2019年11月04日

東京国際映画祭 その6(白)

11月3日(日)TIFF7日目

特別招待作品『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(特別先行版)片渕須直監督
2016年のTIFFで『この世界の片隅に』が上映され、公開以来各地でロングランヒットしました。本作はすずが出会った遊郭の少女りんのエピソードはじめ、250以上の新カットを足した長尺版です。まだ編集継続中、完全版ではないそうですが楽しみました。
https://ikutsumono-katasumini.jp/ 12月20日(金)公開

コンペ『チャクトゥーとサルラ』(中国)ワン・ルイ監督
モンゴルの草原で暮らす若い夫婦。夫のチャクトゥーは、たびたびふらりと出かけてしまう。サルラは草原が好きで町では暮らしたくない。仲の良い夫婦だけれど、そこだけは意見が分かれてしまう。どこまでも広がる草原や青く霞む山々の風景は美しいが、厳寒の冬の生活は厳しい。
サルラが流産して初めてチャクトゥーが落ち着くかに見えたのですが。自由な放浪も相手が待ってくれるという甘えがあるからできるのでしょう。チャクトゥーは寅さんタイプで、家族を持って一つ所に落ち着くにはまだまだ若いんですね。そういう人の妻は泣くか、我慢するか、別れるか? ワン・ルイ監督は18年連れ添った奥様に先立たれたそうで、「もっと一緒にいればよかった」という思いもこもっているようです。

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Q&A ジリムトゥ(主演俳優)ワン・ルイ監督

コンペ『喜劇 愛妻物語』(日本)足立紳監督
売れない脚本家の豪太(濱田岳)は、気の強い妻チカに頭が上がらない。仕事がぽしゃってばかりなので、娘アキと妻の機嫌をとるのに心を砕いている。手打ちうどんの取材のために家族旅行も兼ねて四国に出かける3人。チカとの距離は縮まるのか?
チカの容赦のない罵詈雑言に言い返せない豪太、それでもめげずにあれこれ画策するのが笑えます。チカはきつくならなければ、家計も夫も支えられなかったんだよね、よく頑張ってきたねと言ってあげたいです。豪太を応援しているのは、ゲンをかついだ赤パンツを今も愛用していることでわかります。チャクトゥーも豪太もしっかりしてよね! 2020年公開予定

Q&A参加
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『猿楽町で会いましょう』Q&A 児山隆監督、石川瑠華(女優)

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『死を忘れた男』Q&A ヴィクター・ヴー(監督/脚本)
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2019年11月03日

東京国際映画祭 その5(白)

11月2日(土)TIFF6日目

六本木に行く前に気になっていたアニメーション作品『空の青さを知る人よ』をTOHOシネマズ日比谷で。原作は同名のコミック。故郷に残る人、夢を追って外へと出る人、これはよく映画や小説にもなるテーマです。作品中に「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」というセリフがあり、タイトルはここからです。前半の出自は中国、でも後半は日本の?としばらく前にもネットで話題になっていました。吉沢亮くんが主人公のシンノ=慎之介の声をあてていてなかなか良かった。声もハンサム。
HPはこちら

CROSSCUT ASIA『Sisters』(タイ)プラッチャヤー・ピンゲーオ監督
ウィーナーとモーラーは姉妹として育てられたが、母親たちが姉妹の従妹同士。母親が亡くなってモーラーの父が残された2人を育てた。姉のモーラーは父から悪魔祓いの秘儀を受け継いでいる。それは身体が弱く悪魔に狙われている妹を守るためだった。
プラッチャヤー・ピンゲーオ監督は『マッハ!!!!!!!!』(2003)『チョコレート・ファイター』(2008)で日本でも知られています。今回妹のモーラーも『私たちの居場所』と同じくBNK48のメンバー。敵はガスーという東南アジアではお馴染みの悪魔というか妖怪で、頭が身体から脊椎や内臓ごと抜けて飛び回るというおぞましさ。こんなのが来たら子どもは夜中にトイレに行けません。

コンペ『ジャスト6.5』(イラン)サイード・ルスタイ監督
薬物依存症の患者が激増する中、特別チームのサマドは麻薬組織の大物ナセルを追っている。あの手この手で追い詰めてようやく逮捕までこぎつけた。
アジアの作品に集中していて、コンペ作品は昨年からほかのスタッフにお任せ。最終日近くなってからEXシアターで観ることにしました。これがコンペ1本目です。映像、俳優、テンポ…迫力の作品で、Q&Aまで残りました。膨大なセリフの脚本を主演にあて書きしたというサイード・ルスタイ監督はまだ30歳です。麻薬で成り上がったナセル役のナヴィド・モハマドザデーと登壇。(咲)さんが明日取材しますのでお楽しみに。
『別離』でも主演だったサマド刑事役のベイマン・モハディからは「撮影のために来日できず残念」とビデオメッセージが届きました。(白)


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左:サイード・ルスタイ監督、右:ナヴィド・モハマドザデー

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2019年11月02日

東京国際映画祭 その4(白)

11月1日(金)TIFF5日目

日本映画スプラッシュ『i−新聞記者ドキュメント−』Q&A
東京新聞社会部記者・望月衣塑子に密着取材。彼女の姿を通して日本の報道の問題点に迫る。
映画祭に参加するのは初めてと森達也監督、河村光庸プロデューサーが登壇、観客からの質問に答えました。客席には作品に登場する伊藤詩織さん、籠池夫妻。河村プロデューサーから紹介されてスポットが当たり、会場から拍手が起きました。この映画を選定上映した映画祭のスタッフに感謝して「新聞離れ、政治離れしている人にこそ見ていただきたい」と締めくくりました。

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アジアの未来『夏の夜の騎士』(中国)ヨウ・シン[尤行]監督
1997年夏。両親が日本で働いているので、祖父母の家に預けられている天天。軍隊から戻って失業中の叔父とその息子(天天には従兄)も同居している。お祖母ちゃんの新しい自転車が盗まれてしまい、犯人をみかけた天天は従兄と一緒に泥棒探しを始める。
元教師のお爺ちゃんは、外の顔と家の顔が違い、息子に冷淡で妻に非難されています。建前ばかりの大人を孫たちが冷静に見ているのがなんともリアル。

CROSSCUT ASIA『死を忘れた男』(ベトナム)ヴィクター・ヴー監督
アンは重病の一人娘の回復のため占い師を訪ねる。毎晩のように夢に現れる場所にアンが呼ばれているのだと教えられ、藁にも縋る思いでその場所を探し求める。人里離れた洞窟で、何百年も生きている男フンと出会う。
フン役の俳優さんの立ち姿やアクションシーンにチョウ・ユンファの若き頃を思い出しました。一瞬寝落ちしていたらしく黒魔術のくだりがよくわからず。いろんな要素がてんこ盛りの作品。
アンを演じているのはヴー監督の奥様ディン・ゴック・ジェップさん。2017年『草原に黄色い花を見つける』での来日記事はこちら。奥様も一緒でした。


特別招待『”隠れビッチ”やってました。』三木康一郎監督 12月6日公開
実は反対側の隣の会場『ミンダナオ』に行くはずが、暗い中で慌てて出て、急ぎ席に着いたらこちらを上映中。そのまま終わりまで見ました(汗)。激高するとキャラが変わるひろみ(佐久間由衣)がめんどくさいのですが、大人な三沢(森山未来)が受け止めます。バイの村上虹郎くんが可愛くて含蓄のある台詞を言ってました。

CROSSCUT ASIA『フォークロア・シリーズ 母の愛/TATAMI』(シンガポール)ジョコ・アンワル監督 (日本) 齊藤 工
エリック・クー監督が製作総指揮を務めたテレビ放映作品。
どちらも母の愛情を扱っていて、愛も多過ぎるとホラーになる…。『TATAMI』の神野三鈴さん、北村一輝さんを母猫みたいに舐めていましたが、何味だったのかしら?

下は六本木ヒルズ52Fのホールに飾られている1958年の東映アニメーション『白蛇伝』の登場人物レプリカ(石膏製)。TIFFでは4Kデジタルリマスター版が上映されました。
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2019年10月31日

東京国際映画祭 その3(白)

10月31日(木)TIFF4日目

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東京ミッドタウン日比谷のステップ広場では屋外上映中でした。

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六本木ヒルズ展望台 東京シティビューでは「細野晴臣デビュー50周年記念展」が11月4日まで開催中。
https://tcv.roppongihills.com/jp/exhibitions/hosonokanko/

映画の前に駆け足で観てきました。半世紀もの間、多岐にわたって第一線で活躍してきた細野氏の足跡をたどることができます(撮影可、動画不可)。

アジアの未来『死神の来ない村』(イラン)レザ・ジャマリ監督
山間の村の長老アスランは100歳を越えてなお元気。元死刑執行人で遺族に恨まれるのを恐れてこの村にやってきた。そのときから45年一人も死者がなく、村は老人ばかり。死神が迎えに来ない村では治療中の病人も回復していく。生きるのがしんどくなったアスランと仲間が自殺を図るので、村に駐留する兵隊がそのたびに止めに入る。
独身のお爺ちゃんが、孫くらいの娘に求婚するシーンがあり(父親も自分よりずっと若い)観ていた我らは「厚かましい、図々しい」と散々。

アジアの未来『モーテル・アカシア』(フィリピンほか)ブラッドリー・リュウ監督
不法移民たちを受け入れるモーテル・アカシア。疎遠だった父から引き継ぐために訪れた息子は、大きな秘密に気づく。移民たちは大金を払っているのに満足な食事も温かい部屋もなく、入ってきた人間は2度と出ていけないのだった。
吹雪の中たどり着いたモーテルはいかにも胡散臭く、父親役の俳優はフィリピン人ではなく吸血鬼?ぽい風貌なので、この人が襲ってくるのか?と先読みしたら違いました。外は零下60度と字幕に出ましたが、外景はどこだったのでしょう。そんなに冷えたら樹木の水分が凍ってパキーンと弾けちゃいます。

CROSSCUT ASIA『リリア・カンタペイ、神出鬼没』(フィリピン)アントワネット・ハダオネ監督
リリアは30年もの間、様々な映画で端役を演じてきた。名前を知る人は少なく、魔女や幽霊役の人としてようやく思い出してもらえる。リリアの映画への思い入れは深く、国内の助演女優賞に初めてノミネートされて有頂天。テレビの取材が入り、友人知人を食事つきで招待して番組を待つ…。そして授賞式の日となった。
長い白髪に、役のためか費用のせいか歯が抜けたまま。入れ歯があれば普通に綺麗なおばあちゃんではないかしら。彼女の人生を元に本人が演じているモキュメンタリーです。エキストラのために暗いうちから出かけて、一日がかりだったのにあっというまに出番が終わる場面、受賞を想定して繰り返しスピーチする場面にぐっときます。2011年の作品で、撮影当時75歳だったリリアは2016年に亡くなっています。本当に主演女優賞をもらえたそうで、良かった!

ワールド・フォーカス『私たちの居場所』(タイ)コンデート・ジャトゥランラッサミー監督
英語の得意なスーはフィンランドへの留学が近づいているが、父から許しをもらえていない。親友のベルは進路が決まらないが、認知症の祖母の世話を続けたい。二人は留学前に買い物とやることリストを作って、ベルのバイクであちこち走り回る。
バンコクのアイドルグループBNK48の中心メンバーのジェニスとミュージックが共演。将来の不安で揺れるスーと、気持ちが空回りしていら立つベル、二人の周りの人々を活写。エピソードが多く、もっと短くしても伝わったと思います。(白)
posted by shiraishi at 22:53| Comment(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

東京国際映画祭 その2(白)

10月30日(水)TIFF3日目

CROSSCUT ASIA 『それぞれの記憶』(フィリピン)シーグリッド・アーンドレア P・ベルナード監督
ジョージアで出会ったフィリピン人のマーラとホアキムは、短い間に恋に落ちて結婚。幸せな生活が始まると思えたのだが。
時間や場所が変わるので、あれれ?となります。しっかり見直したくなりました。同じ体験をしても人によって記憶が違いますが、これは違いすぎでしょう。どっちが嘘つき??

アジアの未来 『ある妊婦の秘密の日記』(香港)ジョディ・ロック監督
カーメンは広告代理店でバリバリ働き、夫ともラブラブ。昇進が間近というのに予定外の妊娠がわかった。産むかどうか迷って夫に告げずにいたのがばれて夫婦仲は険悪になる。
姑役の余安安のほか知らない若い俳優さんばかりで、自分の年を実感。女性たちのあけすけな会話がおかしい。

アジアの未来 『失われた殺人の記憶』(韓国)キム・ハラ監督
ジョンホは失業したのを妻に打ち明けられず、ギャンブルに手を出して逆転どころか借金が増えていく。別居中の妻が殺されたと警察がやってくるが、飲みすぎて記憶がなく、妻殺しの疑いで追われる身になってしまった。
これも誰の記憶なのか妄想なのか、境目がわからないところあり。追ったり追われたり、とぼけた刑事が緩衝材になっていました。

ワールド・フォーカス 『マローナの素晴らしき旅』(ルーマニア、フランス、ベルギー)アンカ・ダミアン監督
9番目に生れた子犬はママから離されて、曲芸師に飼われる。次に建築業の男、その次は小さな女の子。飼い主が変わるたびに名前も変わり、最後に「マローナ」として一生を終えるまでの回想が自由自在に描かれたアニメーション。
はじめは自由過ぎて目まぐるしかったのですが、子犬の表情や語りに引き込まれました。

Japan Now 『海辺の映画館 キネマの玉手箱』(日本)大林宣彦監督
小さな町の映画館が今夜のオールナイト上映を最後に閉館する。映画好きな3人の若者たちが映画の世界に入った少女を探してタイムリープ。江戸末期から太平洋戦争まで、歴史に残る戦いのシーンに巻き込まれていく。
大林宣彦監督が「尾道」で20年ぶりに撮影を敢行。メッセージがぎっしりと詰まった最新作です。2020年春公開

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『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』ディーン・デュボア監督Q&A
今回シリーズの1,2に加え、この最新作が上映されています。バイキングとドラゴンが闘っていたころのお話。バイキングの少年ヒックが伝説のドラゴンと出会い、傷ついた翼を飛べるように修復してやったことから仲良くなっていくのが1、その5年後ドラゴンはすっかり村に溶け込んで良き仲間になり、長く行方不明だったヒックの母親に再会するのが2。3作目では、あらたな旅立ちが。
バイキングの兜が似合いそうなディーン・デュボア監督、Q&Aでは「ドラゴンのトゥースの設定」「ほかのドラゴンや村人たちのキャラ作り」「ヒックがシリーズを通じて成長していくようす」などについて、ニコニコとお話してくださいました。最新作は12月20日公開です。(白)

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posted by shiraishi at 00:42| Comment(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする