7月31日。私にとってこの日は中島みゆきの歌を久しぶりにいっぱい聴けた充実した日でした。8月21日に公開される『糸』という作品のことを5月頃に知り、なんとか試写を観ることができないかと連絡先をほかのスタッフに聞き、久しぶりに行った東宝の試写室で観ることができました。また試写のあと劇場公開中の『中島みゆき 夜会VOL.20「リトル・トーキョー」劇場版』を観たので、この日は中島みゆきの歌三昧。久しぶりにみゆきさんの歌を堪能しました。
『糸』この映画は中島みゆきの楽曲「糸」をモチーフにストーリーを組み立てたもので、18年に渡る男女の出会いと別れ、そして再会を描いた作品でした。ロケ地も私にとって気になっている場所(上富良野、美瑛、沖縄、シンガポール)ばかり出てきてとてもウキウキしました。
北海道の上富良野、美瑛が最初に出てきて、ここで育った高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)は13歳で出会います。このあたりが好きで、この3,4年、美瑛や上富良野に毎年出かけていたのですが、今年は行くことができず残念に思っていたので、ここの景色がでてきた時、得した気分になりました。
c2020映画『糸』製作委員会
漣と葵が出会って、漣が「サッカーの日本代表になって世界で活躍したい」と言っていたのに北海道に留まり、「世界なんか行かなくていい、普通の生活がしたい」と言っていた葵が、東京、沖縄、そしてシンガポールへと行き、シンガポールではマニュキュアの店を立ち上げることに。シンガポールではマーライオンと マリーナベイ・サンズの景色も出てきたけど、ここも去年ピースボートの船でシンガポールに立ち寄った時に行ったところで、思わず「ここ行った!」と心の中で叫んでしまった(笑)。あの時と同じようにやっぱり人が多いなと思いました。
二人が出会いと別れを繰り返す中で、それでも惹かれあっている、そしてなかなか再会できない二人へのもどかしさを、周りで見守る人たちの絆と縁の中に描いていました。そして二人のなかなか実らない恋を描く中に、平成の間に起こったリーマンショックなどの事件なども織り込み、漣の北海道のでの暮らしや、チーズ工房での仕事、結婚などが描かれます。漣が働くチーズ工房「NEEDS」が出てきた時には、欲しかったけど去年買いそびれた、この工房のチ−ズ「大地のほっぺ」のことを思い出しました。東京で開催された北海道フェアの時に、家にチーズの在庫がたくさんあり買わなかったので、今年北海道に行った時、ここの工房に行って買おうと思っていたのだけど、その工房がこの作品のロケ地になっていたとは。ネットで検索したら、この作品のロケ地としてTVに出たらしく、客が殺到しているようでした。またこのチーズを買いそびれそう。今年は北海道フェアとか少なそうだし。
c2020映画『糸』製作委員会
紆余曲折、いろいろあって、でも、二人は再会できるだろうと思いながら観ていたら、漣は結局チーズ工房の先輩である桐野香(榮倉奈々)と結婚。香の実家として出てきたのが牧場。香のお父さん役で永島敏行が出ていたのも嬉しい再会でした。私が映画とかTVにはまったきっかけが永島敏行だったから。久しぶりに永島敏行を映画で見ました。1982年に見たNHKの銀河テレビ小説「北航路」というドラマの中で、彼は利尻の漁師役で出ていて、それを見て一目ぼれ(笑)。彼が『事件』という作品に出ているのを知り、それから映画に興味を持ったのです。
この作品の中で印象的だったのは村田節子(倍賞美津子)がやっている「子供食堂」。虐待を受けていた近所の子、葵を気にかけ食事をあげたのがきっかけでした。そして、今は「子供食堂」をやっているというシーン。そのことを何かの記事?SNS?で知った葵が知り訪ねたシーンでした。そこに漣と香の子供である女の子がチーズを持ってくる。ここで泣いている葵をこの子が抱きしめるシーンに思わず涙。漣は葵が行方不明になって、この家に話を聞きにきてからずっとこの家の「子供食堂」のことを気にかけていたのだろうか。ここでの伏線の使い方も心にくい。でもここでも二人はすれ違い。なかなか再会できない。ああじれったい。それにしても、この二人の再会までに、あまりにもたくさんのエピソードが出てきて、そんなにこの「糸」にインスパイアされて、イメージが湧いたのかなと思った。そういう意味では、とても想像力を駆り立てる歌詞だったんだなと思う。そして、私にとって嬉しかったのは「糸」だけでなく「時代」や「ファイト」など、みゆきさんのほかの歌も随所に出てきたこと。
「糸」は、1992年に発売された中島みゆきの20枚目のアルバム『EAST ASIA』の最後に収録された歌。もう28年も前に出たアルバムです。もちろんこの曲のことは知っていたけど、発表された頃は、この曲がこんなに話題になっていくとは思ってもみなかった。「糸」を久しぶりに聴いたのは、発売から25年近くたった4、5年前?。TVのCMで流れてきました。その時に「この曲が今、リバイバル?」と思いました(ちなみにみゆきさんの曲に「リバイバル」という曲があるので、それにひっかけています)。
私はみゆきさんがデビューした1975年からのファンなので、かれこれ45年。アルバムは全部持っているし、中華圏の人がみゆきさんの曲をカバーした曲が入っているアルバムも30枚くらい持っています。1993,4年頃、中華圏(中国、香港、台湾、シンガポール、マレーシアなど)でカバーされている日本の歌というのを何人かで調べたのですが、みゆきさんの曲がダントツに多かった。あの頃で100曲くらいはあったので、今、調べたらもっとあるでしょう。そして、今回「糸」だけで、120組以上がカバーしていると知り、ほんとにびっくりしました。この曲が注目され、いろいろな人にカバーされ、さらに映画になるなんて感慨深い。
彼女の詞の世界は独特です。造語というか言葉遊びが面白い。そしてメッセージ。力強く優しい。心折れた人に寄り添って、それでも立ち上がり生きていこうという感じの歌詞のが多いと思います。「糸」もそういう系列の歌だと思います。この映画をきっかけに、彼女の世界がもっといろいろな人に知ってもらえたらと思います。
シネマジャーナルHP
『糸』作品紹介
『糸』公式
HP
参考記事
シネマジャーナル30号 1994 September
このカバー曲のもとうたは何? 第一弾
http://www.cinemajournal.net/bn/30/cover.htmlシネマジャーナル31号 1994 December
このカバー曲のもとうたは何? 第二弾
http://www.cinemajournal.net/bn/31/cover.htmlシネマジャーナル31号 1994 December
中島みゆきの歌と香港ポップス
http://www.cinemajournal.net/bn/31/miyuki.html『中島みゆき 夜会VOL.20「リトル・トーキョー」劇場版』
この日は『糸』の試写のあと、公開中の『中島みゆき 夜会VOL.20「リトル・トーキョー」劇場版』を丸の内ピカデリーで観ようとそちらに移動。「中島みゆき」のはしごでした。最近彼女の歌を聴いている時間もなくごぶさたしていたので、この日は中島みゆきの歌三昧。
私はアルバムはもっているのだけど、チケットを取ることができず、コンサートとか夜会とか彼女のライブにはなかなか行けません。これは中島みゆきが1989年から30年続けてきた、原作、脚本、作詞、作曲、演出、主演を務める音楽舞台劇「夜会」シリーズ第20弾の劇場版。
2019年1月30日から2月27日まで東京・TBS赤坂ACTシアターで全20公演行われた「夜会VOL.20」「リトル・トーキョー」を映像化したもの。この「夜会」もチケットは取れず見ることができなかったので、この劇場版は彼女のライブを見ることができる良い機会。彼女のコンサートや夜会は、あまり行けなくても、このところ毎回劇場版として映画になっているので、なかなかライブに行けない身としてはとても嬉しい。
しかし、なんの予備知識ももたずに「夜会」シリーズにいくと、設定から役からなにもわからず、歌っている曲もこの舞台のために作ったアルバムには入っていない聴いたことがない曲ばかりで、よくわからないまま進んでしまうので、「これは何?」と思っているまに進行してしまいます。今回も彼女の歌や舞台を楽しんだけど、あとで解説を読んでみたら、「なるほど」と思ったしだい(笑)。(真冬の北海道を舞台に、険しい山間部にあるクラッシックホテルのパブある小さなステージ「リトル・トーキョー」で巻き起こる人間の「欲」と「愛」が渦巻く抗えない運命に翻弄される姉妹の物語を描いている」
北海道のホテルの中にある「リトル・トーキョー」というパブでの話だったのねと思ったしだい(笑)。歌われた歌も32曲のうち、知っている曲は半分くらいでした。出演者も、いつもみゆきさんのコンサートに出ている宮下文一、石田匠はわかったけど、あとの人はわからずだったんだけど、渡辺真知子かな?と思ったら、やっぱり渡辺真知子だったと知り驚きでした。彼女はヤマハが主催する1975年のポピュラーソングコンテストを中島みゆきと競ったことがあり、その時は中島みゆきが「時代」でグランプリを受賞し、渡辺真知子は「自分がグランプリだと思ったのに」と悔しがったとTVの歌番組で語っていたので意外でした。でものちにそのこだわりを捨て、「時代」を東日本地震復興のコンサートなどの機会に歌い続けてきたと語っていたので(被災地の人たちに「時代」を歌ってとせがまれて歌ったと語っていた)、そういうこともあっての参加だったのかも。ストーリーも含めて、もう一度みにいかなくては(笑)。
posted by akemi at 17:41|
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