2023年10月27日

TIFF4日目(白)

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デイリーニュース

10月27日(金)
『魔術』WFラテンビート/チリ、メキシコ、ドイツ/クリストファー・マーレイ監督
1880年のチリ。先住民の父娘はドイツ人入植者の使用人として働いている。ある日牧場の羊たちが皆死んでいて、先住民の父親に嫌疑がかかった。雇い主は犬を放し、父親は娘の目の前で嚙み殺されてしまう。娘は父を埋葬し、先住民の長を頼って家を出ていく。
呪術が生きている時代の物語。色調が暗く炎の赤が目立つ作品でした。先住民の暮らしと伝承に興味があるとより面白いでしょう。ホラー仕立てにはなっていません。

『マリア』アジアの未来/イラン/メヘディ・アズガディ監督
結婚式を控えた男が一本の電話で向かった先。車で通り過ぎて戻ると上から人が降って来た。自殺か事故か、はたまた犯人がいるのか?落ちた女性は意識不明、男はケガで済んだが結婚式は中止になり、妻と義父母は傷心。壊れた車の弁償金のため被害者家族と話し合いにいくことになった。事故以来心ここにあらずの男に新妻は心配が募る。かつて男と関わりのあったマリアという女性だった。
ストーリーが予期せぬ方向に進み、それまで隠されていた過去が明らかになっていきます。28歳のアズガディ監督デビュー作。入り組んだ人間関係と時間が行きつ戻りつする脚本、まとめるのが大変だったはず。

『バイタル・サイン』香港フォーカス/ヴィンシー・チェク監督
妻を亡くしたパパと娘のストーリー。現場第一、救命第一のマーは出世欲はなく、同期の友人に事務仕事を勧められても断っている。娘のために義父母のいるカナダへの移住を考えていたが、マーは腰痛を隠して働いていて健康でなければ許可は降りない。
マーはすべり症との診断でコルセットをしていましたが、あんなに過酷な仕事では悪化するばかりです。腰痛もちなので他人事と思えません。香港の救急隊員マーをルイス・クー(古天樂)。TVBのドラマに出ていた頃のルイスは色白でハンサムな青年でしたが、今や50代。すっかりベテランの風格です。子役さん(蘇ス弦)が上手。『星くずの片隅で』のアンジェラ・ユンが亡き妻の従妹役で出演。
きのうは夜までいて4本観たので、今日は3本にして帰宅。(白)

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TIFF3日目(白)

10月26日(木)

舞台挨拶やトークなど映画祭の取材はみな事前に申し込み、定員オーバーのときは抽選。
香港の俳優トニー・レオンのマスター・クラスを申し込んでみましたが、外れました。残念だったけれど、申し込みが多かったことに安堵しています。こちらのアーカイブで映像が見られます。通訳はいつものサミュエル・チョウさんです。
https://www.youtube.com/watch?v=htH-NzpCJ7s

『Old Fox』WE 台湾電影ルネッサンス/シャオ・ユーチュエン監督
1989年母を亡くした少年の夢は母のやっていた理髪店をまた開くこと。父はレストランでまじめに働き、節約に心がけて貯金をしている。けれども不動産の値上がりに夢は遠のいてしまった。少年は老狐というあだ名の家主に気に入られ、世の中の厳しさを知っていく。
父の旧友役の女優さんが門脇麦さんにそっくりだな〜と観ていましたら、本人でした。一人息子役の子役さん、目力あって印象的です。貧乏から抜け出し、外車を何台も持つ富豪になった老狐。自分から離れていった息子の代わりのように、少年に目をかけます。きっぱりと「僕は僕」という少年に脱帽です。

『ディープ・プレス 女性映画監督たち』バスク映画特集/スペイン/
スペインのバスク地方で活躍する女性監督たちが、男性主導の映画界でどうやって仕事をし続けてきたのか。カメラや音声、照明、編集などのスタッフも女性で作られたドキュメンタリー。
どこも問題点や悩みは同じでした。連帯できると強くなります。

『タタミ』コンペ/ジョージア、アメリカ/
女性柔道の世界選手権大会でイラン代表として勝ち上がってきた選手とコーチに、政府から「イスラエルの選手と試合しないために棄権せよ」と命令が来る。選手は頑として拒否するが、家族を人質にとられ、脅迫が続く。
聖地には蜘蛛が巣を張る』でジャーナリスト役だったザル・アミール(ザーラ・アミール・エブラヒミ)、イスラエルのガイ・ナッティヴの共同監督作品。試合ごとに国に残している家族に危険が及び、苦悩する選手とコーチ。試合と緊迫した状況に最後までドキドキしました。これが初監督作!きちんと商業映画としてできあがっています。それも映画と違って、イラン人とイスラエル人の監督がタッグを組んだなんて。

『ミス・シャンプー』台湾電影ルネッサンス/ギデンズ・コー監督
美容院のシャンプー係のアーフェンは、突然飛び込んできたヤクザのアータイを追手から匿った。足繁く通ってくるアータイや仲間と親しくなったアーフェンのドタバタの日々が始まる。
『あの頃、君を追いかけた』(2011)で日本でも知られるコー監督のコメディ作品。最初は強面で、後は惚れた弱みでデレデレのアータイや、とんちんかんな手下たち+イケメン枠一人。こういう楽しい笑える作品が混じっているので、毎日通えます。

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今年のプログラムとプレスルームにあった冊子

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2023年10月25日

TIFF2日目(白)

10月25日(水) 
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JR有楽町駅前TIHHのブース チケット売り場

本日もお天気良く、プレス試写3本鑑賞。
『アートカレッジ 1994』アニメーション/中国
芸術大学の美術専攻男子、音楽専攻女子たちが芸術論を戦わせたり、将来に悩んだりする話。
アニメにしたことで表現しやすくなっているのでしょう。実写より引いて観られて生々しくありません。写真の輪郭線のようなラインのシンプルな絵柄で、動きが少なく膨大なセリフの間、口元が動いています。登場人物の名前は観終わったとたんに忘却の彼方。見る前はメモしようと思っているのですが。
(美)さんと一緒になり、お昼は中華。(美)さんはこの後『平原のモーセ』の予定だったけれど、7時間あまりの超長尺作品。大丈夫だったかな。
(追記:全編眠ることなく観終わり、良い作品で観てよかったとのこと。)

『離れていても』アジアの未来/香港/サーシャ・チョク監督
湖南省から香港に越してきた一家。父は香港まで泳いで密入国し、後で家族を呼び寄せました。香港が返還された1997年から2007年、2017年と10年刻みの出来事が描かれています。子どもの頃、父が万引きするのを観た長女、自分も欲しいものを学校で盗んで母にきつく叱られます。気弱な父は麻薬を常用して家からお金を持ち出すようになります。姉妹は学校で差別されるのを恐れて、大陸から来たことを隠しています。
両親と娘二人の関係が変化していきます。成長する過程でよくあることとはいえ、香港を背景にした年代記として観るとなんとも切ないです。サーシャ・チョク監督は2017年の姉娘役で出演。

『ムービー・エンペラー』ガラ・セレクション/中国/ニン・ハオ監督
農村を舞台にした映画に出演を決めた俳優のダニー・ラウ。仕事熱心な本人の意欲が空回りして、事態がどんどん悪化していくブラック・コメディ。映画祭のレッドカーペットを設置するところから始まり、華やかな俳優業の内側、笑顔がぴたりととまるのも見せています。
アンディ・ラウ主演、10代でデビューし、数十年も芸能界で生きて来たスター役です。本人の本音もかなり混じっているだろうと想像して、なんだか笑うに笑えませんでした。ヒューリックホールの一般上映なので、香港映画ファンの友人たちと再会。

帰宅して夕食後、ちょっと買い物に出た帰りにすごい雷雨!!底が抜けたかと思うような大雨になりました。パーカーを着ていたので、すこしはましでしたが靴はびしょびしょ。9時半すぎには雹(ひょう)まで降りました。みなさま無事でしたか?(白)

posted by shiraishi at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年10月24日

TIFF(東京国際映画祭)始まりました(白)

10月23日(月)〜11月2日(木)
日比谷、有楽町、銀座各所の映画館が会場です。
チケットはインターネット、または有楽町駅前広場のチケット売り場でどうぞ。

詳細は公式HP https://2023.tiff-jp.net/ja/

おかげ様で今年もプレスパスがいただけました。シネジャ総力をあげて(手分けして)プレス上映や取材に歩き回ります。

23日にTOHOシネマズのあるミッドタウン日比谷では、レッドカーペット、オープンセレモニーが行われました。
youtubeチャンネルにアーカイブが残りますので、どうぞご覧ください。
ミッドタウンの地下のスペースに今年も上映作品のポスターが並んでいます。
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反対側はキネマ旬報の表紙です。

プレス上映は、本日10月24日から始まりました。なるべく夕飯までに戻ることにしたので今日は3本。

『成功補習班』ワールドフォーカス/台湾/ラン・ジェンロン監督
3剣士と称する男子3人は、予備校の問題児。憧れのマドンナに恋して悶々としたり、バカ騒ぎしたり。それだけでなく、新任の英語講師に啓発もされます。思春期に人生の道しるべになるような体験をしたラン・ジェンロン監督が、恩師が亡くなりかつての日々を残そうと映画化したもの。
能天気な子、家庭に問題ありのイケメン、ヘタレな優等生の3人に活発なヒロイン。漫画にありそうな設定の4人+異色な先生の青春ものです。挿入歌とエンドロールのダンスシーンにレスリー・チャンの「モニカ」が流れました。

『ライ麦のツノ』ワールドフォーカス/スペインほか/
1971年スペインの漁村。一人暮らしのマリアはみなに信頼されている助産師。ある事故から警察に追われ、国境を目指して歩き続ける。
出産シーンから始まり、出産シーンで終わります。女性にふりかかる苦難と強さを描いた作品。

『トニーとシェリーと魔法の光』アニメ/チェコほか/フィリップ・ポシヴァチュ監督
身体が光り輝く体質のトニーは両親に家から出ることを禁じられている。アパートに引っ越してきたシェリーはバレリーナだった母と世界中を回ってきた。ほかの人たちの目には見えないものが、トニーとシェリーには見える。
差別と排除が理解と共存に変わるまで、たくさんの試練がありました。ストップモーションアニメでこれだけの長さの作品、いったいどれほどかかったんでしょう。スタジオがどんな風なのか見てみたい。

posted by shiraishi at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

山形国際ドキュメンタリー映画祭の旅 ホテル編 (咲)

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(真正面の奥にみえる最上階が三角の建物がニュー最上屋)

4月頃には、今年こそ山形に・・・と友人と話していて、7月中旬頃から時々公式サイトを覗いていました。
8月5日にクロージングでハナ・マフマルバフの『リスト』が上映されると気づいて、10月11日には山形にいたいと思ったのですが、ほかの作品の日程次第だなぁ〜とスケジュールが出るのを待っていました。
8月10日に、シネジャの千絵さんから「スケジュール出ましたね。念のためお知らせします」のメール。
チェックしてみたら、観たい作品がいっぱい!

とりあえずホテルを抑えようと、映画祭の公式サイトに出ていた宿泊情報を見てみました。
「山形市旅館組合の協力を得て手ごろな料金で泊まれる宿を用意しました」と、3軒の宿が掲載されていました。
「ご予約は各宿泊所に電話連絡の上、下記のファックス用申込書をご利用ください」と書かれていたので、3軒のうちの一つ、山形駅前の「ホテルニュー最上屋」に電話をしてみました。
「映画祭の時期は混みあっているので、ネットで検索してください」と言われました。
今時、電話で空きを確認して予約してからファックス・・・はないですよね。
多分、映画祭が始まったころからの習慣でしょうか。(もう何年も前に、事務局から郵送で送られてきた書類の中に、提携している宿の案内がありました。)

で、ホテルニュー最上屋のサイトから、4900円の部屋を、5日・6日、9日・10日の計4泊を予約することができました。
でも、7日・8日が取れなくて、ほかの山形市内のホテルを検索してみたのですが、3連休で高いところしか空いていませんでした。
暁美さんに相談してみたら、「おかざわ」を電話で全日程予約したばかりで、まだ1〜2部屋空いているようだと教えてくれました。「ホテルニュー最上屋」から近いところで、山形駅からも5分位とのこと。
そして、「おかざわ」は、名古屋のミッキーさんの定宿です。

電話してみたら、7日・8日の2泊、3980円の部屋は満室で、4980円の部屋なら1室空いているとのことで予約しました。
「建物が古いので覚悟していらしてください」と言われましたので、「友人が毎回お世話になっていて気に入っていると聞いています」とお伝えしました。受け答えがとても感じよくて、ミッキーさんがお気に入りなのもわかりました。
ただ、「おかざわ」は、門限12時。「朝の6時まで玄関は閉めるので、それだけご注意ください」と言われました。

実際に泊まってみて、家族経営のとても心地のいい宿でした。
山形の友人A君から、経営者の娘さんの息子さんがボクシング選手で東京オリンピックに出たと聞いていたのですが、滞在中に「岡澤セオン選手、パリオリンピック出場決定!」の新聞記事が1階ロビーに飾られました。受付にいた女性の方にお声をかけたら、「うちの孫がね」と、とても嬉しそうでした。

「おかざわ」の3980円と4980円の部屋はどう違うのかなと気になっていたら、ミッキーさんが斜め前の3980円のお部屋だったので見せていただきました。ドアに「定員1名」と書いてあって、シングルベッドでした。私の部屋は、「定員2名」でダブルベッド。確かに、その分、気持ち広い感じでした。勉強机のような机と椅子があるのも「違い」のようでした。

実は、最初の晩に泊まった「ホテルニュー最上屋」は、シングルの部屋だったのですが、ベッドはダブルベッドで部屋がとても広かったのです。
「おかざわ」に2泊して、「ホテルニュー最上屋」に戻ったら、さらに広い部屋で、ダブルベッドの脇に、もう一つダブルベッドが置けそうな広さ。(最初の晩の部屋は、もう一つシングルベッドが置けそうな広さといえば、違いがわかるでしょうか・・・)

「ホテルニュー最上屋」も家族経営らしいあたたかい雰囲気でした。大きな鍵を、外出する時も預けずにお持ちくださいと言われました。(重いから預けたいところ!)
「映画祭で遅くなっても、24時間玄関開いてますから」と、かつての香味庵が深夜遅くまでやっていたことをご存じだからこその言葉でしょう。

当初、クロージング上映の『リスト』が終わったら、その日のうちに東京に帰るつもりでした。でも、せっかくなので、もう1泊して、12日の受賞作品上映で観たいものがあれば観ようと思いなおしました。でも、「ホテルニュー最上屋」は、8000円以上の部屋しか空いてなくて、山形市内のホテルを検索したら、「山形七日町ワシントンホテル」が、5600円だったので、こちらに決定。クロージングは、七日町の中央公民館で開催されるので、好都合という次第。さらに、受賞作品の観たい作品も中央公民館で上映されたので、まさにばっちりでした。

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「山形七日町ワシントンホテル」(奥に見える茶褐色の建物)は、全国チェーンの安心感はありましたが、何より、1階に蔵王水系浴場「めぐみの湯」があって、疲れを癒すことができました。部屋は、ダブルベッドでいっぱいという感じ。

そんな次第で、今回、3か所のホテルを泊まり比べできました。(ホテルの外見も部屋も写真を撮り忘れました!)
2年後は、上映スケジュールの発表を待たないで、とにかく全日程、同じホテルを早めに予約したいと思います。教訓!

ちなみに、暁美さんは「おかざわ」を予約していたのですが、出遅れて映画祭に行くことにした方に譲り、「ホテルクラウンヒルズ山形」に宿泊。メイン会場の一つ、市民会館やフォーラム山形に徒歩3分ほどのところ。近くて便利だったと暁美さん。(駅からも近いです。)

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中東映画好きの友人Mさんは、駅の西口徒歩1分のところにあるホテルルートイン山形駅前(写真右端の建物)を早くから予約していました。
大浴場があるのが気に入っていて、上映会場とは駅をはさんで反対側になりますが、すぐそばに24時まで営業の大きなスーパーもあって便利とのこと。

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旅好きの高校の同級生に山形に行くと連絡したら、私の泊まる「ホテルニュー最上屋」の線路をはさんで向こう側に見える高層の霞城セントラル最上階の24階に展望ロビーがあって、眺めがいいと教えてくれました。(写真は展望ロビーから見下ろした山形駅) 行ってみたら、「山形駅西口ワシントンホテル」のフロントが24階にありました。ここも、日によってはリーズナブルな値段なので、泊まってみるのもいいなと思いました。

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霞城セントラル24階 エレベーターを降りたところから見える霞城公園


新しいホテルが続々出来ている山形ですが、ホテルキャッスル 山形が、開館42年にして、老朽化で建て直しのため今年いっぱいで閉館するそうです。「何かあるとお食事にいった懐かしいホテルがなくなるのは寂しい」と山形の友人の恵美ちゃん。名残を惜しんで、お食事しようと予約をなんとか取ったそうです。

2年後の山形国際ドキュメンタリー映画祭に行かれる方の参考にもなればとホテル事情を書いてみました。










posted by sakiko at 02:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする