけで注目度が大きく上がります。とても静かな演技は、彼らしい。
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上映後、ホンを演じたリー・モンがQ&Aに登壇しました。
リー・カンションに関する質問が、やはりいくつも寄せられました。
「相手役に対して思いやりのある方」とリー・モン。監督とリー・カンションは、心の中に共通する感情を持っているとも。

終了後、暁さんと、Tさんとお食事。
イトシア2階の、「珈琲茶館 集」に行ったら、あと1分で食事のラストオーダーと言われてしまいました。
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大急ぎで、メキシカンピラフをチョイス。 後からメニューをみたら、果物とアイスクリームを添えたワッフルが美味しそうでした。残念!

10月25日(土) インド細密画展と外語祭に行き、フィルメックスはお休みしました。
http://cinemajournal.seesaa.net/article/501568423.html

10月26日(日)
ワン・ビン監督の『青春』は、配給:ムヴィオラさんとあり、公開を待つことにしました。観た友人たちから、この日の212分は第一部で、この後、第三部まであると聞きました。ワン・ビン監督の作品、やっぱり長いです。

17:10〜 授賞式
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報告記事は、こちらで!

アリ・アフマザデ監督の『クリティカル・ゾーン』が審査員特別賞を受賞!
好きかどうかは別にして、イランの作品が受賞したのは嬉しいです。

一番気に入った『冬眠さえできれば』が、観客賞と審査員特別賞をダブル受賞!
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共同プロデューサーのバトヒシク・セデアユシジャブさんと、母親を演じたガンチメグ・サンダグドルさんがモンゴルの民族衣装で登壇しました。

クロージング上映
『命は安く、トイレットペーパーは高い』
監督:ウェイン・ワン
1989年 /アメリカ / 85分
ビッグ・ボスなる人物に渡すブリーフケースを託されて、サンフランシスコから香港へやってきた青年。ところがなかなかビッグ・ボスに会えない・・・

タイトルには、はっきりと覚えがあったのですが、映画を観てみたら、さて、この映画、観たのだろうか?と、記憶が蘇りませんでした。
ちょっと暴力的でハチャメチャ。でも、1989年の香港で撮られた映像が、とにかく懐かしい映画でした。

上映前と上映後にウェイン・ワン監督が登壇。
この映画に詰まった香港愛を語りました。
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「暴力的というより、なかなかロマンチックな映画ではなかったでしょうか」という第一声。天安門事件の起こった1989年に撮影されたものであることも強調されました。

ウェイン・ワン監督の強烈な印象を胸に、この日もまた、暁さんと、Tさんとお食事。
イトシア地下の「有楽町うまやの楽屋」でもち豚炙り焼定食をいただきました。
お腹が空いてて、写真を撮り忘れました!

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posted by sakiko at 21:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする